海外の研究者へ講演謝金を支払うときの源泉徴収で迷いました。海外在住の研究者が、日本国内でなく海外で講演を実施したときは、国内源泉所得に該当せず所得税を源泉徴収する必要はありません。ただし日本国内で講演するときは源泉徴収が必要です。
海外で実施する講演料の源泉徴収
海外在住の研究者へ海外での講演を依頼し、その謝礼として日本から海外送金で謝金を支払うときに源泉徴収が必要か迷いました。結論からいえば、源泉徴収の必要はありませんでした。
ただし日本国内で講演してもらえば源泉徴収20%が必要です。
国税庁のサイトに記載のある説明の抜粋
No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)の抜粋
No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)|国税庁居住者については、原則として、日本国内はもちろん国外において稼得した所得も課税対象とされますが、非居住者及び外国法人については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。
「国内源泉所得」には次のようなものがあります。
科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価
非居住者とは、1年以上日本に住んでない人です。非居住者なら源泉徴収の対象は国内源泉所得のみです。
所得税法は頻繁に改正されます。所得税の判断に迷ったときは、必ず税務署へ確認しましょう。また所得税の税率も毎年変わるので最新版を確認しましょう。
非居住者の海外での所得は対象になるか
海外に1年以上住んでいる人は非居住者です。海外での講演に対する対価は、所得税法の所得(国内源泉所得)に該当しません。
国内源泉所得の主なもの。
(4) 国内で人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価です。
(10) 非居住者に対する国内での勤務に対する給料等、賞与、退職手当、人的役務の提供に対する報酬や公的年金等
非居住者が日本国内で講演した場合には、国内源泉所得となり20%の税金を源泉徴収しなければなりません。しかし非居住者が海外で行った講演は、国内源泉所得には該当せず源泉徴収は必要ありません。
所得税法の非居住者とは
非居住者の判断がむずかしいです。参考に国税庁から抜粋します。
No.2875 居住者と非居住者の区分
http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2875.htm
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心が、どこなのか、で判定されます。
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
所得税の税率は毎年変わりますので注意
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収することが法律で定められました。(東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法)
合計税率 % = 所得税率 % × 102.1 %
税額の1円未満の端数は切り捨て
つまり当分の間、上記記事の税率に2.1%が加算されます。
例
10 % → 10.21 %
20 % → 20.42 %
コメント