旅費法で「日当を減額」するケース、旅費担当者の必須知識

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出張旅費
2020年8月 最後の豊島園

旅費を計算するときに「日当を減額する」ことがあります。旅費は、交通費+日当+宿泊料で計算します。このうち日当と宿泊料は定額です。しかし日当を全額支払ってしまうと、支給ミスになることがあります。旅費法で日当を減額しなければならないケースです。

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「旅費システム」は万全ではない

 

旅費の計算はとても複雑です。ルールが多すぎるのです。国家公務員等の旅費に関する法律、国家公務員等の旅費支給規程、各省庁の規則(内閣府所管旅費取扱規則など)、各組織で独自に定めている内部規則が多数あり、どのルールを優先すれば良いのかわからないのです。

 

また2014(平成26)年からは、府省共通の「旅費システム」(旅費等内部管理業務共通システム「SEABIS」)が導入され、自動的に旅費計算できるようになりました。「旅費システム」と聞くと、一見便利そうに思えます。しかし旅費法などのルールを正確に理解していないと、システムへ入力する段階で間違えてしまいます。間違った入力をしても気付かず、しばらく後になってミスが見つかり、旅費返納などのトラブルになってしまうのです。

 

「旅費システム」に限らず、どれほど「システム化」が行われたとしても、法令等の基本ルールを理解してないと、ミスを防ぐことはできません。システムは万全ではありません。システムを動かすのは人間です。入力ミスもありますし、勘違いして入力してしまうこともあるでしょう。システムを使ったとしても、最終的なチェックは人間が行うしかありません。

 

コンピューターシステムは、旅費法などのルールを解釈できません。「状況に応じて判断する」ことができないのです。複雑な内容では応用が効かず処理できません。

 

今回は旅費計算の中で、「日当」を減額しなければならないケースについて解説します。

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そもそも旅費法の「日当」とは

 

最初に、旅費法の「日当」とは、どういうものなのか根拠法令から確認します。

国家公務員等の旅費に関する法律(旅費法)

(旅費の種類)
第六条 旅費の種類は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、日当、宿泊料、食卓料、移転料、着後手当、扶養親族移転料、支度料、旅行雑費及び死亡手当とする。

6 日当は、旅行中の日数に応じ一日当りの定額により支給する。

 

「日当」は、1日あたりの単価が決まっています。単価は、職務のクラス(行政職3級など)で分かれています。給与の俸給表に連動しています。そのため組織によって職務のクラスは変わります。

 

そして、ここが重要なポイントですが、「日当」は、いわゆる手当ではありません。昼食代、近隣交通費、雑費です。「日当」の構成割合は、半分が昼食代です。

 

「日当の構成割合」は法令で定められていません。次の資料で日当の半分が昼食代であることが記載されています。

 

旅費業務に関する標準マニュアルVer2-0(2016年12月各府省等申合せ)

 

11ページ抜粋

「日当のおおむね半額を充てることとされている諸雑費(旅行中の昼食代や官署との電話代等)について・・」

12ページ抜粋

「・・ただし、昼食代の弁償が必要な場合、または宿泊を伴う場合は日当の1/2を支給する。」

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同一地域に30日を超えて滞在するときの「日当」減額

 

これは稀なケースです。長期出張(長期研修)のときに該当します。

 

旅費法

第九条 旅行者が同一地域(第二条第三項に規定する地域区分による地域をいう。以下同じ。)に滞在する場合における日当及び宿泊料は、その地域に到着した日の翌日から起算して滞在日数三十日を超える場合にはその超える日数について定額の十分の一に相当する額、滞在日数六十日を超える場合にはその超える日数について定額の十分の二に相当する額をそれぞれの定額から減じた額による。

 

同一地域「第二条第三項に規定する地域区分」は次のとおりです。

旅費法 第二条

3 この法律において「何々地」という場合には、本邦にあつては市町村の存する地域(都の特別区の存する地域にあつては、特別区の存する全地域)をいい、外国にあつてはこれに準ずる地域をいうものとする。但し、「在勤地」という場合には、在勤官署から八キロメートル以内の地域をいうものとする。

 

30日を超える長期出張の場合、日当と宿泊料が減額されるという規定です。超える場合なので、31日目から減額になります。減額する趣旨は、同じ場所に長期間滞在すれば、日常生活が効率的になるからです。生活に慣れてくると、安く食事ができる場所や、安く買えるスーパーなどを見つけることができます。節約した生活が可能になるので減額するという条文です。

 

注意したいのは、「必ず減額」しなければならない点です。減額しないと過大積算になります。この条文を知らずに、減額せずに支給してしまった場合は、旅費を返納してもらうことになります。あまり頻繁にないケースですが、基本的ルールとして理解しておく必要のある条文です。

 

日当の単価は、「30日を超えたら9割」、「60日を超えたら8割」と覚えましょう 。

また、減額するときの端数については、日当の単価自体が100円単位なので、1円未満の端数は生じません。減額調整するときは、1円未満の端数を(切り捨て、四捨五入など)どう処理するのか、必ず確認しましょう。旅費法では、端数の処理方法も条文として掲載されています。

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近距離(鉄道 片道50km未満など)の「日当」減額

 

移動する距離が少ない旅行は、日当を減額します。

旅費法
(日当)
第二十条 日当の額は、別表第一の定額による。

2 鉄道百キロメートル未満、水路五十キロメートル未満又は陸路二十五キロメートル未満の旅行の場合における日当の額は、公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情に因り宿泊した場合を除く外、前項の規定にかかわらず、同項の定額の二分の一に相当する額による。

3 鉄道、水路又は陸路にわたる旅行については、鉄道四キロメートル、水路二キロメートルをもつてそれぞれ陸路一キロメートルとみなして、前項の規定を適用する。

 

距離数は、用務先(目的地)までの「往復距離」です。

出張の多くは鉄道を使うことが多いです。覚え方としては「電車で片道50 km 未満の日帰り出張は、日当が半分になる」と覚えておきましょう。宿泊した場合は、本条文は関係ありません。定額全額を支給します。

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扶養親族移転料の「日当」減額

 

赴任に伴い「引っ越し」をした場合、家族についても、扶養親族移転料が支給されます。年齢に応じて日当を減額し支給します。日当の他にも宿泊料、食卓料、着後手当が減額支給されます。(扶養親族の範囲は、旅費法第二条に記載されてます。)

旅費法

(扶養親族移転料)
第二十五条 扶養親族移転料の額は、左の各号に規定する額による。
一 赴任の際扶養親族を旧在勤地から新在勤地まで随伴する場合には、赴任を命ぜられた日における扶養親族一人ごとに、その移転の際における年齢に従い、左の各号に規定する額の合計額
イ 十二歳以上の者については、その移転の際における職員相当の(略)日当(略)の三分の二に相当する額
ロ 十二歳未満六歳以上の者については、イに規定する額の二分の一に相当する額
ハ 六歳未満の者については、その移転の際における職員相当の日当(略)の三分の一に相当する額。
(略)
三 第一号イからハまでの規定により日当、宿泊料、食卓料及び着後手当の額を計算する場合において、当該旅費の額に円位未満の端数を生じたときは、これを切り捨てるものとする。

 

扶養親族移転料は、「ひとり」ごとに計算します。簡単に整理すると、次のとおりです。交通費は、鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃です。

扶養親族移転料 赴任に伴い家族も引っ越しするとき

12歳以上   日当3分の2 (交通費は全額)

12歳未満 6歳以上   日当3分の1(交通費は半額)

6歳未満   日当3分の1(交通費はなし)

 

交通費(鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃)は、年齢によって運賃が変わります。例えば、JRは、「こども(6歳~12歳未満)」の乗車料金は、「おとな」の半額です。「幼児(1歳~6歳未満)」と「乳児(1歳未満)」は無料です。

 

「日当3分の2」の計算順序は、2倍してから3で割ります。

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在勤地内(半径8キロ以内)の「日当」減額

 

近場の旅行については「在勤地内旅行」として定められています。「在勤地内旅行」は、旅費法だけでなく「国家公務員等の旅費支給規程(支給規程)」を必ず読んで下さい。旅費法だけ読んで計算すると、大きな失敗になります。旅費法では上限額を定めているだけです。実務上の旅費計算は、支給規程と各省庁で定める規則に基づきます。

旅費法
(在勤地内旅行の旅費)
第二十七条 在勤地内における旅行については、左の各号の一に該当する場合において、当該各号に規定する額の旅費又は当該旅費を基準とする日額旅費に限り、支給する。

一 旅行が行程八キロメートル以上又は引き続き五時間以上にわたる場合には、別表第一の日当定額の二分の一以内において財務省令で定める基準に従い、各庁の長が定める額の日当

 

国家公務員等の旅費支給規程(旅費支給規程)

(在勤地内旅行の旅費)
第九条 法第二十七条第一号に規定する基準は、左の各号に掲げるものとする。

一 旅行が、行程八キロメートル以上十六キロメートル未満の場合又は引き続き五時間以上八時間未満の場合には、日当の定額の三分の一に相当する額(その額に一円未満の端数があるときは、その端数に相当する額を控除した額)

二 旅行が、行程十六キロメートル以上又は引き続き八時間以上の場合には、日当の定額の二分の一に相当する額(その額に一円未満の端数があるときは、その端数に相当する額を控除した額)

 

旅費法第二条に「在勤地」の定義があります。在勤官署(建物単位ではなく、職場の敷地内)から8キロメートル以内の地域が「在勤地」です。在勤地を中心にすれば半径8キロ以内です。

 

上記の旅費法第二十七条と、旅費支給規程第九条の「行程」は、移動する距離の合計です。片道とか往復ではなく、目的地を巡回するのであれば、その移動距離(巡回距離)すべてを含みます。日当の中には交通費相当額が含まれています。さらに、公務上の必要で宿泊した場合は、宿泊料定額の二分の一に相当する額の宿泊料が支給されます。

 

わかりやすく整理すると次のとおりです。

在勤地内旅行の旅費

行程(巡回距離含む) 8km以上 16km未満(5時間以上 8時間未満)
日当 3分の1(1円未満切り捨て)

 

行程(巡回距離含む) 16km以上(8時間以上)
日当 2分の1(1円未満切り捨て)

 

行程(往復の距離だけでなく巡回距離も含みます。)が8 km 未満の旅行については、旅費法上では、何も支給されません。旅費法の対象外になります。しかし実務上は、「旅費」ではなく「物件費」として回数券を支給したり、チケット代を立替払いとして支払いすることが多いです。

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昼食代が必要ない場合の「日当」減額

 

旅費法上の日当は、昼食代と交通費・雑費です。日当の構成割合は、昼食代が半分と考えられています。日当に含まれる交通費は、出張先で近場を移動(巡回)するための切符代です。雑費は、職場への電話連絡などの通信費や、移動中の飲み物代です。食事時間帯以外にも水分補給は必要です。通常、職場でもジュースやお茶を飲みます。

 

日当の中に昼食代が含まれているので、他の公費で昼食代が支給される場合には、日当の半額を減額調整しなければなりません。

 

よくある例としては、会議の参加費の中に「昼食代」が含まれているケースです。例えば学会への参加費は、昼食を食べながら「ランチミーティング」することが多いです。学会参加費の中に昼食代が含まれています。そのため学会参加費と、日当の両方を支給すると、昼食代相当額が重複して支給されてしまいます。いわゆる二重払いになります。どちらかを返納しなければなりません。後日、会計検査で指摘されると、不適切な会計処理になってしまいます。ここは注意が必要です。

 

また出張へ行くときの出発時刻が、夕方や夜など、昼食時間帯でないことが明らかな場合にも、日当の半分を減額調整する必要があります。ただし、出発時刻が決まってないときや、事前にわからない場合は、減額調整する必要はありません。減額が必要なケースは、飛行機のフライトなどで出発時刻が明確になっている場合のみです。例えば、深夜0時に空港を離陸する飛行機で、職場あるいは自宅を出発する時刻が夕方になるケースです。(早めに空港へ行くために、昼食時間帯に出発するのであれば減額する必要はありません。空港で手土産などを購入するために早く集合するときは減額不要です。)学会参加費などの昼食代のケースとは異なり確認資料が存在しません。実務上は、出張者本人からの申し出により判断することになります。

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官用車利用の場合の「日当」減額

 

「日当」の構成割合は、半分が昼食代、残り半分が交通費・雑費です。(半分が交通費、残りが昼食代と雑費、とする考え方もあります。簡単に言えば、日当は、半分が昼食代、半分が交通費です。)

 

「日当」に含まれる交通費は、出張先(目的地)での近隣を巡回するための交通費です。例えば用務先から少し離れた場所に宿泊場所があるケースや、用務先が複数あるときです。電車やバスで移動するときに少額(500円程度)の交通費が必要になるからです。

 

しかし官用車を利用して出張するときは、交通費が必要になる距離であれば官用車で移動します。電車やバスに乗る必要はなく、交通費を必要としません。そのため交通費相当の「日当の半分」を減額することになります。(ただし組織によっては内部規則で減額しないことを定めていることもあります。)

 

官用者使用による日当の減額調整は、法令には明記されていません。次の質疑応答などでも記載されています。

「質疑応答式 官公庁会計事典」(平成14年1月25日 改訂9版 452ページ 番号NO678)

質問タイトル 往復四五キロメートルの預託先銀行へ官用車を利用した場合の日当

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