営業初心者向け見積書の解説、契約に必要な見積書と参考見積書の違い

イギリスのロンドン 営業担当
イギリスのロンドン

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営業担当者向けの見積書についての解説です。民間会社の官公庁向け営業担当者の基礎知識です。官公庁が必要とする見積書は大きく分けて2種類あります。契約の申し込みとなる「見積書」と予算用の「参考見積書」です。両方の違いを理解して提出することが大切です。契約を獲得するためにも必須の知識です。

「見積書をお願いします」と言われたら

 

官公庁の契約実務担当者から見積書の提出を依頼されたとき、いつも取引している営業担当者は、官公庁向けの書類作成に慣れているので悩みませんが、初めての営業担当者は不安になると思います。お役所へ提出する書類は「何かと形式にうるさい」ので不安になるのです。

 

民間会社と官公庁の物品売買などの取り引きは、「私法上」の取り引きなので概念上は対等です。どちらが偉い(立場が強い)ということはありません。

 

「私法」に対する概念として「公法」があります。公法とは、法律に基づいて公益のために相手の行動(権利)を制約するような強制力を持つ行為のことです。統治関係にある場合です。

 

私法はお互いが対等な立場にある関係です。官公庁と民間会社との契約は私法上の対等な関係です。見積書の提出でわからない部分があれば遠慮なく聞くことが大切ですが、その前に基礎的な知識を持っておくとよいです。

 

見積書の種類

 

官公庁が事務処理上必要とする見積書は大きく2種類あります。ひとつは予算要求や事業の費用を見積もるための「参考見積書」です。もうひとつは契約締結を前提とした「見積もり合わせ」のための「見積書」です。

 

官公庁の契約担当部署から依頼される見積書は契約を前提としていることが多いです。予算用の参考見積書は必要とするケースが限定的なので、通常は官公庁側の担当者から「予算用」あるいは「参考のため」に提出を依頼しているとの説明があります。「見積書」と「参考見積書」は見た目は同じですが使用目的が全く異なりますので注意が必要です。

 

参考見積書とは

参考見積書は、上級官庁へ予算を要求するときなどに積算の根拠資料として必要になる見積書です。契約を締結するという前提はありません。予算を獲得するための見積資料です。

 

通常は予算要求で100%満額が認められることは稀です。事業の内容にもよりますが80%程度に減額査定されることが多いです。予算要求に使用する見積書は、通常の取引価格や標準価格で提出します。利益を極力抑えた思い切り値引きしたギリギリの見積金額で提出してしまうと、その金額が100%認められなかった場合に現実には契約できない予算額になってしまいます。

 

見積書とは

 

見積書は契約の締結を前提とした書類です。一般的に「見積書」といえば参考見積書ではなく、契約を締結するための見積書です。定価や標準価格が設定されているものは、値引き金額を記載して契約が可能な見積金額で提出します。官公庁へ提出する見積書は民法第521条の「契約の申込」となります。

 

民法

第二章 契約
第一節 総則
第一款 契約の成立

第五百二十一条  承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。

 

見積書を受け取った官公庁側の契約実務担当者が、見積書の内容を確認して「承諾」することで契約が成立します。承諾はメールでも電話でも有効です。官公庁側の契約実務担当者から「この見積書で正式な契約をお願いします。」と連絡があれば、契約の申込が承諾され契約成立です。

 

見積書の様式

 

官公庁へ提出する見積書は会社で日常的に使用している様式で問題ありませんが、次の項目は必須です。

 

日付(見積年月日)

 

会社印と代表者印
(会社の社長などの代表者でない部長職等は、別途委任状が必要になります。)

 

消費税を含むかどうかの明示

 

見積書の有効期限

 

納入期間(発注から納品までの期間)
正式契約後は、納入期限に遅れると履行遅滞として損害金などを支払うことになるので余裕を持った期間を設定します。

 

見積書のサンプル 無料です、ダウンロードして自由にお使いください。

見積書様式

 

見積書と参考見積書の区別(判断)

 

営業担当者の悩みの種だと思いますが、見積書を提出する際に、いくらの金額を提示すれば良いかです。

 

契約を前提とした「見積もり合わせ」として提出する場合は、利益を最少限に抑えた思い切った値引き金額で提出する必要があります。官公庁側の契約実務担当者は複数の会社へ見積書の提出を依頼し、その中から最安値の会社を契約の相手方として選びます。

 

チャンスは一度だけです。

 

契約を獲得したいときは、他社より安い金額で見積もるという気持ちで提出します。しかし他社の見積金額を聞いてはいけません、談合という犯罪行為になってしまいます。

 

一方、契約を前提としない見積書は「参考見積書」です。

 

契約の申込みではないので、金額もそれほど安くする必要はありません。査定の厳しい予算要求に使うときなどは「定価で出して欲しい」とさえ言われることもあります。

 

しかし、この判断が困難なときはどう対応すれば良いでしょうか。

 

 

「見積書」なのか「参考見積書」なのか

 

値引き金額を大きくした方が良いのか、値引きしない方が良いのか。

 

もし判断に迷ったときは、官公庁側の担当者へ次のように口頭で尋ねてください。(電話が良いです。メールでは答えられないこともあります。)

 

「この見積書は、見積もり合わせのものでしょうか?」

 

「他社に比べて一番安い金額を提示できれば契約を締結することが可能でしょうか?」

 

「見積もり合わせ用です」あるいは「一番安ければ契約可能です」という説明であれば契約の申込となる見積書です。思い切った値引き金額で提出します。

 

逆に「予算用」あるいは「事務処理上の参考として」などの説明であれば、契約を前提としてないので通常の取引価格あるいは定価での提出となります。

 

契約を前提としない場合は談合とかのリスクもないので、具体的に「定価で提出した方が良いか」聞くのも問題ありません。単なる参考資料なので次のように質問して構いません。

 

「定価で提出した方が良いでしょうか?」

「参考見積書として通常の値引きで提出した方が良いでしょうか?」

コメント

  1. 新人 より:

    いつも参考にさせていただいております。

    1点お聞きしたいことがございます。
    随意契約において、購入したい物品が「消耗品か」「備品」になるか微妙な価格帯のときに
    参考に見積書が欲しいときがあります。
    そのときは電話・メール等で「参考見積書」をくださいといえばよいのでしょうか。

    • 管理人 より:

      管理人です。
      コメントありがとうございます。

      ご質問のとおり、物品の価格を調べるために取り寄せる書類は、契約締結を前提としない「参考見積書」です。できれば電話で「契約は予定してないのですが、取引価格を調べたいので参考見積書の提出をお願いできますか?」と尋ねるのが良いです。そのときに消費税を記載してもらうと良いです。また、価格調査の後に、契約を締結するための「見積もり合わせ」を行うこともあります。

  2. 新人 より:

    管理人様

    ご回答誠にありがとうございました。
    2社分以上必要な相見積もりと違い、
    「参考見積もり」は1社分でも良いのが一般的なのでしょうか。

    私の部署では、契約依頼書の作成時に「参考見積もり」を最低1枚添付せよと
    言われていますが、これは法令等で決まっているわけでなく慣習なのでしょうか。

    • 管理人 より:

      管理人です、コメントありがとうございます。

      契約の事務手続きについては、各組織の慣習的な取り扱いがあると思います。一概に過去の手続きについて、良い悪いを判断することはできません。

      しかしながら、「参考見積書」は、本来、契約を前提としていない書類です。会計法令で「参考見積書」の添付を義務付けている条文はありません。もし、組織の中で明確な内部規則がなければ「慣習」と判断できます。

      ただ、官公庁における契約手続きは「明確なルール」に基づいて処理しないと、対外的な説明が困難になります。「適正な会計手続き」とは「公正なルール」に基づくものです。そして「公正なルール」は、組織の中でオーソライズされたものです。(就業規則や内部規則などは、一定のルールで作成されているはずです。)