契約方式の根拠法令一覧です。契約の種類別に、国と地方自治体の根拠法令をまとめました。物品購入契約、物品製造契約、工事請負契約、役務契約それぞれについて、随意契約や指名競争入札が可能な範囲、一般競争入札になる場合です。
この解説での「契約方式」とは、官公庁が契約の相手方を選ぶ方法のことです。
官公庁における契約方式の違い|国と地方自治体の根拠法令一覧
官公庁の契約方式について、根拠法令をわかりやすくまとめました。契約方式を判断するときの基準金額は、参考見積書の金額(消費税など全てを含む総額)です。
この解説での法令名は、次のように省略してます。
会計法・・会計法
予決令・・予算決算及び会計令
自治法・・地方自治法
施行令・・地方自治法施行令
物品購入契約とは?官公庁で最も多い契約の方式と根拠法令
物品購入契約は、カタログ製品などの既製品を購入する契約です。メーカーが大量生産している製品の購入契約です。官公庁の中で、一番多い契約の種類になります。事務用品や消耗品、什器類、パソコンなどです。
【物品購入契約】随意契約が認められる金額
国 300万円以下・・予決令99-3
地方自治体・・施行令167-2-1 別表第5-2
都道府県及び指定都市 300万円以下
市町村 150万円以下
【物品購入契約】指名競争入札が認められる金額
国 500万円以下・・予決令94-2
地方自治体・・施行令167
金額ではなく、次の3つのケースかどうかで判断します。
①契約内容(性質又は目的)が一般競争入札に適しない
②競争に加わるべき者の数が少数
③一般競争入札に付することが不利
地方自治体の規定は判断が難しいです。指名競争入札を適用するのはリスクがあります。
【物品購入契約】一般競争入札が必要となる金額と法令根拠
随意契約あるいは指名競争入札に該当しないときに、一般競争入札になります。
国 500万円を超えるとき・・会計法29-3-1
地方自治体・・自治法234-1
都道府県及び指定都市 300万円を超えるとき
市町村 150万円を超えるとき
物品製造・工事請負契約の契約方式|契約金額ごとの適用法令まとめ
材料を使って何かを作る契約です。仕様書や図面に基づき製造します。
【物品製造・工事契約】随意契約が認められる金額
国 400万円以下・・予決令99-2
地方自治体・・施行令167-2-1 別表第5-1
都道府県及び指定都市 250万円以下
市町村 130万円以下
【物品製造・工事契約】指名競争入札が認められる金額
国 800万円以下・・予決令94-1
地方自治体・・施行令167
金額ではなく、次の3つのどれかに該当するかで判断します。
①契約内容(性質又は目的)が一般競争入札に適しない
②競争に加わるべき者の数が少数
③一般競争入札に付することが不利
【物品製造・工事契約】一般競争入札が必要となる条件
材料を使って何かを作る契約です。仕様書や図面に基づき製造します。
国 800万円を超えるとき・・会計法29-3-1
地方自治体・・自治法234-1
都道府県及び指定都市 250万円を超えるとき
市町村 130万円を超えるとき
役務・清掃・警備契約の契約方式とは?官公庁での取り扱い基準を解説
上記以外の契約です。役務契約は、主に人件費で構成され、何かの業務を行ってもらう契約です。清掃契約、警備契約、点検・保守契約などが該当します。
【役務契約】随意契約が認められる金額
国 200万円以下・・予決令99-7
地方自治体・・施行令167-2-1 別表第5-6
都道府県及び指定都市 200万円以下
市町村 100万円以下
【役務契約】指名競争入札が認められる金額
国 350万円以下・・予決令94-6
地方自治体・・施行令167
金額ではなく、次の3つのどれかに該当するかで判断します。
①契約内容(性質又は目的)が一般競争入札に適しない
②競争に加わるべき者の数が少数
③一般競争入札に付することが不利
【役務契約】一般競争入札に該当する金額ラインと判断ポイント
随意契約あるいは指名競争入札に該当しないときに、一般競争入札になります。
国 350万円を超えるとき・・会計法29-3-1
地方自治体・・自治法234-1
都道府県及び指定都市 200万円を超えるとき
市町村 100万円を超えるとき
国と地方自治体の契約方式の法的根拠|会計法と地方自治法の関係を整理
国と地方自治体の契約方式を判断する根拠法令の関係です。地方自治体は、都道府県及び指定都市が国と同一の基準です。市町村は、基準額が半分に抑えられています。予算規模や契約件数が少ないため半分になっています。
多くの条文は、次のように内容が対応しています。なお、それぞれの地方自治体で、基準額を低く設定するなど、さらに厳しい制限になっていることがあります。
会計法 = 地方自治法
予決令 = 地方自治法施行令
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