官公庁の随意契約をわかりやすく簡単に解説します。そもそも随意契約とは、どのようなものなのか?なぜ批判されるのか?一般競争入札との違いはどこなのか?官公庁の契約担当者はなぜ随意契約をしたがるのか? 契約実務経験者が疑問にお答えします。
そもそも随意契約とは、どのようなものなのか?
随意契約は、公平な価格競争である一般競争入札を省略して、契約の相手方を決めるものです。事務簡素化を目的にしているので、契約担当者の判断で随意契約にするか決定できます。
また随意契約するかどうかの判断は、主に競争性の有無で別れます。
契約の相手方が一社しか存在しない場合は、競争性のない随意契約といいます。特殊な製品で製造メーカーからしか買えないケースです。
契約の相手方が 2 社以上あり競争が可能な場合は、少額随意契約といいます。競争性のある随意契約は、 事務簡素化のために、3社の見積書を比較して相手方を決定します。
随意契約の主なものは、この競争性のない随意契約と、競争性のある少額随意契約です。この他にも入試問題などを秘密にする場合や、災害時の緊急契約などの随意契約がありますが、極めて稀です。
なぜ随意契約は批判されるのか?
随意契約が批判される理由は、公平な価格競争を行っていないからです。
官公庁が税金を使うときには公平・公正でなければなりません。すべての国民から税金を強制的に徴収しているので、使う場合もすべての人に対して公平・公正でなければならないのです。
誰もが参加できる一般競争入札によって価格競争した結果、契約の相手方を決めるのであれば皆が納得します。しかし価格競争せずに、しかも契約担当者が恣意的に契約の相手方を選んでいるのであれば公平ではありません。さらに会計法令に基づかない手続きなら、公正性にも問題があります。特定の民間企業との癒着など怪しい契約になります。
随意契約が問題になるのは、契約の相手方を恣意的に選び公平性に欠けること、価格競争を行わずに契約金額が高いと疑われるところです。
随意契約は、一般競争入札と何が違うのか?
官公庁側の契約手続きを考えると、契約の相手方を決定するまでの期間が大きく違います。
随意契約なら 1 週間くらいで契約の相手方を決定できます。極端な例であれば 1 日でも可能です。ところが一般競争入札では、契約の相手方を決定するまでに 2 ヶ月かかります。
つまり、契約の相手方を決定するまでの手続き期間に雲泥の差があるのです。
一般競争入札は、手続きのすべてが会計法令で細かく定められています。入札公告の記載事項や掲載期間、予定価格の作成、落札決定の方法まで会計法令に従わなければなりません。そのため手続き期間が長くなってしまうのです。公平性・公正性のためには、法令に基づいて慎重に手続きを進めることになり、長期間必要になるのです。
官公庁の契約担当者は、なぜ随意契約をしたがるのか?
官公庁の契約担当者が随意契約を目指すのは、手続きが簡単だからです。言い方を変えると、随意契約なら、簡単な手続きで安心して契約できるからです。
随意契約は、官公庁側の契約担当者が信頼できる営業担当者を選ぶことができます。信頼できる相手であれば、細かな書類を作らなくても問題ないのです。仕様書などは簡略化して契約の相手方を決めることができます。
契約担当者は、多数の仕事を抱えています。契約案件も同時に多数抱えています。少しでも早く契約手続きを終えたいと常に考えています。そのため会計法令に基づいて随意契約が可能であれば、手続きに時間のかかる入札ではなく、随意契約したいのです。
さらに詳しい内容を知りたいときは次の記事をご覧ください。
また一般競争入札と随意契約の手続きを比較した記事は次のとおりです。
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