民間企業が負担する旅費で知っておくべきこと、癒着や利益相反に注意

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教授の出張旅費を民間企業が負担

 

国立大学の教員や研究者が、民間企業の研究者との打ち合わせで、出張することがあります。

 

この時、出張旅費を、民間企業が負担することの是非について、解説します。

 

通常は、国立大学の研究者等が出張するときの旅費は、国民の税金である国の予算を財源とします。給料も税金が使われています。

 

国立大学の運営経費は、学生の授業料で賄っていると思っている人も多いと思いますが、授業料などの自己収入は、運営経費の半分以下です。国立大学の運営経費のほとんどは、運営費交付金と呼ばれる税金や、科研費と呼ばれる税金で賄われています。

 

研究者等の出張旅費を、民間企業が負担する場合、研究者から見れば、民間企業の研究者との会話や情報交換によって、様々な情報や知見が得られ、未知なる課題を解決したり創造したりすることが可能になります。これは研究を進展させるために必要なことなので、民間企業が負担してくれるのは、税金の節約になり助かると考えます。

 

また、国立大学としても、同様に、民間企業が経費を負担してくれるなら、旅費予算の負担が軽減され、税金を原資とする研究費の節約になり、良いことではないかと考えます。

 

たしかに、旅費を民間企業が負担してくれるなら、その分の大学の経費負担、税金の負担が減り、節約になります。旅費法等でも明確に禁止する条文はありません。

 

 

 

業者との癒着、利益相反

 

国立大学と民間企業が、共同研究契約を正式に締結し、研究内容や事業化(研究成果の商品化等)についての取り決め、例えば、知的財産の帰属や利益の配分方法などを、契約書として正式に取り交わしていれば、利益相反も業者との癒着も払拭されているので問題ありません。

 

しかし、正式な契約手続きを経ずに、国立大学の研究者が、民間企業に旅費を負担してもらう行為は、次のような疑惑が生じます。

 

 

 

疑惑をもたれる行為

  • その出張用務は、民間企業のためではないか。(研究は、内容が複雑で広範囲であるため、大学の用務と民間企業の用務を区分することは不可能です。)
  • 特定の企業と癒着しているのではないか
  • 特定の企業へ便宜供与を行い、見返りを求めているのではないか

 

民間企業は営利企業ですから、社員である研究者の行動は、常に自社の利益に繋がらなければなりません。そうでなければ会社の背任行為になってしまいます。

 

つまり、民間企業が、教授などの国立大学に所属する研究者の旅費を負担することは、癒着を疑われ、特定の企業の利益のために行動している(利益相反のリスク)と見なされてしまうのです。

 

国立大学の研究者等から見れば、民間企業の研究者と一緒に研究することは、国の政策でもある産学連携の推進、研究成果の社会還元に資するもので、どこがいけないのかと疑問になると思いますが、その考え方自体が、公私混同であり、国が推進する産学連携制度を正しく理解していないのです。

 

国民の税金で給料をもらっている研究者等が、共同研究契約などの正式な手続を経ずに、特定の企業のために働くことは許されないのです。昔も今も、日本では、この考え方は変わりません。日本社会は「業者との癒着」を許さない、公正性を重んじる風習があります。

 

 

産学連携と業者との癒着

 

10年ほど前から、産学連携が推進されていますが、それ以前は、国立大学の研究者等が民間企業と一緒に研究することは、卑しい考えに基づく「業者との癒着」でした。これを回避する公正な手段として、共同研究契約の締結という制度が構築されたのです。

 

共同研究契約を締結せずに、国立大学の研究者等が自分の判断で民間企業と共同研究を行えば、それは「業者との癒着」であり不正です。

 

正式な手続を経ずに、民間企業に旅費を負担させる行為は、国立大学の研究者等にとっては、自殺行為です。けして負担してもらってはいけません。部分的な負担も同様です。便宜を図るために企業から接待を受けていると思われてしまいます。

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