旅費法の日当(にっとう)についての解説です。旅費に含まれる日当を正確に理解している人は少ないです。多くの人は手当と同じように考えています。しかし旅費法の日当は、昼食代、交通費・雑費です。労働に対する報酬や謝礼を意味する日当とは違います。
日当とは
検索サイトのGoogleで「日当とは」と調べると、次のように表示されます。
にっとう【日当】
一日いくらと定めて支払う手当。一日の謝礼金。
これが多くの人に理解されている日当です。いわゆる「手当」を意味します。労働の報酬として受け取るお金をイメージすることが多いです。
ところが、官公庁が支払う旅費の中に含まれる日当は、意味が全く違います。旅費法(国家公務員等の旅費に関する法律)での日当は、昼食代を意味します。旅費法上の日当を正確に表現すれば、昼食代等です。
官公庁で研究費を使用するときに、この日当の意味を正確に理解していないと、不正使用を疑われてしまいます。真面目に研究していても、思わぬところで痛い目にあいます。
重要な部分ですので、くわしく解説します。
多くの人が理解している日当は、何か依頼されたことに対する労務提供の報酬です。本務でもらう給与以外の付加業務や、謝礼的な意味合いが含まれています。
例えば給与の中には、各種の手当が含まれます。家族手当、扶養手当、通勤手当、残業手当など各会社によって様々です。手当は、給与を構成する部分です。ほとんどの人は通勤手当と残業手当を、毎月給与としてもらっています。手当は、給与の一部として支給されます。給与は労働の対価なので使い道は自由です。
つまり一般的な日当は、給与と同じように理解されています。使用目的が限定されているわけではありません。
旅費法上の日当は昼食代
ところが、旅費法で定めている日当は、昼食代です。厳密には、昼食代と出張先を巡回するための交通費と雑費を構成内訳としています。
旅費法上の日当 = 昼食代 + 交通費・雑費
特に注意したい点は、日当の半分は昼食代と考えられていることです。例えば、学会参加費に昼食代が含まれていると、旅費との二重払いになります。不適切な使用になってしまいます。公費から旅費と学会参加費を受け取ってしまうと、知らないうちに昼食代を重複して受領してしまうのです。いずれも請求手続きが必要なので、本人が二重請求したことになるのです。出張者本人の責任になります。
国際学会などの参加費の中には食事代が含まれていることが多いです。海外は、食事する場所が限られています。国際学会ではランチミーティングが含まれていることが多いです。外国旅費として日当を受領し、さらに昼食代を含んだ学会参加費を公費から受領したとしましょう。すると、昼食代部分が二重請求(二重受領)になってしまうのです。旅費の日当と学会参加費の両方に昼食代が含まれているからです。
旅費法の日当は、半分が昼食代、残り半分が出張先の市内を巡回するための交通費です。ところが、これを明確に定めた法令はなく、運用上の慣例として、質疑応答集などに記載してあるだけです。重要な部分なのに、日東の半分が昼食代であることが法令で明記されてないのです。
そのため、次のように覚えておくことが重要です。
日当の半分は、昼食代
日当を正確に理解し、旅費の請求や、出張に関係する会計処理を行なう必要があります。
日当の減額が必要なケース
官用車を利用して出張するときは、日当の半分が出張先の交通費なので減額調整します。また夕方から出張先へ出発することが明らかで、出張途中に昼食代が不要のときは、日当を半額に調整します。
旅費と学会参加費の支払いを請求するときは、学会参加費の中に昼食代が含まれているか確認し、旅費を請求するときに、日当を半額に調整するよう依頼しなければなりません。出張者本人が申し出ないと、事務側では減額調整せずに支払ってしまいます。旅費を請求するときに「日当は半額に調整希望、昼食代は学会参加費で立替請求のため」とメモ書きして旅費請求書類を提出します。
旅費に含まれる日当を減額する主なケース
公用車、レンタカーによる出張(日当半額)
出発時刻が夕方である出張(日当半額)
学会参加費などに昼食代が含まれるケース(日当半額)
(朝食代や夕食代が含まれるときは宿泊料を減額調整します。)
参考に、旅費に含まれる食事代の割合については、次の記事を参考にしてください。
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