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出張旅費

出張ではファーストクラスに乗れない!マイレージを使うと公私混同

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出張ではファーストクラスに乗れない 出張旅費
出張ではファーストクラスに乗れない
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公務員が海外出張するときに、ファーストクラスとマイレージが利用できるか解説します。国家公務員の出張旅費は、旅費法に基づいています。利用できる航空機の搭乗クラスに制限があります。しかし法令上はファーストクラスの利用が可能だとしても使うべきではありません。

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ファーストクラスが認められるケースとは

 

国家公務員の出張旅費は、旅費法(国家公務員等の旅費に関する法律)で決められています。旅費法の原則は実費弁償主義です。旅費の財源は税金なので、不必要な経費は認められません。旅費として認められるものと、認められないものが旅費法で定められています。旅費の基本的な考え方は、出張に必要な交通費や宿泊費などの費用の補填です。

 

民間企業でも、社長や役員クラスであれば、上級の座席クラスを使うことが一般的です。そのため旅費法でも役職に応じたクラス分けになっています。役職のクラスによって利用できる範囲が決められているのです。内閣総理大臣や指定職の上位の者は、ファーストクラスの利用が可能です。

 

しかし国民の税金を使用する公務員としては、ファーストクラスを利用すれば国民から批判されることは、2016(平成28)年の東京都知事辞職問題でも明らかです。都知事が辞職に追い込まれた主な原因は公私混同問題でしたが、公私混同問題の中に海外出張の旅費が相当数ありました。都知事がファーストクラスを使うのは当たり前という説明に対し、国民の多くが贅沢品と考え納得しませんでした。ファーストクラスは不必要な支出と多くの人が考えたのです。

 

2016(平成28)年12月に公表された、都政改革本部内部統制プロジェクトチームによる「知事の海外出張及び公用車の運用のあり方」に関する報告書でも次のように掲載されています。

 

「知事の海外出張及び公用車の運用のあり方」16ページの抜粋

知事は、ファーストクラスを利用せず、ビジネスクラスまでの利用とすべきである。

平成28 年5 月末の時点で、東京都を除く他の道府県のうち34 自治体において、知事のファーストクラスの利用が規定により明確に認められていたが、運用上、実際に知事がファーストクラスを利用したことがあるのは4自治体であった。しかし、その後いずれの自治体も運用上ファーストクラスは利用しないこととしている。

 

つまり、2017年以降は、法令上、ファーストクラスの使用が可能であっても、ビジネスクラスまでとするのが、税金の適正な支出です。

 

つまり公務員の海外出張では、最上位でビジネスクラスです。ただし、航空会社のオーバーブッキングでファーストクラスへ搭乗せざるを得ないなどの例外もあります。

 

参考に海外出張の航空賃について、法令を確認します。法令上は次のようにファーストクラスの利用が可能になっています。

 

国家公務員等の旅費に関する法律施行令

第七条

二 外国旅行の場合であって、内閣総理大臣等、指定職職員等及び職務の級が七級以上の者が移動するとき(略) 最上級の運賃の額

内閣総理大臣等、指定職職員等に該当する役職は、国家公務員等の旅費に関する法律施行令第一条で定められています。いわゆる大臣クラスです。

 

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アップグレードによるファーストクラスの利用は可能?

 

ビジネスクラスを予約していたにもかかわらず、搭乗手続きの際にアップグレードになることがあります。ビジネスクラスからファーストクラスへ無料で変更できるのです。ファーストクラスへの無料アップグレードは、頻繁に海外出張する人に対する航空会社の特典でもあります。

 

しかし公務での出張は、後日、よけいな批判を受けないよう、アップグレードは断るべきです。オーバーブッキングで座席がなく、止むを得ずファーストクラスに乗らざるを得ないときは、そのときの状況をメモしておき、旅費を請求するときに理由書を提出することになります。

 

旅費の事務処理では、航空賃の搭乗クラスを厳格にチェックします。搭乗券の写しを提出するときに、ファーストクラスを利用せざるを得なかった理由を書面で提出します。

 

稀なケースですが、個人で貯めたマイレージを使用してファーストクラスへ搭乗することは可能でしょうか?

 

結論からいえば、個人のマイレージを使ってもファーストクラスは避けるべきです。マイレージなので無料だとしても、ファーストクラスは贅沢品です。特に旅費法で認められていない者が、ファーストクラスに乗れば問題視されます。マイレージを使用して無料だとしてもファーストクラスは認められません。

 

そもそも公務での出張に、個人のマイレージを使用するのは、公私混同の疑惑を招く行為です。出張で個人のマイレージを貯めたり使用すれば批判を受けます。

 

国民の税金を使用した出張でマイレージを貯め、その後のプライベートな旅行でマイレージを使用すれば、見方によっては横領です。出張で個人のマイレージを使用することは、公私混同の疑惑を招くので使用すべきではありません。

 

マイレージは自粛することが、「旅費業務に関する標準マニュアルV2-0 2016年12月 各府省等申合せ」24ページにも記載してあります。以下は部分的に抜粋しています。

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もしファーストクラスに乗ってしまったら

 

止むを得ない理由もなく、単純な勘違いでファーストクラスに乗ってしまったときの対処方法です。うっかりしてファーストクラスに乗ってしまったときは、次のように手続きを行ないます。

 

提出する搭乗券半券の確認

ファーストクラスの搭乗券は F というマークが表示されています。もし搭乗クラスが不明であれば航空会社へ確認しましょう。

 

官公庁の旅費担当者は、搭乗クラスを最初にチェックします。搭乗券の半券に搭乗クラスが表示されているからです。ファーストクラスであればすぐにわかります。

 

ファーストクラスを利用した理由書の提出

どのような理由でファーストクラスを利用せざるを得なかったか、止むを得ない状況であったことを理由書にまとめます。くわしい経緯を記載し提出します。搭乗した本人しかわからないので、必ず本人が作成します。

 

ビジネスクラスあるいはエコノミークラスの見積書を用意

使用した航空会社あるいは旅行代理店へ、同じ行程で見積書を作成してもらいます。そして旅費を請求するときに、ファーストクラスとの差額運賃は自己負担することを明記して書類を提出します。旅費事務担当者へ書類を提出するときは、事前に電話で事情を伝えます。可能なら直接会って事情を説明します。ファーストクラスに搭乗すること自体が常識はずれの行為です。必ず反省の態度を示す必要があります。

 

搭乗券でファーストクラスを見分ける方法

航空賃を含む旅費の請求手続きには、証明書類として、領収書と搭乗券の半券が必要です。ほとんどの航空会社は、エコノミークラス(Y)、ビジネスクラス(C)、ファーストクラス(F)の記号が搭乗券の半券に印字されています。海外の航空会社は、日本とは別の記号のケースもありますが、インターネットで調べればすぐに判明します。旅行会社でも教えてくれます。

 

飛行機を使う出張で、搭乗券半券の確認が義務付けられたのは、過去に旅費の不正受給が横行したからです。航空賃は様々な割引運賃があります。不正受給の典型例は、正規料金の航空券を購入し、領収書を入手した後にキャンセルして、安い割引運賃の航空券を購入するものでした。正規料金の高い領収書で旅費を請求し、差額を懐に入れてしまう不正が多数見受けられたのです。

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地方自治体の旅費規程

国家公務員等の旅費に関する法律は、国家公務員が対象です。地方自治体は、それぞれの条例で定めています。参考に東京都の例です。

 

職員の旅費に関する条例(東京都の例)

(航空賃)
第十一条

2 (略)運賃の額の上限は、運賃の等級が区分された航空機により移動する場合には、最下級の運賃の額とする。ただし、次の各号に掲げる場合は、当該各号に定める額とする。

一 外国旅行の場合であつて、指定職職員が移動するとき(略) 最上級の運賃の額

二 外国旅行の場合であつて、運賃の等級が三以上に区分された航空機により指定職職員が移動するとき(略) 最上級の直近下位の級の運賃の額

 

東京都は、国よりも厳しく、ビジネスクラスまでにしているようです。大阪府も同じようにファーストクラスは禁止しています。

 

職員の旅費に関する条例(大阪府の場合)

第二十九条 航空賃の額は、次の各号に規定する旅客運賃による。

一 旅客運賃の等級を二以上の階級に区分する航空路による旅行の場合には、次に規定する旅客運賃

イ 指定職等の職務にある者については、最下級の直近上位の旅客運賃

ロ 指定職等の職務にある者以外の者については、最下級の旅客運賃

 

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