請求書や納品書、見積書などが必要な理由、「契約書類一覧」の解説

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契約手続き
2020年9月 忍野八海
契約手続き

官公庁(役所)の契約手続きに必要な書類一覧です。民間企業から取り寄せたり、契約実務担当者が作成する書類について、「なぜ必要なのか?」という視点からまとめました。契約書類の役割、必要とする根拠法令を確認したいときに役立ちます。

 

国(各省庁や下部機関)を対象とする根拠法令と、地方自治体を対象とする根拠法令を併記して記載しました。

国を対象とする法令

会計法
予算決算及び会計令(予決令)
契約事務取扱規則
政府契約の支払遅延防止等に関する法律

 

地方自治体(都道府県や市町村)を対象とする法令

地方自治法施行令
政府契約の支払遅延防止等に関する法律
各自治体ごとの規則(条例)

 

なお、国の組織を対象にした簡単な「契約関係書類 一覧表」は次の記事をご覧ください。

これが欲しかった!必要な「契約関係書類」の根拠法令一覧
契約関係書類が必要となる根拠法令一覧です。

 

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請求書

 

官公庁(役所)が、契約代金を支払うときは、請求書に基づいて支払わなければなりません。これは遅延防止法(政府契約の支払遅延防止等に関する法律)第6条で定められています。

 

遅延防止法は、国の組織(各省庁や関係機関)だけでなく、地方自治体(都道府県や市区町村)にも適用されます。(第14条)

 

遅延防止法第6条では、「支払請求を受けた」後に支払うことが明記されています。

政府契約の支払遅延防止等に関する法律

第六条  対価の支払の時期は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については四十日、その他の給付に対する対価については三十日以内の日としなければならない。

 

第十四条 この法律(略)の規定は、地方公共団体のなす契約に準用する。

 

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検査調書

 

契約内容が履行されたとき(納品されたとき、工事が完成したときなど)に、官公庁側の契約実務担当者が、契約内容を確認し、契約どおりに完了しているか検査したときの調書です。一定金額以上(200万円)で作成します。検査調書の作成を省略した場合でも、原則として「検査」自体は省略できません。

 

会計法 第29条の11 第2項

契約担当官等は、(略)請負契約又は物件の買入れその他の契約については、政令の定めるところにより、自ら又は補助者に命じて、その受ける給付の完了の確認(略)をするため必要な検査をしなければならない。

 

予決令 第101条の9

第百一条の九  契約担当官等、契約担当官等から検査を命ぜられた補助者(略)は、検査を完了した場合においては、財務大臣の定める場合を除くほか、検査調書を作成しなければならない。

 

東京都契約事務規則 第51条

第五十一条 検査員は、(略)検査を完了した場合においては、(略)検査調書(略)を作成し、その結果を契約担当者等に報告しなければならない。(略)

 

大阪府財務規則 第69条 第4項

(略)検査をしたときは、直ちに検査調書(略)を作成しなければならない。(略)

 

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納品書、完了通知書、しゅん工通知書

 

契約の内容が履行されたときに、民間企業から官公庁側へ提出する書類です。契約書を取り交わす契約では、契約書に明記されています。これらの書類に基づいて検収(完了の確認検査)が実施されます。根拠法令は、国と地方自治体、両方が適用対象になっている遅延防止法(政府契約の支払遅延防止等に関する法律)です。

 

一般的に、契約の種類別に、次の書類を提出してもらいます。

 

物品の売買契約、製造契約・・納品書
役務契約・・完了通知書
工事契約・・しゅん工通知書

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律 第5条

第五条  (給付の完了の確認又は検査)の時期は、国が相手方から給付を終了した旨の通知を受けた日から工事については十四日、その他の給付については十日以内の日としなければならない。

 

「・・給付を終了した旨の通知・・」が、納品書などを指します。給付とは、契約内容を履行する(約束を果たす)ことです。

 

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契約書

 

官公庁(役所)が契約を締結するときは、一定金額以上(150万円など)の場合、契約書の取り交わしが必要です。契約金額が小さいなど、契約書の作成を省略するときは請書を取り寄せます。

会計法 第29条の8

第二十九条の八  契約担当官等は、競争により落札者を決定したとき、又は随意契約の相手方を決定したときは、政令の定めるところにより、契約の目的、契約金額、履行期限、契約保証金に関する事項その他必要な事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし、政令で定める場合においては、これを省略することができる。

 

地方自治法 第234条 第5項

第二百三十四条
5 普通地方公共団体が契約につき契約書(略)を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長(略)が契約の相手方とともに、契約書に記名押印し(略)なければ、当該契約は、確定しないものとする。

 

東京都契約事務規則 第36条

第三十六条 契約担当者等は、一般競争入札、指名競争入札若しくはせり売りにより落札者若しくは競落者が決定したとき、又は随意契約の相手方を決定したときは、遅滞なく次に掲げる事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし、契約の性質又は目的により該当のない事項については、その記載を要しないものとする。

 

大阪府財務規則 第64条

第六十四条 契約担当者は、契約を締結しようとするときは、次に掲げる事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし、契約の性質又は目的により該当のない事項については、この限りでない。

 

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請書(うけしょ)

 

契約書を省略したときに取り寄せる書類です。ただ、契約書のような強制力はなく、一方的に誓約するだけの書類です。そのため重要な契約(契約違反が問題になるような契約)であれば、金額に関係なく契約書を締結することになります。請書は、契約違反が想定できないような契約で使います。

契約事務取扱規則 第15条

第十五条 契約担当官等は、契約書の作成を省略する場合においても、特に軽微な契約を除き、契約の適正な履行を確保するため請書その他これに準ずる書面を徴するものとする。

 

東京都契約事務規則 第39条

第三十九条 契約担当者等は、前条の規定により契約書の作成を省略する場合においても、知事が指定する契約を除き、契約の適正な履行を確保するため、請書(別記第三号様式から別記第三号様式の七まで)その他これに準ずる書面を提出させるものとする。

 

大阪府財務規則 第66条

第六十六条 契約担当者は、前条の規定により契約書の作成を省略する場合においても、別に定める場合を除き、契約の適正な履行を確保するため請書その他これに準ずる書面を徴するものとする。

 

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予定価格

 

官公庁が契約を締結するときの基準価格です。過去の取引実例価格や、計画された予算に基づき予定価格を決定します。競争入札では、落札基準価格の役割があります。談合などの不正事件の温床にもなってしまう書類です。

予決令 第79条

第七十九条
契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載し、又は記録した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 

東京都契約事務規則 第12条

第十二条 契約担当者等は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、その競争入札に付する事項の価格を、当該事項に関する仕様書、設計書等(略)によつて予定し、その予定価格を記載した書面(略)を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。(略)

 

大阪府財務規則 第57条

第五十七条 契約担当者は、その一般競争入札に付する事項の予定価格を記載した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。(略)

 

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入札公告

 

一般競争入札(一般競争契約)を実施するときに、インターネット上に公開したり、職場の掲示板に貼ります。記載事項は法令で定められています。

 

予決令 第74条

第七十四条 契約担当官等は、入札の方法により一般競争に付そうとするときは、その入札期日の前日から起算して少なくとも十日前に官報、新聞紙、掲示その他の方法により公告しなければならない。(略)

 

地方自治法施行令 第167条の6

第百六十七条の六 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加する者に必要な資格、入札の場所及び日時その他入札について必要な事項を公告しなければならない。

 

 

東京都契約事務規則 第7条

第七条 知事及び契約担当者(以下「契約担当者等」と総称する。)は、一般競争入札により契約を締結しようとする場合においては、次に掲げる事項について、その入札期日(略)の前日から起算して十日前までに、東京都公報、入札情報サービス、掲示その他の方法により公告しなければならない。(略)

 

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見積書

 

随意契約を締結するときに必要な書類です。見積書は、民法(522条)で定める「契約の申込み」です。入札手続きの「入札書」と同じ役割があります。民間企業が見積書を官公庁(役所)へ提出し、官公庁側が、「これでお願いします」と「承諾」すれば契約が成立します。

 

予決令 第99条の6

第九十九条の六  契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。

 

東京都契約事務規則 第34条

第三十四条 契約担当者等は、随意契約によろうとするときは、契約条項その他見積りに必要な事項を示して、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。(略)

 

大阪府財務規則 第62条

第六十二条 契約担当者は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書(略)を徴さなければならない。(略)

 

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参考見積書

 

契約を前提とした見積書ではなく、通常の取引価格を調べるための見積書です。随意契約や入札手続きの中で、予定価格を作成するときに、「直近の取引価格」を調べるために必要となる書類です。

 

予決令 第80条第2項

第八十条
2 予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

東京都契約事務規則 第13条 第2項

2 予定価格は、契約の目的となる物件または役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

愛知県財務規則 第154条

2 予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期限の長短を考慮して適正に定めなければならない。

 

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定価表・カタログ(性能一覧)

 

契約手続きの「流れ」としては、最初に仕様書を作成し、その後に予定価格を作成します。しかし契約実務を長く経験すると、仕様書を作成する段階から「予定価格作成時」のことまで考えて、必要な資料を集めることができます。仕様書と予定価格は内容が同じなので、必要となる資料も共通のことが多いです。仕様書を作成するときは、最初にカタログが必要になります。

 

定価表は、予定価格を作成するために必要です。定価表ではなく、メーカーが発行する価格証明書のときもあります。消費税についての表示は必須です。

 

予決令 第79条

第七十九条  契約担当官等は、その競争入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格を記載し、又は記録した書面をその内容が認知できない方法により、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 

東京都契約事務規則 第12条

第十二条 契約担当者等は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、その競争入札に付する事項の価格を、当該事項に関する仕様書、設計書等(略)によつて予定し、その予定価格を記載した書面(略)を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。ただし、財務局長が別に定める契約においては、当該入札執行前にその予定価格を公表することができる。

 

神奈川県財務規則 第41条

第41条 入札執行権者は、入札に当たつては、入札に付する事項の価格を当該事項に関する仕様書、設計書等によつて予定し、その予定価格(略)を封書にし、開札の際これを開札場所に置かなければならない。

 


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