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会計法令の解説

「収入・支出」と「歳入・歳出」の違い、財政法の中の基本条文

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会計法令の解説
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「収入・支出」と「歳入・歳出」は、官公庁の会計実務担当者にとって必須知識です。会計年度によって区分することで意味が変わります。世界各国の会計年度や、会計年度の歴史も理解しておきましょう。明治時代は、日本の会計年度も暦年でした。

 

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「収入・支出」と「歳入・歳出」それぞれの違い

 

官公庁の会計手続きの基本です。「収入・支出」と「歳入・歳出」の違いを正確に理解しましょう。財政法第二条の解説です。

財政法 第二条

収入とは、国の各般の需要を充たすための支払の財源となるべき現金の収納をいい、支出とは、国の各般の需要を充たすための現金の支払をいう。

 

入ってくるお金が収入、出ていくお金が支出です。「・・各般の・・」とは、いろいろな、という意味です。簡単に言えば、「・・国の各般の需要を充たすための・・」という意味は、「国民が必要とするいろいろな事業を行うための・・」という意味です。

 

国の事業として身近な例は、医療費や年金があります。病院にかかった際に支払う料金は、3割負担です。残りの7割は社会保障費として国が負担しています。また65歳を過ぎて働けなくなったら年金が支給されます。これらは社会保障事業費のひとつです。また毎日使っている道路や橋などの整備も国の事業です。身の回りの多くが、国や地方自治体などの官公庁による事業で実施されています。

 

また収入は、「・・支払の財源となるべき現金の収納・・」です。官公庁が実施する事業の支払いには、収入を充てるという意味です。言い換えると、国の支出は、収入に基づかなければならないわけです。原則として収入を超えて支出できないことを表しています。

 

財政法 第二条 第四項
4  歳入とは、一会計年度における一切の収入をいい、歳出とは、一会計年度における一切の支出をいう。

 

「収入と支出」を会計年度で区切ると、「歳入と歳出」になります。会計年度の期間については、財政法第十一条で定められています。

 

財政法 第十一条

国の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終るものとする。

 

地方自治体も同様な法律があります。

地方自治法

第二百八条 普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

 

つまり「収入・支出」と、「歳入・歳出」の違いは、4月1日から翌年3月31日までの会計年度で区切るかどうかです。

収入のうち、会計年度の区切りがあるものが歳入

支出のうち、会計年度の区切りがあるものが歳出

 

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世界各国の会計年度

 

歳入予算や歳出予算を計算するときは、期間を区切って集計します。官公庁のお金は、毎日、出たり入ったりしています。常にお金が流れているので期間を区切らないと集計できません。お金の出入りを計算するための集計単位として会計年度があります。そして官公庁が事業を行うためのお金を集計し、予算としてとりまとめ、国会や議会で審議します。予算を議決することで事業の可否を決めています。

 

会計年度の始まりと終わりは、国によって次のように異なります。

 

世界各国の会計年度

4月~3月
日本、イギリス、デンマーク、パキスタン、カナダなど

 

1月~12月
中国、韓国、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギー、スイス、ロシアなど

 

10月~9月
アメリカ、タイ、ミャンマー、ハイチなど

 

7月~6月
フィリピン、スウェーデン、ノルウェー、ギリシア、オーストラリアなど

 

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日本の会計年度の歴史

 

日本の会計年度は、2022年現在は4月から翌年の3月までです。しかし昔は、次のように期間が異なっていました。

 

日本の会計年度の変遷

1868(明治元)年まで 1月~12月

1872(明治5)年まで 10月~翌9月

1875(明治8)年まで 1月~12月

1885(明治18)年まで 7月~翌6月

 

明治時代は会計年度が頻繁に変わりました。日本の政府が近代化するときは試行錯誤があったのですね。

 

また1972(昭和47)年の田中角栄首相の時代には、会計年度を暦年(1月~12月)へ移行することも検討されました。大蔵省の反対により実現しなかったようです。

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