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会計法令の解説

前金払は支払方法の特例、原則は後払い、国と地方自治体の前金払

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会計法令の解説
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官公庁の支払方法は、後払い(あとばらい)が原則です。前金払(まえきんばらい)できるケースは限られています。特に国の法令では限定的にしか適用できません。地方自治体の方が適用範囲が広いです。輸入品でも前金払が適用できないケースもあります。

 

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前金払は限定列挙、支出の特例

 

官公庁が契約代金を支払うときは、原則として後払い(あとばらい)です。売買契約であれば納品検査完了後に、役務契約であれば業務完了後に支払うのが原則です。これは国民の貴重な税金を使って支払うために、安全性を担保するためです。もし先に代金を支払ってから、後になって納品されなかったら、税金を無駄に使ってしまいます。そのため官公庁の支払方法は、後払いが原則です。

 

しかし、後払いでは支障が生じることがあります。前金払でないと契約できない場合などがあるのです。例えば海外では商慣習として前払いが一般的です。そのため輸入品の中には、後払いでの契約ができないことがあります。最初に前金払の根拠法令を確認します。

 

予算決算及び会計令

第五十七条  (略)前金払をすることができるのは、次に掲げる経費に限る。ただし、第八号から第十五号までに掲げる経費について前金払をする場合においては、各省各庁の長は、財務大臣に協議することを要する。

一  外国から購入する機械、機械部品、航空機、航空機部品、航空機専用工具、図書、標本又は実験用材料の代価(略)

二  定期刊行物の代価、定額制供給に係る電灯電力料及び日本放送協会に対し支払う受信料
三  土地又は家屋の借料
四  運賃
五 国の買収又は収用に係る土地の上に存する物件の移転料
六 官公署に対し支払う経費(略)
七 外国で研究又は調査に従事する者に支給する学資金その他の給与
七の二 職員のために研修又は講習を実施する者に対し支払う経費(略)
八 委託費
九 交通至難の場所に勤務する者又は船舶に乗り組む者に支給する給与
十 補助金(略)、負担金及び交付金
十一 諸謝金
十二 (以下 略)

 

この前金払の条文は、支出の特例として限定列挙されています。上記第五十七条の本文で、「・・次に掲げる経費に限る。」と規定されていることに注意しましょう。拡大解釈や類推解釈が不可能な規定になっています。つまり、この第五十七条に記載してあるものしか前金払は認められません。

 

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地方自治体の前金払

 

次に地方自治体の根拠法令を確認します。上記の国の予決令とほぼ同様です。しかし予決令よりも広く適用できるよう規定してます。限定列挙ではありません。

 

地方自治法施行令

第百六十三条 次の各号に掲げる経費については、前金払をすることができる。

一 官公署に対して支払う経費
二 補助金、負担金、交付金及び委託費
三 前金で支払をしなければ契約しがたい請負、買入れ又は借入れに要する経費
四 土地又は家屋の買収又は収用によりその移転を必要とすることとなつた家屋又は物件の移転料
五 定期刊行物の代価、定額制供給に係る電灯電力料及び日本放送協会に対し支払う受信料
六 外国で研究又は調査に従事する者に支払う経費
七 運賃
八 前各号に掲げるもののほか、経費の性質上前金をもつて支払をしなければ事務の取扱いに支障を及ぼすような経費で普通地方公共団体の規則で定めるもの

 

特に、上記第八号では、各地方自治体が独自に定めることができるようになっています。

 

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財務大臣協議が必要な前金払

 

予算決算及び会計令第五十七条には、「・・第八号から第十五号までに掲げる経費について前金払をする場合においては、各省各庁の長は、財務大臣に協議することを要する。」と定められています。財務大臣協議ですので、事前に協議を終えないと前金払はできません。協議には相当な時間が必要なので、実務的には、第一号から第七号のみが前金払可能です。

 

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前金払の注意点、輸入品でも該当しないケース

 

前金払が多い例は、輸入品の売買契約です。外国では商慣習として前金払が一般的です。実際の契約手続きでは、日本国内の輸入代理店と契約することが多いです。輸入品の契約では、代金の支払い時期を確認し、後払いできるか交渉します。後払いが可能であれば、この前金払の条文は適用しません。

 

前金払は、支出の特例です。原則である後払いの例外になります。そのため実際の契約実務では、最初に後払いができるか交渉し、どうしても無理であるなら、その理由をメモとして残してから、前金払を行なうことになります。契約金額が大きい場合には、契約の相手方から理由書を提出してもらう方が安全です。

 

なお輸入品でも、日本国内の輸入代理店が定期的に輸入して在庫を持っている場合があります。輸入代理店がすでに契約代金を海外のメーカーへ支払っているケースです。常に在庫を保有しているときは、前金払の条文を適用しない方が良いです。在庫品を購入するのなら、日本製品を購入するのと同じです。予算決算及び会計令第五十七条が適用されるのは、発注の都度、海外メーカーへ契約代金を事前に支払い輸入するケースのみです。

 

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