講演謝金を支払うときの注意点です。外部の専門家へ講演を依頼し、謝金を支払うときは注意が必要です。旅費の部分に対してまで源泉徴収されてしまうことがあります。海外旅費の場合には、謝金を支払うことで赤字になってしまうこともあります。
講演謝金と旅費を支払うときの源泉徴収
外部の専門家へ講演を依頼し、そのお礼として謝金と旅費を支払うときは、総額に対して源泉徴収が必要です。
特に注意したいのは多額の旅費を支払うときです。謝金を支払うことで、旅費の部分までもが源泉徴収の対象になってしまいます。本人へ謝金と旅費を支払うときは、両方の合計額に対して源泉徴収が必要になるのです。
本人へ支払う報酬の中に、旅費も含まれてしまうのです。
例えば講演謝金が1万円で、旅費部分が海外への航空賃を含めて30万円と想定しましょう。日本人であれば税額 10.21 % が適用されますので、所得税 31,651円を天引きして支払うことになります。すると手取りが 278,349円になり、旅費に必要な30万円に不足してしまうのです。
つまり謝金を支払うことによって、旅費部分が赤字になってしまう可能性があるのです。
国税庁のタックスアンサー、原稿料や講演料等を支払ったとき
税金に関しては、国税庁のサイトに細かい解説があります。
[平成31年4月1日現在法令等]
作家に原稿料を支払うときや大学教授などに講演料を支払うときは、報酬・料金等として源泉徴収をしなければなりません。
1 源泉徴収の対象となる報酬・料金等に含まれるもの、含まれないもの
(1) 謝金、取材費、調査費、車代などの名目で支払をする場合がありますが、これらの実態が原稿料や講演料と同じ場合には、すべて源泉徴収の対象になります。
(2) 旅費や宿泊費などの支払も原則的には報酬・料金等に含まれます。
しかし、通常必要な範囲の金額で、報酬・料金等の支払者が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。
上記の直接ホテルや旅行会社等に支払った場合とは、謝金として本人が受け取らないので源泉徴収の対象でない、という意味です。本人へ支払う場合は源泉徴収が必要になります。
判断に迷ったときは、必ず、最寄りの税務署へ電話して確認しましょう。わかりやすく教えてくれます。
報酬と給与の違いとは
所得税は、所得区分により計算方法や税率が異なります。所得区分で判断に迷うのが、報酬と給与です。
厳密には、実際の内容を総合的に考えて税務署が判断することになりますが、大まかに区分すると次のとおりです。
雇用関係がある → 給与
雇用関係がない → 報酬・料金等
雇用関係とは、労働基準法による労働契約を締結しているかどうかです。正社員だけでなく、パート・アルバイトなども含まれます。雇用手続きは、通常、人事担当部署が手続きを行ないます。
雇用関係がある人は、就業規則が適用され、上司からの指揮命令に基づき働きます。仕事中にケガなどをすれば労災が適用されます。雇用主である会社などが労災保険料を負担します。
コメント