年末調整「配偶者の所得金額」がわからない! 収入と所得を理解

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給与謝金
2020年9月 忍野八海
給与謝金

年末調整についての解説です。「収入」と「所得」の違い、「必要経費」を控除する理由、配偶者の所得金額の記載方法などを、わかりやすく解説します。また、健康保険の被扶養者との違いも簡単に解説しました。官公庁だけでなく、一般的な基礎知識です。

 

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わかりやすい「年末調整」の目的

 

最初に、年末調整の基礎知識を確認しましょう。

 

年末調整は、所得税を確定させるものです。給与をもらっている会社員は、毎月、所得税が天引きされています。天引きされる所得税は、「源泉徴収」と呼ばれ、少し多めに概算で取られています。そして一年の最後の給与で、「年末調整」を行い、所得税を精算して還付する、というのが一般的です。

 

給与に対する税金は、とりっぱぐれを防ぐため、「多めに取っておく」というのが基本的な考え方です。

 

つまり、「きちんと年末調整しないと、損しますよ」ということです。もちろんケースバイケースなので、逆のケースもあります。特に扶養親族が対象外になったのに、申告を忘れていると、年末調整で所得税を多く取られることになってしまいます。

 

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「収入」と「所得」を正しく理解

 

年末調整を始める前に、理解しておきたいキーワードがあります。「収入」と「所得」です。

 

「収入」から「必要経費」を控除したものが「所得」です。

収入 ー 必要経費 = 所得

 

例えば、商品を販売して、収入を得ることをイメージしてください。
商品を売るためには、商品を仕入れる必要があります。商品を安く仕入れて、利益(儲け)を上乗せして販売するわけです。この場合、仕入れ経費は、収入を得るために「直接必要な経費」です。「必要経費」として「収入」から控除することができます。

「必要経費」の考え方は、「それがなければ収入を得られない」かどうかで判断するのが一般的です。

 

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「必要経費」を控除する理由

 

では、なぜ「必要経費」を控除する必要があるか、考えてみましょう。

 

わかりやすい例として、個人事業主が、商品を100万円で仕入れて、10万円の利益を上乗せし、110万円で販売したとします。税率が10%と仮定します。

 

もし「必要経費」を控除しないで計算すると、所得税は11万円(収入110万円の10%)です。

しかし、実際には「儲け」 部分の利益は10万円だけです。これでは利益よりも所得税が多くなり、損してしまいます。売るたびに1万円損してしまいます。商売として成り立ちません。

そのため収入から、商品を仕入れた代金を差し引いた「利益部分にのみ課税」することにしています。

収入 110万円 ー 仕入れ代金 100万円 = 所得 10万円

所得 10万円 × 10% = 所得税 1万円

 

これなら、儲け(利益)10万円に対して、1万円を所得税として国へ納付するので、商売を続けられます。この10万円が課税所得です。

 

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給与の「必要経費」とは

 

個人事業主などは、商売に必要な経費を、仕入れ代金の領収書などで個別に計算できます。しかし毎月、給与をもらっている会社員は、必要経費に相当する部分を証明するのは困難です。実際には給与を稼ぐために必要な経費があるはずですが、具体的に証明できません。

 

そのため「給与所得控除後の給与等の金額」を設定し、必要経費を控除した後の給与と仮定し、給与をもらっている人の「所得」とみなしています。

給与 ー 必要経費 = 所得 「給与所得控除後の給与等の金額」

 

「給与所得控除後の給与等の金額」は、会社員向けの所得一覧表です。国税庁が毎年作成しています。

令和2年分 年末調整のしかた 84ページ

給与の所得金額

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年末調整の対象となる期間、判断する時期

 

年末調整の金額を計算するときは、対象となる期間、判断する時期、を最初に理解しておくことが重要です。所得税を計算するための年末調整では次のとおりです。

 

対象となる収入の期間

年末調整を行う年の、1月1日から12月31日までの1年間の収入が対象です。通常、年末調整手続きは11月~12月前半に行います。書類の準備は10月頃から始めます。

会社員であれば、12月の給与(またはボーナス)支給時に年末調整を行うことになります。

 

控除額などを判断する時期

「年末調整を行うとき」に判断します。ただし、年齢は12月31日現在で判断します。

扶養親族が増えたり、減ったりすると、大きく所得税が変わります。

 

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「配偶者の合計所得金額」とは

 

配偶者の収入が、給与収入だけでなく、雑所得も含まれる場合、どのように計算すれば良いか悩みました。そこで税務署へ電話確認しました。(注意したい点は、所得の種類が複雑なところです。判断もまちまちになります。わからないときは、税務署へ聞くようにしたほうが安全です。具体例で質問すれば、税務署の人は、とても丁寧に教えてくれます。)

配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算

配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算

 

給与収入だけであれば、必要経費を除いた所得の一覧が、申告書の裏面に記載してあります。その表にあてはめて計算すれば、簡単に所得金額が求められます。

給与所得の金額の計算方法

給与所得の金額の計算方法

 

しかし、雑所得の場合は、実際に計算しなければなりません。私の場合、給与以外に雑所得がありました。雑所得は、ネット収入(アフィリエイトやアドセンス収益、電子書籍の販売)です。

 

雑所得なので、具体的な計算方法がわからず、税務署へ電話確認しました。(個人事業主として開業していれば事業所得になるかもしれません。このあたりの判断はケースバイケースです。税務署へ確認した方が安全です。)

 

「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」欄の記載方法

 

「給与所得」の「収入金額」

「給与所得」の「収入金額」

「給与所得」の「収入金額」

給与所得の場合は、「収入金額」欄は、税金や社会保険料を天引きされる前の金額です。1月から12月までの見込み額を記入します。年収が昨年と同じくらいであれば、今年発行された源泉徴収票の「支払金額」欄の金額を記載しましょう。

 

「給与所得」の「所得金額」

「給与所得」の「所得金額」

「給与所得」の「所得金額」

申告書の裏面、右下にある「給与所得の金額の計算方法」にあてはめて計算します。

給与所得の金額の計算方法

給与所得の金額の計算方法

 

「給与所得以外の所得の合計額」(雑所得など)の「所得金額」

給与所得以外の所得の合計額

給与所得以外の所得の合計額

雑所得は、収入金額から必要経費を控除して算出します。

収入 - 必要経費 = 所得金額

 

必要経費は、収入を得るのに必要になった経費です。ネット収入でブログを運営しているのであれば、レンタルサーバー代、ドメイン代、電気代などが該当します。確定申告の所得と同じ考え方です。

 

ただし、確定申告のときは、所得金額から「基礎控除」や「社会保険料控除」、「生命保険料控除」などの控除項目が差し引かれますが、今回の所得金額欄では関係ありません。控除項目は、本人が確定申告するときのものです。配偶者の所得としては、収入から必要経費を除いた所得だけです。

 

「確定申告をしないことを選択した一定の所得」

裏面の4(2)に記載してある「・・あるいは確定申告をしないことを選択した一定の所得は含まれません。・・」とは、申告分課税を選択した上場株式等に係る配当所得や、源泉徴収選択口座を使用している所得です。

 

ネット収入、民間会社の個人年金、電子書籍の販売収入などは「確定申告をしないことを選択した一定の所得」に該当しません。

 

給与所得と、雑所得などの「合計所得金額」に基づいて、配偶者控除や配偶者特別控除が適用されるか判断します。

 

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健康保険の「被扶養者収入要件」との関係

 

会社員は、配偶者や家族を、健康保険の「被扶養者」にしているケースが多いです。そのとき注意したい点が、健康保険の「被扶養者の収入要件」です。年末調整の所得税とは、考え方が異なる点を理解しておきましょう。

 

所得税は、過去(1月から12月まで)の収入に対して、税金がかかります。(課税されます。)

 

健康保険の被扶養者の収入要件は、健康保険に加入した後、将来の1年間に得る収入で判断します。

 

つまり、金額の集計単位が異なります。また所得の考え方も異なります。健康保険の収入要件では、「減価償却費」は考慮されません。民間会社の個人年金を受け取るときも次のように考え方が大きく異なります。

個人年金を複数年で受け取ったとき

所得税 過去に支払った掛金は、必要経費として控除できます。

健康保険 必要経費という考え方はありません。

 

所得税と、健康保険の収入要件は、とても紛らわしいです。しかし、勘違いすると、金額を大きくミスしてしまうことがあるので注意しましょう。


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