暫定予算の入札実施方法と契約書の条文記載例、暫定予算の編成方法

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国の事業実施は、国会での予算成立が必要

 

国の事業(官公庁のあらゆる業務)は、国会の議決に基づかなければなりません。予算(歳出予算など)が国会で成立することによって、国の事業が実施可能となります。

 

根拠法令は、憲法第八十五条と財政法第三十一条、三十二条です。

憲法

第八十五条  国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

 

財政法

第三十一条  予算が成立したときは、内閣は、国会の議決したところに従い、各省各庁の長に対し、その執行の責に任ずべき歳入歳出予算、継続費及び国庫債務負担行為を配賦する。

第三十二条  各省各庁の長は、歳出予算及び継続費については、各項に定める目的の外にこれを使用することができない。

 

官公庁が事務・事業を行なうときは、必ず、予算が成立しているという前提が必要です。ある業務を行なうときに、実際に何かの経費支出を必要としない状況でも、職員が業務を行なうわけで、その職員の人件費が必要になるからです。

 

アメリカでは、予算が成立しないときに、官公庁が閉庁になったとのニュースを時々聞きます。日本では暫定予算を組むので役所が閉庁して社会が混乱するケースはありません。

 

暫定予算とは

 

暫定予算は、財政法第三十条に基づき、当初予算が前年度中に国会で成立する見込みがないときに、官公庁の業務を継続させるため、予算上の「空白」を避ける目的で編成します。

 

財政法

第三十条  内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。

2 暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてなしたものとみなす。

 

実際の運用上、暫定予算は、過去に(1991年3月)自民、社会、公明、民社各党が「必要最小限の経費にとどめる」ことで合意していることに注意が必要です。

 

つまり、暫定予算は、読んで字の如く、暫定的な予算措置です。本予算(年間予算)が成立するまでの臨時の「つなぎ予算」です。

 

原則は、憲法や財政法で定めているとおり、国会の議決によって予算が成立しなければ、国は事業を実施できません。

 

日本は法治国家なので、憲法や財政法を遵守しなければならないことは当然です。

 

暫定予算の編成

 

そこで、暫定予算が見込まれる場合の正しい実務処理を説明します。

 

2013年1月現在、昨年12月16日の衆議院選挙による政権交代(民主党政権から自民党政権へ)で、政府内部も多忙らしく、暫定予算の準備が進められているか不安でした。

 

暫定予算の編成は次のように行います。

 

日常必要とする経費の洗い出し

 

本予算成立までの間、暫定予算期間に必要な最低限の予算を、各省庁と財務省で調整しながら編成し、国会の議決を経なければなりません。

 

手続きとしては、最初に、日常業務で必要となる経費の洗い出しが必要です。新規事業(人命に関わる震災の復旧費は例外ですが)は、原則として暫定予算には含めません。

 

人件費、光熱水料、毎日実施しなければならない業務(警備契約、清掃契約、エレベータの保守契約などで必要な経費)について、年間の支出実績から想定し、暫定予算期間分を計上します。

 

人件費であれば年間支出予定額×暫定予算期間日数÷365日

 

光熱水費や日常的な費用も同様な計算方法です。

 

その他、経常予算(毎年認められる基礎予算)の範囲内で、暫定予算期間中に契約しなければならないもの(債務負担が生じるもの)や支払が必要なものを計上します。

 

近年は、暫定予算の例が少なく、財務省をはじめとする各省庁の予算担当者も、暫定予算の編成を経験した人が少なくなってしまったようです。下記にも示すように、昔は暫定予算が頻繁に組まれていたので、予算担当者は、国会の状況を早い時期に予見し、かなり早くから準備を進めていました。

 

昔の予算担当者は、暫定期間分の予算書を早めに作成し、予算を執行する契約担当者は、暫定予算用の契約手続きも事前に準備していました。

 

暫定予算中の契約手続き、契約期間の表示方法

 

年度当初の4月1日から継続しなければならない契約は、契約関係書類を次のとおり作成しなければなりません。

 

平成25年度暫定予算が5月20日までのケースを例とします。

 

入札公告などの契約期間の表示方法

 

契約期間は、暫定予算の期間(4月1日から5月20日までとする)として、契約条件として次のように明記します。

 

契約期間 平成25年4月1日~平成25年5月20日

ただし、本予算が成立した場合には、契約期間を平成26年3月31日まで延長するものとする。

 

そして、入札は、通常どおり1年間の契約期間(契約内容)で実施します。

 

入札参加希望者へは、念のため、入札金額は1年間の金額を記入することを事前に十分説明します。

 

落札後は、落札金額が1年間分なので、契約の相手方から提出してもらう「落札内訳書」の中に、暫定期間分の金額と費用明細も記載してもらいます。

 

契約書の条文、契約期間の表示方法

 

契約書の中に記載する契約期間は、上記と同じく次のとおりです。

 

契約期間

4月1日から5月20日までとする。ただし、本予算が成立した場合は、契約期間を3月31日まで延長するものとする。

 

 

契約金額の欄も、暫定予算分の契約金額を明記します。

 

契約金額
4月1日から5月20日まで ○○○円
5月21日から3月31日まで ○○○円

 

過去の暫定予算の例

 

参考に、過去の暫定予算の例です。(20回以上ありました。)

 

■2012年度(平成24年度)
2012年3月30日暫定予算成立
4月1日~6日までの6日分

 

■1998年度(平成10年度)
1998年3月30日暫定予算成立
4月1日~18日までの18日分

 

■1996年度(平成8年度)
1996年3月29日暫定予算成立
4月1日~5月20日までの50日間
住宅金融専門会社(住専)の処理策で国会が空転したため

 

■1994年度(平成6年度)
4月1日~5月20日までの50日間
細川首相の佐川急便Gからの借入問題で紛糾

5月20日暫定予算の補正が成立
6月29日まで40日間延長

 

■1990年度(平成2年度)
1990年4月4日暫定予算成立
5月18日暫定補正予算成立
5月21日から6月8日までの19日間

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