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随意契約

随意契約を繰り返しても問題ないケース、随意契約が批判される理由

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国立競技場
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官公庁の随意契約は批判されることが多いです。特に随意契約を繰り返すと、業者との癒着を疑われ大きな問題になることがあります。随意契約を繰り返すことの問題点や、随意契約を繰り返しても問題ないケースを解説します。

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なぜ随意契約が問題になるか

 

官公庁が民間企業と契約するときは、原則として一般競争入札です。価格競争で契約の相手方を決定します。

 

利益を追求する民間企業は、自社の判断で稼いだ利益を配分できます。株主への配当金や役員報酬、社内留保の積立金なども自由です。特に大手企業になれば、数千万円の役員報酬も珍しくありません。大手通信会社の役員報酬は、なんと年間20億円以上です。民間企業は利益を追求するのが目的です。ライバル会社との競争の中で利益を獲得し、役員が莫大な報酬を受けても問題ないのです。

 

一方、官公庁の運営財源は国民の税金です。官公庁の一部の職員が、莫大な報酬を受け取れば、大問題です。法令に基づかずに税金を自由に使ってしまえば、国民は許しません。

 

なぜなら税金は、自分たちの自由な判断で官公庁へ納めるものではなく、法令に基づいて強制的に徴収されているからです。毎月ギリギリの生活をしている人たちからも、強制的に税金を徴収しています。民間企業の商品やサービスのように、顧客が自分の判断で自由に選択してお金を払っているわけではありません。

 

 強制的に徴収した税金は、使うときも公平・公正でなければなりません。そのために会計法令が存在し、官公庁の契約方式は一般競争入札が原則になっています。

 

会計法令を逸脱して、特定の民間企業との随意契約を繰り返せば、国民の税金が特定の企業へ流れてしまいます。税金を使って莫大な役員報酬を得てしまいます。恣意的な随意契約は、公平性・公正性が阻害された手続きになってしまうのです。

 

 「公平性」とは、えこひいきせず、誰に対しても平等であるということです。官公庁との契約を希望する人に対しては、平等にチャンス(機会)が確保されていることです。一般競争入札は誰もが参加可能です。また「公正性」とは、会計法令に従った手続きを経ているということです。わかりやすくいえば、「契約担当職員の自分勝手な判断を許さない」という意味です。法令に基づく手続きであれば、外部の人が見ても疑義を持たれません。

 

もし契約担当職員が、恣意的な判断で、(自分のお気に入りの会社と)随意契約を繰り返せば、公平性と公正性の両方から問題になるわけです。

 

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随意契約を繰り返す原因

 

官公庁の契約手続きは、原則として一般競争入札です。価格競争によって契約の相手方を決定します。入札公告を公開し、競争の機会を確保した手続きで公平・公正に契約の相手方を選びます。

しかし一般競争入札は、ものすごく大変な手続きになってしまいます。仕様書や予定価格の作成、入札公告から開札など、大変な労力をかけなければならず、手続きが長期に及びます。契約締結までにおよそ2ヶ月くらい必要です。一般競争入札には、「すぐに契約できない」という大きなデメリットがあるのです。そのため一般競争入札は、金額の大きな契約だけが対象になっています。契約金額の小さい契約は、業務効率化(事務簡素化)の観点から、少額随意契約が認められています。実務的には、一般競争入札に比較して圧倒的に少額随意契約が多いです。契約方式を検討するときも、最初に少額随意契約が可能か判断します。官公庁の業務を効率的に進めるという観点からは、少額随意契約の方が良いわけです。

 

少額随意契約のときも、契約希望者を広く募り、価格競争によって契約の相手方を選ぶのが理想です。しかしそれでは手続きが大変になり、一般競争入札と同じように数ヶ月もかかってしまいます。手続きに時間がかかるのであれば、業務効率化を目的にした少額随意契約を法令で認めている意味がありません。入札手続きを省略した「少額随意契約」は、事務手続きを簡素化できるので、すぐに契約の相手方を選ぶことができます。官公庁では業務が遅れれば、その分(時間の経過により)税金を使ってしまうのです。職員の人件費などは容易に想像できますが、「時間がかかる」ということは、その分、目に見えない光熱費や消耗品なども必要になっています。そのため、業務を効率化させるためには少額随意契約をしたいと考えるようになってしまうのです。

 

ところが少額随意契約の場合、同一の会社と繰り返し契約するケースが出てきてしまいます。そもそも随意契約は、業者との癒着を疑われるリスクが高く、同一の会社と随意契約を繰り返すのは好ましくありません。官公庁の契約実務担当者も、できるだけ多くの会社と契約したいと考えています。すると同一の会社と随意契約を繰り返すときに、「ほんとに問題ないのか」悩むことになってしまうのです。

 

同じ会社と随意契約を繰り返す原因は、大きく次の2つがあります。それぞれについて解説します。

 

◯価格競争の結果として、繰り返し随意契約を締結したもの。

 

◯契約の内容が競争できないため、繰り返し随意契約を締結したもの。

 

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価格競争の結果として随意契約を繰り返す

 

価格競争を実施した結果として、同一の会社と随意契約を繰り返す場合は問題ありません。この場合、「価格競争が実際に行われたか」がポイントになります。価格競争は、「見積もり合わせ」によって判断されます。契約を獲得する機会を「公平に確保しているか」です。

 

官公庁からの依頼を受けて見積書を提出し、他社より安ければ契約を獲得できます。見積金額が高ければ競争に敗れ、契約の機会を逃します。この「競争性を確保した手続きが存在していた」ことが重要です。

 

いろいろな企業に対して見積書の提出を依頼し、毎回違う会社と「見積もり合わせ」しているのであれば、結果的に同じ会社と随意契約を繰り返すことになっても問題はありません。しかし「見積もり合わせ」に参加する会社が、いつも同じ顔ぶれであれば大きな問題になります。見せかけの競争や、談合、癒着まで疑われることになってしまいます。

 

誰もが見ることのできるインターネットのWEB上へ、契約しようとする内容が一般に公開され、「見積もり合わせ」によって契約の相手方を選ぶのであれば、それが結果的に同一会社になっても問題ありません。公開したことによって競争性が公平に確保されています。ただ、「公開見積もり合わせ」は、少額随意契約の本来の目的である「効率性」が弱まります。手続きに時間がかかるというデメリットがあります。

 

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競争性がないため随意契約を繰り返す

 

同一会社との随意契約の繰り返しが許されるもうひとつのケースは、契約の内容が特殊で、同じ会社しか対応できない場合です。これは稀なケースです。特殊な機器を製造しているメーカーが世界に一社しかなく、その会社と直接契約する方法しか存在しない場合、特許権や著作権などのために特定の相手方としか契約できない場合です。競争性がない随意契約は、繰り返しても問題ありません。

 

ここで注意が必要なのは、契約の特殊性の判断です。

 

代替品が本当に存在しないことを、合理的に説明できる資料が必要になります。誰もが納得できる理由が必要です。また競争性がないと判断するときは、世界中の市場を調べたのか、という疑問が常に生じます。競争性がないことの証明は、実際に入札手続きを実施しないとわからないことの方が多いです。

 

 実務上は、1社しか販売会社がないと予想されても、あえて一般競争入札を実施して、「1社入札」として契約する方法が一般的です。公開して入札すれば、競争の機会を十分に確保しているので、官公庁の契約手続きとして適正になるからです。

 

2018年頃から、「1社入札」を問題視する社会風潮があります。実際の契約手続きを理解していない人たちが批判しているだけなので、少し残念です。「1社入札」を批判すれば、永遠に契約できなくなるリスクがあり、とんでもない税金の無駄使いや、官製談合などの不正を招くことになるのですから。

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