契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合とは、随意契約理由書の根拠

国立競技場 随意契約
国立競技場

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官公庁の契約手続は、一般競争入札が原則で、例外として随意契約が認められています。随意契約は大きく二つに分類できます。

少額随意契約

ひとつは、「少額随意契約」と呼ばれるもので、予定価格(契約見込額)が少額な契約です。

 

予決令(よけつれい)「予算決算及び会計令」第99条が、少額随意契約の根拠規定です。金額が少額な場合は事務簡素化を図るため、契約手続きを簡略化できます。

 

予算決算及び会計令

(随意契約によることができる場合)
第九十九条  会計法第二十九条の三第五項 の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
・・・
二  予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。
三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。
・・・

 

 

競争性のない随意契約

もうひとつの随意契約として「競争性のない随意契約」があります。

一般的に「随意契約」と呼ぶ場合は、この競争性のない随意契約を指すことが多いです。

「少額随意契約」と「随意契約」の違いは、競争性があるかないか、つまり販売店(契約の相手方)が多数あるかどうかの違いです。

 

 

見積合わせ

少額随意契約による場合は、競争性があることが前提なので「見積合わせ」を行うことが会計法令で求められています。

 

予算決算及び会計令

(見積書の徴取)
第九十九条の六  契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。

 

 

随意契約理由書が必要な理由

それでは、随意契約理由書は、何故、どのような理由から必要なのでしょうか。

なお、「随意契約理由書」は会計法令に規定がないので、官公庁によって習慣的な呼び名が多数存在します。主なものは、随意契約理由書、選定理由書、機種選定理由書、業者選定理由書、特命契約理由書などです。

 

官公庁の運営財源は、国民からの税金で賄われていて、その使用目的、使用方法について説明責任が求められています。

 

特に契約手続きについては、官公庁が特定の企業と契約するわけですから、何故その企業と契約するのかを客観的に説明する必要があります。その説明資料として随意契約理由書が必要とされています。

 

価格競争を原則とする一般競争入札であれば、各社の入札書の中で一番安価な入札金額を提示した企業と契約するので、一番安かった、という誰が見ても客観的な手続ですから、理由書は必要ありません。

 

価格競争を行なった入札結果について、その理由を書けと言われても、「一番安価だから」という説明のみです。
官公庁の会計法令(契約手続き)の基本原則によるもので、説明する必要もないことです。
契約関係書類に綴られている入札公告や各社の入札書を見れば事実確認が可能で一目瞭然です。

 

随意契約理由書が必要な理由は、価格競争の結果、契約の相手方を客観的に決定したのではなく、事前に競争性を排除しているので、それを説明する書類として必要になります。

 

「競争性のない随意契約」の根拠規定は、予決令第102条の4第3号です。

 

予算決算及び会計令

第百二条の四
三  契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することができない場合において、随意契約によろうとするとき。

 

 

競争を許さない場合とは

この条文を詳しく解説します。

 

「契約の性質若しくは目的」
性質と目的は、分けて考えず、契約の「内容」と考えます。

 

「競争を許さない場合」この部分が重要ですので、詳しく解説します。

 

「競争ができない場合」でなく「競争を許さない場合」と表現されていることに注意が必要です。

国語の授業的な基本的な言葉の解釈になりますが、できる、できない、という言葉は、自分の意思により行おうとしたが、その結果として、できた、できなかったという結果になります。

 

一方、「許さない場合」とは、やろうとしたけどできない、という状況ではなく、意図的に「しない、させない」という強い否定の意志が内在しています。
官公庁側の発注者が、契約の基本原則である競争手続きを否定するという明白な意思が加わっているのです。

 

簡単に言うと、「競争を許さない場合」とは、最初から競争の機会を確保しない契約手続きを行うもので、事前に競争を排除するのですから、それ相応の理由が必要になるということです。

 

逆の言い方をすれば、競争性を確保した契約手続き(同一条件で複数の企業と交渉した結果1社になった)であれば、それらの書類を保存することにより、随意契約理由書は不要であることは言うまでありません。
(契約予定金額によっては入札公告などの手続きは必須となりますが・・)

 

近年では、価格競争だけでなく総合評価方式やコンペ方式(企画提案型競争)による競争も行われ、これらは当然ながら「随意契約理由書」は必要ありません。恣意的に一社になったわけではなく、競争原理を部分的に導入した結果一社になったものです。

 

ただし、総合評価やコンペ方式は、評価の方法を事前に公開し、恣意的な判断を極力排除しなければなりません。

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