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会計法令の解説

遅延防止法に基づく遅延利息の計算例、遅延利息の率は財務省告示

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会計法令の解説
2014年 奈良
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契約代金の支払いが遅れてしまうと、遅延利息を支払わなければなりません。遅延防止法は、契約代金の支払期限を定めています。遅延利息の利率は、財務省告示で公表されているので、簡単に遅延利息を計算することが可能です。遅延利息計算用のエクセルシートも利用できます。

 

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代金の支払いが遅れると遅延利息を支払うことに

 

官公庁が契約代金を支払うときは、一定期間内に支払わなければなりません。支払期限を過ぎてしまうと、政府契約の支払遅延防止等に関する法律(遅延防止法)に基づき、遅延利息を支払うことになります。遅延防止法は、国と地方自治体の両方(つまり官公庁すべて)が適用対象です。

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律

 

第八条  国が約定の支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、約定の支払時期到来の日の翌日から支払をする日までの日数に応じ、当該未支払金額に対し財務大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率を乗じて計算した金額を下るものであつてはならない。(略)

 

第十四条 この法律(略)の規定は、地方公共団体のなす契約に準用する。

 

遅延防止法第八条の本文では、「国が・・」とありますが、第十四条で、「地方公共団体のなす契約に準用する」と記載されています。国と地方公共団体すべてが対象です。遅延防止法は、官公庁すべてに適用される法律です。

 

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遅延利息の率は、2.6 %から 2.5 %へ(2021年4月1日)

 

支払期限を過ぎてしまったときは、遅延利息を支払うことになります。そして利率は上記、遅延防止法 第八条の「財務大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率」です。財務省の告示「政府契約の支払遅延に対する遅延利息の率」として公開されています。告示とは、公式に知らせることです。

 

2021(令和 3)年4月1日から適用される遅延利息の率は次のとおりです。

 

 年 2.5 %

 

2021(令和 3)年3月9日財務省告示第49号により改正され、2021(令和 3)年4月1日から適用です。

 

政府契約の支払遅延に対する遅延利息の率(財務省告示)

 

参考に過去の遅延利息の率です。

2021(令和 3)年4月1日から  年 2.5 %

2020(令和 2)年4月1日から  年 2.6 %

2017(平成29)年4月1日から  年 2.7 %

それ以前 年 3.0 %

 

遅延利息の率は、物価上昇率などの経済状態によりますが、数年に一度、改正されます。最近はわりと頻繁に改正されているので、最新の情報を確認しましょう。

 

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遅延利息の計算方法(EXCEL 付)

 

それでは具体的に、遅延利息の支払方法を解説します。遅延利息は次の規定に基づき計算します。

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律

第八条 国が約定の支払時期までに対価を支払わない場合の遅延利息の額は、約定の支払時期到来の日の翌日から支払をする日までの日数に応じ、当該未支払金額に対し財務大臣が銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率を乗じて計算した金額を下るものであつてはならない。(但し書きは略)

 

2 前項の規定により計算した遅延利息の額が百円未満であるときは、遅延利息を支払うことを要せず、その額に百円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てるものとする。

 

(具体例)

物品代金の支払
支払の時期は、請求書受理日から30日以内(第六条に該当)

請求書受理日 6月1日

支払期限 6月30日

遅延して支払った日(振込日) 7月30日

 

この場合、遅延日数は、支払期限翌日の7月1日から、遅れて支払った7月30日までの30日間です。休日や祝日に関係なく、暦日数で計算します。利息を計算するときは、年間の暦日数に対する遅延日数で計算します。うるう年があると、年間の日数が変わるので注意しましょう。

 

契約代金 1,000,000円

遅延利息の率 年 2.6パーセント

 

遅延利息の計算(端数処理前)

1,000,000円 × 2.6 ÷ 100 × 30 ÷ 365 = 2,136.99円

 

未払金額 × 利率 × 遅延日数 = 遅延利息

 

次に、端数処理(百円未満切り捨て 第八条 第二項)します。

 

2,136.99円 → 2,100円

 

つまり、遅延利息として支払う金額は、2,100円です。

 

参考に、自動計算できるエクセルファイルです。ご自由にお使いください。ただし手計算で必ず金額を確認してください。

遅延利息計算用エクセルファイル

 

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遅延利息を支払う前に必要なこと

 

遅延利息を支払う状況になったときは、すぐに上司へ相談し、了承を得てから手続きを進めます。

 

なぜなら、遅延利息を支払うということは、重大な事務処理のミスになるからです。支払手続きが遅れなければ、遅延利息を支払う必要はありません。つまり、重大な事務処理のミスは、担当者ひとりの責任だけでなく、上司(係長、課長補佐、課長、部長などすべての直属の上司です。)の責任にもなるからです。

 

遅延利息の支払いは、「税金の無駄遣い」そのものです。支払手続きの担当者が多忙だったという理由は通用しません。忙しければ一時的に他の職員を応援させるべきだからです。そして、その責任を人事管理を担う上司が負うのです。

 

支払手続きが遅れたときの責任については、予算執行職員等の責任に関する法律で明記されています。遅延利息の支払いは、「・・国に損害を与えたとき・・」に該当してしまうのです。当然ながら懲戒処分の対象になります。(第六条)

 

予算執行職員等の責任に関する法律

 

第三条 予算執行職員は、法令に準拠し、且つ、予算で定めるところに従い、それぞれの職分に応じ、支出等の行為をしなければならない。
2 予算執行職員は、故意又は重大な過失に因り前項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。
3 前項の場合において、その損害が二人以上の予算執行職員が前項の支出等の行為をしたことにより生じたものであるときは、当該予算執行職員は、それぞれの職分に応じ、且つ、当該行為が当該損害の発生に寄与した程度に応じて弁償の責に任ずるものとする。

 

また、遅延利息を支払うときは、契約の相手方の事情も考慮すべきです。契約の相手方としては、遅延利息を受け取ることを希望しない場合もあります。運用方針にも説明があります。

 

政府契約の支払遅延防止等に関する法律の運用方針(抜粋)

五 遅延利息は

(略)また、特に相手方において積極的にこの債権を放棄する意思表示のない限りは、当然支払の義務を負い、その請求を俟たずして履行をなすべきである。(略)

 

この運用方針でも「・・積極的にこの債権を放棄する意思表示・・」とあるように、契約の相手方が受け取りを遠慮するようなら支払いません。遅延利息は、必ず支払うものではありません。

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