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政府調達に関する協定が適用される国際入札の対象機関、基準額の推移

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イギリス ロンドン
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「政府調達に関する協定」が適用される国際入札についての解説です。そもそも国際入札はどのような手続きなのか、対象となる機関、基準額の推移です。どの契約が国際入札に該当するのか判断がむずかしいです。長期間の契約手続きになるので、早い時期から準備が必要です。

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国際入札の手続きは長期間必要

 

国際入札は、いろいろな呼び方があります。国際調達、特定調達、政府調達、特例政令など、いずれも同じ意味で使われています。国際協定(国際条約)の「政府調達に関する協定」が適用される高額な契約です。この解説では、一番わかりやすい「国際入札」という表現を使います。

 

 官公庁が実施する契約手続きの中で、高額な契約が国際入札に該当します。政府調達に関する協定は、「内外無差別の原則」と、「手続きの透明性」を基本理念としています。官公庁が実施する入札へ外国企業が参加できるように定めています。国際入札は、一般の入札に比べて、手続き期間が長く設定されているなど制約が多いです。通常の一般競争入札が契約を締結するまでに2ヵ月くらいかかるのに、国際入札になると6ヵ月(半年)くらいかかります。国際入札の中でも、さらに高額な契約になれば、1~2年かかります。

 

なにしろ国際入札は、尋常ではないほど手続きに時間がかかります。

 

例えば入札公告は、英文でも記載し、官報や公報へ長期間掲載しなければなりません。そして2ヵ月ほど待たなければなりません。外国の企業が入札へ参加できるようにしています。実際に外国企業の日本支社や、各国の大使館などが入札公告を見て、本国へ情報を伝えています。

 

国際入札は、国際条約が適用されるので、日本の法律よりも厳格な手続きが求められます。一般的な法律よりも条約の方が優先されます。優先度は憲法の次に強いです。

 

国際入札が導入された経緯は、アメリカなどの外国から、「日本の市場が閉鎖的だ」とクレームがあり、1979(昭和54)年にGATTにより制度が構築されました。最初の頃は物品調達のみが対象でした。その後WTOに基づき、役務や工事なども対象になり、地方自治体も含めるなど範囲が拡大されてきた経緯があります。

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国際入札の対象となる機関

 

国際入札の対象となる機関は、次のとおりです。ぜひ、自分の組織が対象になっているか確認しておきましょう。

 

国の組織 ・・ 協定附属書Ⅰ付表1

会計法の適用を受ける国の機関、各省庁や附属組織です。

 

外務省トップページ > 外交政策 > 経済外交 > 国際的ルール作りと政策協調の推進 > 世界貿易機関(WTO) > WTO政府調達協定 > 協定附属書I付表1に掲げる中央政府の機関

 

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地方自治体 ・・ 協定附属書Ⅰ付表2

都道府県と指定都市です。指定都市は、大阪市や名古屋市から岡山市や相模原市などです。

 

外務省トップページ > 外交政策 > 経済外交 > 国際的ルール作りと政策協調の推進 > 世界貿易機関(WTO) > WTO政府調達協定 > 協定附属書I付表2に掲げる地方政府の機関

 

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国際入札の対象になる基準額

 

国際入札は手続きが複雑で大変なので、すべての入札が対象ではありません。一般競争入札に該当する契約のうち、さらに一定金額(基準額)以上のものだけが対象です。それこそ、すべての入札を国際入札にしていたら、官公庁の業務が完全にストップしてしまいます。なにしろ契約を締結するまでに半年から1年以上かかるのです。そんなに待っていたら行政が完全に麻痺します。(極端な言い方ですが、ゴミの収集を半年放置していたらどうでしょう。日本列島ゴミだらけになります。)

 

国際入札の対象となる基準額は、次のとおりです。およそ2年ごとに基準額が変わります。

 

国際入札基準額の推移(物品調達の場合)

令和 4 ・ 5年度 1,500万円(地方政府は3,000万円)
令和 2 ・ 3年度 1,500万円(地方政府は3,000万円)
平成30・31年度 1,500万円(地方政府は3,000万円)
平成28・29年度 1,600万円(地方政府は3,300万円)
平成26・27年度 1,300万円(地方政府は2,700万円)
平成24・25年度 1,600万円(地方政府は2,500万円)

 

外務省のサイトに契約の種類別に基準額が掲載されています。この基準額の判断は、消費税や据付調整費など「すべてを含めた金額」です。契約代金として支払う金額で判断します。

 

国際入札の基準額は、頻繁に改正されます。高額な契約を計画するときは、外務省のサイトで最新の情報を確認しましょう。制度が始まった昭和55年の頃は、基準額が3,000万円以上だったように記憶してます。この頃はパソコンもインターネットも普及してない時代でした。

 

外務省トップページ > 申請・手続き > 調達情報 > 政府調達協定及び我が国の自主的措置の定める「基準額」及び「邦貨換算額」

 

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国際入札に該当する契約の判断

 

国際入札は、契約の種類ごとに基準額が異なります。物品購入契約は、わかりやすいのですが、それ以外の契約が該当するかの判断は、非常にむずかしいです。

 

外務省のサイトには、国際入札の対象になる契約が掲載されています。ただ、実際の契約が該当するのか具体例が記載されていません。これは国際協定という外交政策のために、その時々で判断が変わるためです。日本で決めたとしても、海外から批判されれば変更せざるを得ないからです。外交政策なので、海外の判断に影響されてしまうのです。

 

外務省トップページ > 外交政策 > 経済外交 > 国際的ルール作りと政策協調の推進 > 世界貿易機関(WTO) > WTO政府調達協定 > 改正協定附属書I付表5に掲げるサービス及び付表6に掲げる建設サービス

 

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なお科学研究費補助金は、研究者個人への補助金なので、国際入札は適用されません。一方、委任経理金(奨学寄附金)を財源とする契約は、国際入札が適用されます。税金を使っていなくても、対象機関として調達するので該当します。

 

調達機関(組織)の予算を使い、組織の判断で契約するものが国際入札の対象です。科学研究費補助金は、研究者個人が何に使うか判断します。個人の研究のために使用する補助金なので、国際入札の対象ではありません。

 

とても、ややこしいので注意しましょう。国際入札に該当しそうなときは、事前に各省庁の担当部署へ「国際入札に該当する契約か」確認した方が良いです。

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コメント

  1. 勉強中 より:

    初めまして。
    “国際入札とは、政府調達に関する協定の対象範囲、対象基準額の推移”のページで
    「科学研究費補助金は、研究者個人への補助金なので、国際入札は適用されません。」という記述があったのですが、根拠となる通達や公式文書等を教えていただけますでしょうか。他にも政府調達の対象外となる予算等の条件があるのか知りたいためです。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    • 矢野雅彦 管理人 より:

      コメントありがとうございました。

      科研費が国際入札の対象でないことを、わかりやすく記した通知や文書はないと思います。

      政府調達に関する協定は、外務省のサイトにも記載されていますが、「協定が適用される調達機関」が明記されています。中央政府、地方政府、独立行政法人などが対象です。調達機関の予算を使って契約する場合が該当します。

      https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/chotatu.html

      一方、科学研究費補助金は、「科研費ハンドブック」研究者用2021年版(P7)に明記してあるように「科研費は、研究者個人の独創的・先駆的な研究に対する助成を行うもの」です。応募資格も研究者個人の資格ですし、補助事業者として研究代表者が応募します。審査も研究者個人の研究内容を審査します。交付決定通知も研究者個人あてです。

      https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/index.html

      また、「科研費FAQ」 R3.10版(P15)の質疑応答では、科研費は機関の予算でないことを次のように明記しています。

      【Q4204】 直接経費を、大学の「預り金」として大学が保有する銀行口座で管理しても差し支えないでしょうか?
      【A】 大学の「預り金」とすることは可能ですが、科研費管理のための専用の銀行口座によって管理してください。

      【Q4207】 地方公共団体の研究機関において科研費(直接経費)の送付を受ける場合、地方公共団体の収入に計上し、予算化する(県の口座に入れる)必要があるでしょうか?
      【A】 科研費は各研究機関で管理していただきますが、各研究者に対して交付されるものですので、地方公共団体の収入、予算に計上する必要はありません。

      つまり科研費は、研究者個人へ交付する研究費であり、機関はお金の管理を行うだけです。簡単にいうと、科研費は研究機関の予算には含まれないわけです。極端な言い方をすれば、「科研費は研究機関のお金ではない」という考え方です。

      そのため機関(組織)を対象とした国際入札には該当しないのです。

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