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会計法令の解説

開札手続きの具体例、再度入札の判断、再度公告入札との違い

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会計法令の解説
イギリス ロンドン
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落札者がいないときの再度入札の解説です。開札の結果、予定価格を超えているときは、すぐに再度入札を実施します。ただし再度入札を繰り返しても落札しないときは入札を中止します。また間違えやすい、再度入札と再度公告入札の違いを簡単に解説します。

 

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そもそも再度入札とは、再度入札の根拠法令

 

一般競争入札や指名競争入札では、予定価格の範囲内の入札金額で落札します。入札金額が予定価格を超えているときは、「再度入札」を実施します。最初に再度入札の根拠法令を確認します。似ている言葉に「再度公告入札」がありますが、再度入札とは全く別のことを意味します。「再度入札」と「再度公告入札」の違いは、後半でくわしく解説します。再度入札の根拠法令です。

 

予算決算及び会計令

第八十二条 契約担当官等は、開札をした場合において、各人の入札のうち予定価格の制限に達した価格の入札がないときは、直ちに、再度の入札をすることができる。

 

都道府県や市町村などの地方自治体は、地方自治法施行令で定めています。

地方自治法施行令

第百六十七条の八
4 普通地方公共団体の長は、(略)開札をした場合において、各人の入札のうち予定価格の制限の範囲内の価格の入札がないとき(略)は、直ちに、再度の入札をすることができる。

国も地方自治体の条文も、ほぼ同じ内容です。

 

開札したところ、全ての入札書が予定価格を超えていて、落札者がないときに再度入札を行います。開札後、すぐに続けて、2回目、3回目と入札を繰り返すのが再度入札です。開札会場内で、入札参加者が手書きで入札書を書いて提出します。落札するまで入札を繰り返すのが再度入札です。

 

2回目の入札で全員が辞退札を提出したときは、入札不調(ふちょう・・取りやめ)になります。契約担当者としては、それまでに行った入札手続きの苦労が報われないので残念な結果です。多くの場合、予定価格の設定に問題があることを意味するので、やけ酒が飲みたくなります。

 

上記、予決令第八十二条の「・・予定価格の制限に達した価格・・」とは、購入契約であれば、予定価格以下(同額も落札です。)の入札金額を意味します。例えば予定価格が230万円のときに、入札金額が230万円ちょうどであれば落札決定になります。1円でも超えていれば(2,300,001円)落札しません。再度入札を行うことになります。

 

売払契約であれば、予定価格以上の場合(逆)が落札になります。鉄くずの売り払いで、予定価格が60万円のときに、入札金額が60万円ちょうどであれば落札決定になります。1円でも安ければ(599,999円)落札しません。再度入札を実施します。

 

入札の多くは、官公庁側がお金を払う購入契約です。予定価格以下で落札決定になります。予定価格を1円でも超えていれば落札しません。

 

予定価格の範囲内の入札金額がなくて再度入札を行う場合、入札参加者によっては、「これ以上の金額で入札するのは無理」と判断することがあります。そのときは、辞退札(入札金額欄に辞退と書いた入札書)を提出してもらいます。辞退札を提出した人は、開札後に会場から退室してもらいます。(入札会場は、不正防止のために参加者以外入場できません。)

 

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開札の進め方、挨拶から参加資格の確認

 

再度入札の具体例です。開札場所で入札書を提出してもらうケースです。(開札前に入札書を受理しているときは、開札から始まります。)

 

予定価格が1000万円の売買契約を例にします。国の入札では、予定価格は公開しないので、入札参加者は予定価格を知りません。

 

開札時刻になったら、挨拶をして入札を始めることを宣言します。

 

 「本日は、お忙しい中、参加頂きましてありがとうございます。ただ今から、(入札件名◯◯◯◯)の入札を開始します。本日入札を執り行うのは、◯◯省会計課の◯◯◯◯、担当係長の◯◯◯◯、担当者の◯◯◯◯です、よろしくお願いします。」

 

「最初に、名刺と、代理人の方は委任状、参加資格の写しの提出をお願いします。」

 

名刺と委任状、参加資格を複数の者で確認します。入札の条件(参加資格の等級、参加者が委任されていること)に合致していることを確認したら入札を開始します。この確認は慌てずにゆっくり行います。入札参加者の視線を感じますが、焦る必要はありません。

 

確認を終えたら入札に進みます。入札は、参加者が少なければ、契約担当者が各社の入札書を取りに行く方が効率的です。入札参加者が多ければ、入札箱などを用意して、「こちらに入札書の提出をお願いします」とアナウンスします。

 

入札書の様式は、入札説明書や仕様書と一緒に、事前に配布しておくことが多いです。当日配布する場合には、入札書の様式を各参加者へ配布し、手書きで記入し押印してもらいます。会社のスタンプ(住所や会社名、代表者名をゴム印で押せるもの)を持ってきてもらうと効率的です。意外に住所の番地を間違えて記入してしまうことがあります。緊張してミスしてしまうのです。

 

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最初の入札の進め方(1回目)

 

「それでは、1回目の入札を行います。(この入札箱へ)入札書の提出をお願いします。」

 

全員の入札書が提出されたことを確認します。各社1名のみの出席なので、人数と入札書の数が一致すればOKです。入札権限のある者のみが参加しているはずです。すでに委任状で確認しています。

 

「それでは、開封させて頂きます」

 

入札書の封を、はさみでジョキジョキと開封します。刃先は入札者側へ向けないよう横向きにするのがマナーです。次のような入札結果でした。

 

(予定価格は1,000万円で非公開)

1回目の入札
A社 1,150万円
B社 1,190万円
C社 1,140万円

 

最初に各社の入札書を確認します。入札金額、入札日付、入札者氏名(代理人氏名)、押印(委任状の受任者印と照合)を確認し、入札結果一覧表へ入札金額を記録します。その後口頭で発表します。開札は慌てずゆっくりです。時間がかかっても問題ありません。

 

「それでは、1回目の入札金額を発表します。株式会社 A社様、1,150万円、1,150万円、株式会社 B社様、1,190万円、1,190万円、株式会社 C社様、1,140万円、1,140万円、以上が入札結果です。」

 

入札金額は、必ず2回読みます。入札へ参加した人たちは、他社の入札の状況を会社の上層部へ報告します。ライバル会社の入札金額をメモするのが普通です。また入札金額の公表は、参加者相互で、不自然な金額がないかチェックする役目もあります。入札手続きの公正さを示すためにも、入札金額の発表が重要です。

 

入札金額を発表した後に、予定価格との比較になります。落札結果の公表へ移ります。

 

「当方で作成しました予定価格を開封します。」

 

開封前に、封に入った予定価格調書を、入札者全員へ見えるよう高く掲げます。そしてはさみで開封します。開封したら予定価格が入札者へ見えないように伏せておきます。各社の入札金額のうち、一番安い入札書を抽出し、予定価格と比較します。入札執行者、担当係長、担当者の3名で金額を確認するのが安全です。緊張の中で行うので、一人で確認すると間違えてしまうこともあります。(まだ予定価格に達していません。)

 

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再度入札(2回目)と辞退札の取扱い

 

 「1回目の最も安い入札金額は、株式会社C社様の1,140万円ですが、当方で作成した予定価格の制限に達しておりません。2回目の入札をお願いしたいと思います。入札書の様式をお持ちでない方はいますか?」

 

入札書の様式を持っていない人へ、様式を配布します。多くの会社は、落札しない場合を想定して、何枚かの入札書を事前に用意しています。入札金額も何パターンか用意しています。ライバルが多いときは安い入札書を提出します。

 

「2回目の入札は、1回目の1,140万円未満の金額で入札をお願いします。もし、これ以上の入札が無理な場合には、入札金額の欄に辞退と記入して提出してください。」

 

各社が入札書を書き終えるまで待ちます。3社くらいなら5分程度待ち、書き終えた頃に再度確認します。

 

「それでは、入札金額、日付、氏名、押印を再確認して頂き、入札書の提出をお願いします。」

 

1回目の入札に使った封筒を返して、入札書を封筒へ入れて提出してもらうこともありますが、封筒を使わずに、入札書を折って提出してもらうこともあります。マナーとしてライバル会社の入札金額が見えないように入札してもらいます。

 

2回目(予定価格は1000万円)

A社 1,110万円
B社 1,090万円
C社 辞退

 

2回目の入札金額を発表します。金額は2回読みです。

 

「それでは、2回目の入札金額を発表します。」

 

入札金額を読み終えた後、落札結果を発表します。

 

「2回目の結果、最も安い入札金額は、B社様の1,090万円ですが、まだ予定価格に達しておりません。3回目の入札を行います。辞退札を提出されたC社様は、ここで退室をお願いします。」

 

辞退札を提出したC社が退室するのを待ち、3回目の入札に移ります。C社に退室してもらうのは、すでに辞退しているので「入札者でない」からです。開札は、入札者のみが参加できます。入札権限を持つ各社の代表者1名しか入札へ参加できません。

 

予算決算及び会計令

第八十一条 契約担当官等は、公告に示した競争執行の場所及び日時に、入札者を立ち会わせて開札をしなければならない。(略)

 

地方自治法施行令

第百六十七条の八 一般競争入札の開札は、(略)入札の終了後直ちに、入札者を立ち会わせてしなければならない。(略)

 

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再度入札(3回目)

 

再度入札で注意したい点は、2回目以降は、前回の最低金額よりも、低い金額で入札してもらうことです。これ以上の値引は無理、という場合には辞退札を提出してもらいます。

2回目でも落札者がいないときは、同じように3回目以降も繰り返します。通常は、3回目の入札結果を見て、入札者が1人だけになったときや、予定価格との開きが大きいようであれば、入札を打ち切ります。入札をやめることを「入札不調」(にゅうさつふちょう)といいます。そして金額交渉を行い、随意契約へ移行することが多いです。

 

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再度入札の回数制限

 

再度入札の回数については、回数制限を行なっている地方自治体もあります。

東京都水道局
競争入札等参加者心得

第19条
2 (略)再度入札の回数は、次の各号に掲げるとおりとする。ただし、予定価格を事前に公表している工事の請負の入札においては入札の回数は1回とし、1回で落札しない場合は不調とする。
(1)工事又は製造の請負に係るもの 3回以内
(2)上記以外のもの 原則として2回以内

 

再度入札の回数を制限する目的は、予定価格を類推されることを防止するためです。予定価格を事前に把握できると競争性が弱くなります。特に回数制限がないときも、3回目で打ち切りとするのが一般的です。

 

ただし、国際入札(政府調達に関する協定が適用される高額な契約)では、入札不調を適用できず、落札するまで再度入札を繰り返します。昔は、再度入札を20回以上も繰り返した例もあるようです。手元に資料がないのですが、記憶では昭和60年頃に、予決令第九十九条の二(不落随契)は、原則として適用しないことが通知されました。また建設工事などの入札では、予定価格を類推されることを防ぐため、入札回数を3回までとする例もあります。各組織の運用通知などで回数制限している例も多いです。

 

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再度入札と再度公告入札の違い

 

再度入札は、落札者がないときに、開札場所ですぐに繰り返す入札です。入札書を手書きで書いてもらい、押印して提出してもらいます。(予決令第八十二条、地方自治法施行令第百六十七条の八)

 

再度公告入札は、落札者がないまま入札を終えて、別の日に入札を最初からやり直すものです。仕様書の一部変更や予定価格の見直しも可能です。ただし大幅に内容が変わるときは、新規に入札を行うことになります。新しい入札であれば、入札公告期間の短縮はできません。(予決令 第九十二条)

 

つまり、再度入札は、ひとつの入札手続きの中で入札書を複数回提出してもらいます。一方、再度公告入札は、落札者がない入札手続きを終えて、最初から入札公告を掲載して行う入札です。再度公告入札は、新しい入札公告を公開します。落札しなかった入札とは別の入札になります。

 

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