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官公庁出張報告書の正しい書き方|事実記載の重要性と不正防止のポイント

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官公庁における出張報告書の書き方です。出張先で公務を終えた後は、出張報告書を提出しなければなりません。なぜ出張報告書が必要になるのか、どのように書くべきなのか解説します。出張前に知っておくと、出張報告書が書きやすくなります。

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出張前に準備すべき!官公庁出張報告書の正しい書き方

 

初めての出張は余裕がありません。新幹線や飛行機の予約 、宿の手配などで大変です。出張先での仕事のことで頭がいっぱいになります。帰った後に作成する出張報告書のことまで考えられないでしょう。

 

(出張報告書なんて、後で考えればいい!)

 

こう考えていると後悔することになります。出張から帰って、しばらくしてから報告書の提出を催促され、どうやって書けばよいかわからなくて悩むことになります。

 

事前に出張報告書を書くときの注意点を知っておけば、出張中に注意したいポイントがわかってきます。出張後に報告書が書けなくて悩むこともありません。出張へ行く前から、出張報告書の書き方について理解しておきましょう。

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官公庁の出張目的とは?現地調査・意見交換が必要な理由

 

最初に公務出張の目的について確認しましょう。公務としての出張は、電話やFAX、メールなどの通信手段を利用しても、公務が遂行できない場合に認められています。現地へ行かないと仕事の目的が達成できないときに出張命令を受けることになります。つまり出張報告書には、現地での行動を記載することになるわけです。参考に根拠法令を確認します。

 

国家公務員等の旅費に関する法律(国)

第四条
2 旅行命令権者は、電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によつては公務の円滑な遂行を図ることができない場合で、かつ、予算上旅費の支出が可能である場合に限り、旅行命令等を発することができる。

 

地方自治体は、それぞれの条例で定めています。国の上記旅費法と同じ内容です。

大阪府 職員の旅費に関する条例

第四条

2 旅行命令権者は、電信、電話、郵便等の通信による連絡手段によっては公務の円滑な遂行を図ることができない場合で、かつ、予算上旅費の支出が可能である場合に限り、旅行命令等を発することができる。

 

実際の出張目的も、現地の人と会って意見交換したり、現地で調査したり資料を集めることです。自分の目で現場を見ないと判断できないときに出張します。インターネットが普及してテレビ会議も可能ですが、やはり現地の環境の中で意見交換を行えば、見えてくるものが全然違います。自分の目で見て、耳で聞くことに意味があります。特に現地の雰囲気を感じ取ることが重要です。行政サービスは、みんなの声を聞くことが本務でもあります。

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官公庁出張報告書は「事実の記録」が重要!成果ではなく行動を明確に

 

民間企業は営利目的の組織なので、成果が重要視されます。利益にならないことをしていては会社が潰れてしまいます。民間企業の出張報告書では成果の記載が求められるのは当然です。ここが官公庁と大きく異なるところです。官公庁の出張報告書には、必ずしも成果は必要ありません。出張したことによって、これだけの成果が上がったという報告は必要ないのです。

 

むしろ、たった数日間の出張で成果がある方が不思議です。出張の成果を無理に書こうとすると、かなり嘘っぽい出張報告になってしまいます。紛失した物を探すような単純な出張なら、すぐに成果があるでしょう。しかし通常の公務出張の成果は、出張から帰った後に、さまざまな視点で議論し、また日常の仕事を行う中で生まれるものです。

 

つまり官公庁における出張報告書は、成果を記載する必要はなく、出張先で実際にどのような行動をしたかを記載するだけで十分です。 どこで何を調べたのか、どこで誰に会ったのか、どのような意見交換を行ったのかなどの事実を記載するのが官公庁における出張報告書です。出張報告書は、成果報告書ではありません。成果がないと出張が無駄になったと勘違いしている人が多いです。無理やり成果を書かせている旅費担当者もいるようですが、根本的に出張に対する考え方が間違っています。

 

なぜなら成果ばかりを求めてしまうと、旅費の不正事件を誘発してしまうのです。成果を記載した出張報告書を提出するだけで(実際に出張へ行かなくても)旅費が請求できる、と勘違いするようになってしまうのです。過去に予算消化を目的としたカラ出張の不正事件が多く発生しています。つまり出張報告書は、出張した事実を記載するものという認識が最も重要になるのです。

 

出張報告書が必要な理由は、出張命令を受けたことに対する復命のためです。命令に対して実際に行った結果を報告するのが目的です。出張報告書という名称ではなく、復命書としている組織もあります。

 

特に2010年以降は、出張報告書の役割として事実確認の比重が大きくなりました。

 

かなり昔(2000年の頃)のことですか、官公庁における旅費の不正事件が、次々にマスコミで報道されたことがあります。ほとんどがカラ出張と呼ばれるものでした。現在でも、研究費不正使用の典型例としてカラ出張が挙げられています。

 

カラ出張は、実際には出張していないのに、書類上だけ出張したように見せかけて旅費を受け取ってしまうものです 。単年度予算を消化せざるを得ない背景から不正が頻発しました。昔は官公庁が予算を余らせると大問題になりました。予算権限のある上級官庁から厳しく叱られたのです。そのためカラ出張で予算をゼロにするしかなかったのです。成果を記載した出張報告書さえあれば、旅費を支給できるという誤った考え方が広がったのです。

 

カラ出張を防止するために、出張報告書への記載は具体性が求められるようになりました。出張報告書には成果を書く必要はないと述べましたが、これは無理に成果を作り上げる誤った考え方をなくすためです。書類上だけ成果を強調しておけば旅費を受け取れる、という考え方が蔓延し、カラ出張という重大な不正を招いてしまったからです。

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出張中に押さえるべきポイント|名刺交換・領収書・写真記録の重要性

 

出張先で面会した人とは、可能な限り名刺交換を行いましょう。名刺をもらっておくと出張報告書の作成も楽になります。出張報告書へは現地で打ち合わせした人の氏名も記入した方が良いです。

 

また訪れた場所や、何かを見たりしたときは、なるべくスマホやデジカメで自分も入れて写真撮影しておきましょう。デジカメなら思い出にもなります。万が一カラ出張を疑われたとしても、写真があれば問題ありません。

 

宿泊先の旅館やホテルの名称、電話番号、室内の写真、宿泊代金を支払ったときは領収書も保存しておきます。領収書は、旅費請求に必要です。また、訪れた場所の写真を可能な限り残しましょう。

 

宿泊代の領収書は、旅費を請求するときに提出するので、コピーをして自分でも保管しておきましょう。カラ出張などが問題になるのは、2年とか3年先です。忘れた頃に宿泊を証明することになります。自宅のファイルなどに、出張関係の領収書をまとめて保存しておくと良いです。

 

出張報告書を書くときは、宿泊先のホテル名称、電話番号、所在地、訪問先相手方の所属氏名、打ち合わせ地を記載します。現地での資料収集であれば、いつどこで、どのような資料を収集したか具体的に記載します。収集した資料をスマホで撮影し、写真として添付するのも良いです。事実どおりに記載しておけば、万が一数年後にカラ出張などの疑いを持たれてもすぐに立証できます。

 

数日間出張したときは、それぞれの日ごとに記載します。記載内容は簡潔で構いません、何月何日どこで何をした、どこで誰と会って〇〇の意見交換した、などの記載で十分です。

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成果を無理に書くと不正につながる!官公庁出張報告書の正しい考え方

 

まれに旅費担当者の中には、出張の成果を書くよう求める人がいます。しかし公務における出張では、成果は関係ありません。無理やり成果を記載してしまうと、むしろ「嘘の報告を書く」ことを推奨することになってしまいます。嘘の出張報告さえ書ければ、旅費を受給できると勘違いするようになるのです。出張報告書は、実際に旅行した事実を報告するものです

 

くどいですが、出張の成果は、後日、日常の仕事をする中で自然と生まれるものです。例えば、たった3日間の出張だけで成果が上がるでしょうか? 落とし物を探すような単純な出張でない限り、そんなことはないでしょう。無理に成果が上がったように書いてしまうと、嘘の報告書になってしまいます。嘘を書いても良いという風潮は、カラ出張を推奨するようなものです。

 

官公庁における出張報告書は、いつどこへ行って、どのようなことをしたか、旅行先での行動を記載するものです。民間企業は利益を追求する組織なので、出張報告書へも成果を記載するのが当然ですが、公的組織とは考え方が根本的に異なります。

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官公庁出張報告書に成果記載が不要な理由と民間との違い

 

最初に、官公庁と民間企業の根本的な違いを理解しましょう。誰もが知っているとおり、利益を追求するかどうかです。官公庁は営利企業ではありません。そもそもが成果や利益を追求しないのです。

 

官公庁の目的は、国民・住民へのサービスです。人々が必要なものを提供するのが目的です。ただ、ここでの必要なものとは、利益にならない、民間企業が参入しない、公共サービスです。

 

民間企業の商品やサービスは、消費者のニーズを想定して、利益が獲得できるものとして販売されています。消費者に購入してもらい利益を得るという、ひとつの目的のために作られているわけです。商品やサービスを顧客へ売って、利益を得るという明確な目的が存在します。売れなくて利益にならなければ、すぐに販売を中止し、別の商品へ切り替えて利益を追求します。

 

ところが官公庁のサービスは、そもそもが利益にならないものを提供しています。例えば一般家庭のゴミの収集などは、焼却炉の建設費用などを考えたら利益になりません。利益のみを考えるなら、誰もゴミの収集など実施しないでしょう。あるいは、利益にならないからと、もし警察や消防署が廃止されたらどうでしょう。

 

つまり官公庁は、そもそもが利益を追求してはいけないのです。

 

公務出張は、主に二つに区分できます。職員の行う出張と、研究者や技術職員が行う出張です。職員が行う出張は、行政サービスの実施を目的にしています。出張先の現場を見て、企画立案するための参考にします。現地へ行って意見交換したり、現地の住民へ口頭で説明する場合などです。職員自らが、自分の目で見て、耳で聞いて、口で話さないと目的が達成できないのです。現場の空気を五感で感じる必要があるのです。

 

研究者や技術者の出張は、研究会への参加や調査目的のことが多いです。現地で意見交換したり、データを集めたり、資料を収集するような場合です。工事契約などでは現場監督を行うこともあります。いずれも現地に行くことで出張の目的が達成されます。

 

民間企業のように、新しい顧客を獲得したり、取引先を拡大したり、新製品のアイデアが湧くような事はありません。民間企業では、自社の利益に結びつくことを探すのが出張の目的です。しかし官公庁の出張用務は、担当職員が現場へ出向いて感じること自体が重要なのです。そのため成果までは要求していないのです。通常、出張命令の出張用務欄にも成果を求める内容は記載しません。

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官公庁で過去に多発したカラ出張事件とその背景

 

最近は少なくなりましたが、2000年頃までは頻繁に旅費の不正事件がマスコミでも報道されていました。今でも検索サイトで「会計検査院 旅費 不正」で検索すると多数の事件が報告されています。

 

当時、官公庁における旅費の不正経理の主なものは、カラ出張でした。地方自治体よりも国の方が圧倒的に不正が多かったです。カラ出張などの旅費の不正事件が起きる背景には、硬直した予算制度がありました。職員旅費として官公庁へ配分される予算は、3月31日までに使い切る必要があったのです。昔は、予算を残すことは許されませんでした。

 

いわゆる単年度予算の弊害です。予算をゼロにしないと、翌年度の予算が減らされてしまうので、やむを得ないと考えられていたのです。職員旅費として予算措置された場合には、無理やりにでも出張へ行き、予算をゼロにしなければならなかったのです。(昔の話です。現在はこのような考え方はありません。)

 

年度の最初に配分される旅費予算であれば、計画的に出張することができます。無理なく予算を消化することができるわけです。ところが12月や1月頃になって、急に旅費予算が追加で配分されてしまうことがあります。

 

多くの官公庁では、1月から3月にかけては繁忙期です。旅費の追加配分を受けても、忙しくて出張へ行く余裕がないのです。しかし上級官庁からは、何としても予算を消化しろと命令されてしまいます。そうなるとカラ出張しか手法がないのです。実際には出張していないのに、架空の出張報告書を作成して旅費を受領してしまうわけです。予算消化を目的としたカラ出張が、かなり問題になりました。

 

なお、予算消化については、次の困った考え方が根底にありました。一部の執行現場を無視した予算担当者の考え方です。(昔のことで、現在はありません。)

 

「絶対に必要という理由で、必死の思いで獲得した予算なのだから、余らせるなど常識として考えられない。何がなんでも予算はゼロにしなければならない。」

 

予算を獲得するための苦労が、当時はどれほどのものであったか、その思いもわかります。

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