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2024年の旅費法改正案: 実務者視点での提案

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出張旅費の手続き出張旅費
出張旅費の手続き
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物価高騰に直面する中、旅費法の改正は実務担当者にとって救世主となる可能性があります。

 

この記事を読むことで、2024年の改正案が、現場の負担をどう軽減するかの具体的な提案を理解できます。実務担当者の声に耳を傾けた改正案のメリットを知ることで、効率的な旅費支給手続きの実現に向けた一歩を踏み出せます。

 

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旅費法の改正案が検討

 

2023年11月、財務省で旅費法(国家公務員等の旅費に関する法律)の改正案を検討しているとの公表がありました。2024(令和6)年に、旅費法改正案の国会提出を目指しているようです。

 

今回の旅費法の改正は、海外の物価高に対応できていないために検討が開始されました。日本国内だけを見れば、長引いた不況により、それほど物価は高騰していないので、現行の旅費法でも十分に対応可能です。

 

しかし、2023年に入ってからは、海外、特に欧米の物価高はすさまじく、アメリカではラーメン1杯が2,000円を超える(日本国内では600円前後です。)状況になっています。昼間のランチ代も欧米主要都市で3,000円以上など、日本(ランチ代700円前後)の3倍以上です。

 

海外のホテル代は、素泊まりで、一泊4万円以上です。東京都内なら1万円前後で宿泊できるので、海外はとんでもなく高いです。

 

海外の物価高は、原料費の値上げだけでなく、為替レートの影響も受けます。

 

海外の物価高の原因は、世界情勢(戦争なども含めて)が影響するので、ひとつの原因が解決すれば改善するような単純なことではありません。おそらく2024年以降も世界的に物価高が進行してしまうでしょう。(物価高に応じて賃金も上昇するなら、健全な経済発展なので、それは喜ばしいことですが。)

 

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旅費法改正を検討するときに必要なこと

 

官公庁における旅費の事務手続き(旅費計算や、請求から支払いまでの手続き)は、極めて複雑です。おそらく司法試験よりも複雑です。

 

旅費の支払い手続き(出張者本人へ支払うときは「旅費を支給する」といいます。このように言葉ひとつとても複雑なわけです。)を行うときは、様々なルールに基づかなければなりません。旅費法などの法令だけでなく、官公庁それぞれ各組織が定めた内部規則、運用指針などが無数にあります。旅費に関する法令や規則を100パーセント理解するのは、誰にもできない、無理な状況に陥っています。

 

この魑魅魍魎のような複雑怪奇な法令規則類を単純化して、出張者本人、旅費担当者が負担にならないような改正にしなければなりません。事務負担を増やすような旅費法改正をしてしまうと、税金がその分使われてしまうことにもなるのです。

 

そのため、まず重要なことは、旅費法の改正案を検討するときに、旅費実務担当者の意見を最優先で取り入れるべきです。

 

各府省(それぞれの官公庁)の代表者が集まって検討すると思いますが、課長以上(いわゆる幹部職員)は、旅費の実務をほとんど知りません。幹部職員の本務は人事管理なので、実務がわからないのは当然です。旅費に限らず、官公庁の施策が大失敗する原因のほとんどは、ここにあります。現場の実務を知らない人たちが議論して決めてしまうので、いざ実行しようとするときに、ことごとく現場で失敗するのです。(政府のIT化などは典型例でしょう。)

 

旅費の事務手続きは、現場の若い係員たち(常勤、非常勤、派遣職員、短期バイトなど)が担当しています。現場の負担になるような法律の改正は、絶対に避けなければなりません。

 

そのためには、旅費法改正案を検討するメンバーは、半数以上を係員クラスの実務担当者にしなければなりません。

 

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旅費実務担当者の意見が最優先

 

本来、旅費法の趣旨は、「実費弁償主義」です。これは今も昔も変わっていません。ただ実費弁償主義を、どこまで徹底するのか、という点が課題になります。実費弁償主義を優先してしまうと、旅費実務担当者の負担が無限大になってしまいます。そのため今までは、日当や宿泊料という「定額支給」の概念を取り入れ、実務担当者の負担を軽減し、旅費の支給事務を効率的にしていたのです。

 

例えば、想像してください。100%完全な実費弁償主義だとします。あなたが、1泊2日の場所にある出張を命ぜられたときに、次のように旅費担当者から書類を提出するよう依頼されたらどう感じますか?

 

宿泊料金を実費弁償とする場合

 

宿泊先のホテル名の住所と電話番号を教えてください。

 

ホテルの宿泊料が近隣に比べて妥当な金額だと証明できる書類を提出してください。

 

宿泊料の内訳が詳細に記載してある領収書を提出してください。もし内訳が不明ならホテルへ再度依頼し、詳細な明細のわかる領収書を再発行してもらい提出してください。

 

領収書に含まれている、飲食代の内訳を教えてください。アルコールは、何を何本飲みましたか?アルコール代は除いて請求し直してください。

 

(家族旅行ではないことを証明するために)ひとりで宿泊したことを示す資料を提出してください。

 

ホテルの宿泊料金と、夕食代金、朝食代金、それぞれの料金、サービス料と税金のわかる内訳資料をホテルから提出してもらってください。

 

日当(昼食代相当分)を実費弁償とする場合

 

昼食代金の領収書を提出してください。

 

領収書の内訳(人数、料理名、税金、サービス料)がわかる資料を提出してください。

 

味噌汁や飲料が含まれていた場合、それぞれの料金のわかる資料を提出してください。

 

飲食店の場所がわかる資料を提出してください。

 

どうでしょうか、これはごく一部だけです。実際には提出された書類を見て、追加で資料を提出してもらうことになるでしょう。実費弁償は、中身を確認するだけでなく、その金額が適正なのかまで判断しなくてはなりません。わずか1000円のランチの領収書を確認するだけで、数時間、不足書類があれば何日間もかかってしまうのです。過度の実費弁償主義は、はっきり言って、税金の無駄遣いでしかありません。

 

また、出張先では、その日の用務を終えた後に、居酒屋で乾杯することも多いでしょう。夕食の代わりに居酒屋で飲んだ場合、どのように実費分を把握するのでしょうか。おそらく基準を作成するのは無理でしょう。これらの実態を考えて、日当(昼食代相当)、宿泊料(ホテル料金、夕食代、朝食代)を定額として、中身をチェックしない(旅費業務が停滞するので)こととしているのです。

 

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実費弁償は現場が混乱する一番の原因

 

官公庁で会計実務を担当したことのある人ならわかるはずですが、旅費の業務は、なぜか「軽く見られている」のです。これはおそらく、実際に旅費を担当したことがない人たちから見ると次のように思ってしまうことが原因です。

 

なんだか、複雑でむずかしそうだけど、単なる計算だけなので誰でもできる仕事だろう。

 

今はWEB上で簡単に旅費が計算できるから、すぐに処理できるだろう。

 

このように、旅費実務を担当したことがないと、簡単に思えてしまうのです。それが影響して、安易に「実費弁償」といってしまうのです。

 

旅費担当者へ提出された領収書1枚を見ても、「催促をしても、なかなか提出してくれない」、「内訳が記載されていない」、「手書きの汚い字で読めない」などは日常茶飯事です。そのたびに旅費の支払い手続きが停滞し、ストレスにもなり、ものすごく大変なのです。

 

特に役職の高い人たちは、旅費の請求書類など、まともに提出してくれません。旅費実務など興味も持ちません。領収証など捨ててしまうでしょう。いったい、どうやって実費を確認すればよいのでしょうか?

 

そもそもが、旅費実務の負担を軽減するために定額支給を規定しているのに、担当者の人員を増加させずに実費弁償するには、矛盾し無理があるのです。

 

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旅費法改正の提案・・負担をなくす

 

旅費法を改正する場合、次の視点で検討する必要があります。

 

現場の実務担当者の負担を増やさない。

 

出張者本人の負担を少なくし、義務を明確にする。

 

実費弁償のための証拠書類を簡単にする。

 

そこで、次のような改正案が理想です。

 

原則は旅行代理店へ支払うようにし、旅行代理店を使わない場合だけ、簡単な実費弁償主義にする。

 

各官公庁で、実際の旅費支給内容に合わせて手配できる旅行代理店を事前に指定する。原則として旅行代理店を利用して、チケットや宿を手配する。事前に旅費として支給できないものを明確にしておき、旅行代理店へも周知しておく。旅費の支払いは、直接、旅行代理店へ支払う。

 

旅行代理店は、希望のある会社をリスト化し、官公庁内部のWEBで公開しておく。気軽に利用できるよう官公庁の近場、あるいは営業担当者が来訪できる会社を選んでおく。多数ある場合は、一覧表で配布しておくのも良いでしょう。

 

旅行代理店を利用した場合は、昼食代だけ領収書を提出してもらう、あるいは旅行代理店でクーポン券やチケットがあれば利用してもらう。

 

旅行代理店を利用しない場合は、次のとおり、出張者本人の責任を明確にする。

 

交通費(鉄道、バス、飛行機)については、WEBサイトの料金計算のコピーと、スマホで撮影した料金の記載してある切符の写真を添付する。

 

宿泊料金と日当については、支払いできないもの(アルコール類やケーキなどのおやつ)を事前に周知しておき、領収書の内訳に該当していないことをメモ書きして提出してもらう。請求金額は支払いできないものを除いて、出張者本人が、計算してから請求する。

 

外貨は、出張者本人が日本円へ換算してから提出する。

 

いずれも書類の提出期限(出張後1ヵ月以内など)を定め、期限経過後は支払いできないようにする。(書類不備で再提出のものは、再提出依頼があってから1ヵ月以内など)期限が経過し、請求が無効になったものは、すべて出張者本人へ返却する。旅行代理店を使わない場合、出張者本人が責任を持って請求することを義務化します。

 

旅行代理店を利用した方が負担が楽になれば、自然と、旅行代理店経由が増えます。また、対応の悪い旅行代理店は、複数の旅費実務担当者の判断によって、利用禁止にできるようにしておきます。書類を書き換えたり、虚偽の説明をしたり、書類処理が遅い悪徳業者を排除するためです。

 

旅費の支給自体を、出張者本人でなく、旅行代理店を使うことにするわけです。特に海外のホテルの予約などは(近隣の料金も参考に提出するように依頼しておけば)簡単になるでしょう。

 

また、旅費として支給できないもの(アルコール類、ケーキなどのおやつ、一定金額以上の宴会のオードブルなど)を明確にしておくことが必要です。個人的に思うのは、出張先で居酒屋でみんなで飲むのを禁止するのではなく、一定の基準(ひとりあたり夕食代や食卓料相当)まで認めることが重要です。実態に合わせたルールでないと意味がありません。

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