随意契約を繰り返す問題点とは、競争機会の確保や公平・公正性の解説

国立競技場 随意契約
国立競技場

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

官公庁が締結する随意契約は、社会的に批判を受けることが多いです。特定の会社と随意契約を繰り返すことは「業者との癒着」を疑われ問題になることがあります。随意契約を繰り返すことの問題点について解説します。競争性のある少額随意契約と競争性のない随意契約など、随意契約を正しく理解するための詳しい解説です。

なぜ随意契約が問題になるか

官公庁が事業を実施するときに民間会社と締結する契約は、原則として一般競争契約(入札)です。

 

営利を追求する民間会社は、利益を稼ぐことができれば、株主への配当や役員報酬として、会社の判断で自由に利益を配分できます。一流企業になれば数千万円の役員報酬も珍しくありません。大手通信会社の役員報酬は年間20億円以上です。民間会社は利益を追求するのが目的なので、ライバル会社との競争の中で利益を獲得して役員が莫大な報酬を受けても問題ないのです。

 

一方、官公庁の運営財源は国民の税金です。国民の税金から特定の人が莫大な報酬を受ければ、公正性の観点から問題になります。

 

なぜなら、税金は、自分たちの自由な判断で納めるものではなく、法律によって強制的に徴収されているからです。毎月ギリギリの生活をしている人たちからも強制的に徴収しています。民間会社のサービスを自分の判断で自由に選択してお金を払うのとは異なります。

 

強制的に徴収した税金は、使うときも公平性と公正性が担保されていなければなりません。そのために会計法令が存在し、契約手続きとして一般競争契約(入札)を原則としています。

 

会計法令を逸脱して、官公庁が民間会社と随意契約を繰り返し締結すれば、国民の税金が恣意的に特定の民間会社へ流れてしまいます。その利益の中から不当に役員報酬を手にすることも可能です。

 

公平性と公正性が阻害された契約になってしまいます。

 

公平性とは、官公庁との契約を締結するチャンスのことです。一般競争入札は誰もが参加可能です。公正性とは、会計法令に従った手続きによって妥当な金額で契約することです。外部の人が見ても疑義を持たない手続きです。

 

随意契約を繰り返すことは、公平性と公正性の両方から問題となることが多いです。

 

随意契約を繰り返す原因

 

官公庁の契約手続きは原則として入札です。競争によって契約の相手方を決定します。入札手続きで競争の機会を確保し、公平・公正に相手方を決定します。

 

入札手続きは、入札公告から開札手続きまで長期間を必要とし、契約書の取り交わしなどの煩雑な手続きが必要です。入札は契約金額の大きな契約に適用されます。契約金額の小さい契約は、事務簡素化の観点から随意契約(少額随意契約)が認められています。そのため契約方式の割合は、入札に比較して圧倒的に少額随意契約が多いです。

 

少額随意契約を締結するときも、契約の締結希望者を広く募り、公平・公正に契約の相手方を決定するのが理想です。

 

しかし、実際には、同一の会社と随意契約を繰り返し締結するケースがあります。

 

当然のことながら、随意契約は「業者との癒着」を疑われることが多く、同一の会社と随意契約を繰り返すことは好ましくありません。契約実務担当者も、可能であれば多数の会社と随意契約したいと考えているのです。

 

随意契約を繰り返す原因は、大きく2つに分けられます。それぞれについて解説します。

 

価格競争の結果として、繰り返し随意契約を締結したもの。

契約の内容が競争できないため、繰り返し随意契約を締結したもの。

 

価格競争の結果として随意契約を繰り返す

 

価格競争の結果として、同一の会社との随意契約を繰り返す場合は、実際に価格競争の機会が確保されていたかがポイントになります。競争の機会の確保とは、官公庁との契約を希望する会社に対して、公平に参入の機会を与えていたかです。少額随意契約であれば、「見積もり合わせ」によって、契約を獲得するチャンスが実際に複数存在したかです。

 

官公庁からの依頼を受けて見積書を提出すれば、見積金額(あるいは入札金額)が他社より安ければ契約を獲得できます。価格が高ければ競争に敗れて契約の機会を逃します。この競争性を確保した手続きが存在していたことが重要です。

 

インターネットなど誰もが見ることのできる公開された場所に、契約しようとする内容が一般に公開され、見積もり合わせなどによって契約するのであれば、それが結果的に同一会社であろうと問題はありません。公開によって競争性が確保されています。

 

ただし、参加する会社同士が共謀して特定の会社のみに契約させることは、談合となり犯罪になります。

 

競争性がないため随意契約を繰り返す

 

同一会社との随意契約の繰り返しが許容されるもうひとつのケースは、契約の内容が特殊で同一会社しか対応できない場合です。これは極めて稀なケースです。特殊な機器を製造しているメーカーが世界に一社しかなく(類似品も皆無)、その会社と直接契約する方法しか存在しない場合です。これは随意契約を繰り返しても問題ありません。

 

ここで注意が必要なのは、契約の特殊性の判断です。

 

代替品が本当に存在しないことを合理的に説明できる客観的な資料が必要になります。誰もが納得できる理由の存在が必要です。また、競争性がないと判断するときは、世界中の市場を調べることができたのかという疑問が生まれます。「競争性がない」ことの証明は、実際に入札手続きを実施しないとわからないのです。

 

現在は、1社しか販売会社がない随意契約と予想されても、あえて入札手続きを実施して「1社入札」として契約する方法が一般的です。公開して入札すれば、入札公告を公開した時点で競争の機会が十分に確保され、官公庁の契約手続きとして適正になるからです。

 

1社入札を問題視する社会風潮もありますが、実際の契約手続きを理解していない人たちが多いのは、少し残念です。

コメント