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契約手続き

仕様書・予定価格同一の原則、仕様書を作成するときに忘れがちな点

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契約手続き
2007年 シンガポール
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競争入札を行うときは、最初に仕様書を作成します。仕様書の内容に基づいて契約金額の積算を行います。そして開札前には、仕様書に基づいて落札上限価格の予定価格を作成します。仕様書と予定価格の関係を確認しておきましょう。

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仕様書を作成するときは、予定価格の積算までイメージする

 

一般競争入札を実施するときは、官公庁側が求めたい内容を、仕様書として作成します。そして開札の前日までに予定価格調書を作成します。

 

入札手続きの流れは、次のようになります。

 

仕様書作成 → 入札公告公開 → 予定価格作成 → 入札・開札

 

入札を始めるときは、最初に仕様書を作成します。仕様書が完成した後で入札公告を公開し、質疑応答などの手続きが始まります。入札公告を見た参加者が書類を提出し、しばらくしてから(書類提出期限の2週間くらい後で)開札になります。開札の前日までに予定価格を作成するのですが、最初の仕様書を作成しているときに、つい忘れてしまいがちなことがあります。それは「仕様書に記載してないことは、予定価格でも積算できない」ことです。

 

仕様書に基づいて契約金額を積算するわけですから、冷静に考えればわかることなのですが、いざ仕様書を作り始めると、つい忘れがちになります。早く入札公告を公開したいと思い、仕様書の作成のみに集中してしまい、その後に作成する予定価格の存在を忘れてしまうのです。仕様書を書くときは、後で予定価格を作成することになるので、契約金額に影響する部分は明記しなくてはなりません。ここは注意が必要です。

 

 

仕様書に記載していない内容は、予定価格では積算できません。仕様書に記載してある部分のみ予定価格で積算可能です。

 

予定価格の積算を行なうとき、仕様書に記載していないことを含めてしまうと、予定価格の過大積算として、会計検査院などから指摘を受けてしまいます。

 

簡単にいえば、仕様書と予定価格は同一でなければなりません。これを「仕様書・予定価格同一の原則」といいます。

 

金額の大きい契約では、仕様書を作成する前に参考見積書を取り寄せているはずです。仕様書を作成するときは、「参考見積書の積算項目が含まれているか」確認しながら進めましょう。

 

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本体だけでなく、周辺のことにも注意

 

一般競争入札へ参加しようとする民間企業は、官公庁側から提示された入札説明書や仕様書に基づいて入札金額を見積もります。

 

例えば仕様書の中で、機器を接続するコードやケーブル類の記載を忘れてしまうと、かなり大きなミスになってしまいます。10台の新しいノートパソコンを増設し、職場内のネットワークへ接続しようと考えていたのに、接続に必要なLANケーブルやスイッチングHUBなどが仕様書に記載していなければ、民間企業側は「官公庁側で既に用意してある」と思い、契約の対象外としてしまいます。仕様書に記載がなければ、契約金額にも含めないですし、納品物にも含めません。

 

官公庁側は、LANケーブルも一緒に納品してくれると思っていても、仕様書に記載がなければ納品になりません。そして、これらのミスは契約手続きの最終段階の納品当日になってから判明します。

 

LANケーブルがなければ、物品を設置して性能検査を行うときに、ノートパソコンをネットワークへ接続できません。動作確認ができないのです。近くに電源コンセントがなければ、ノートパソコンを起動できません。契約内容どおりの性能を持つノートパソコンなのか確認できないのです。納品検査(検収)が実施できなければ、契約代金の支払も不可能になります。契約手続きがストップしてしまう事態になります。

 

納品日が3月31日の夕方になり、単年度予算の物品購入契約で、LANケーブルを用意できない状況であれば、年度内の納品検査を断念することになります。4月1日以降にLANケーブルを手配して納品検査を行っても、新年度予算で支払うことになってしまいます。旧年度予算が余ってしまったり、とても残念な契約になります。(本来、新年度で購入予定だった別の物品を断念することにもなってしまいます。)

 

仕様書の記載ミスなので、契約の相手方である販売会社に過失はありません。発注者である官公庁側のミスです。慌てて次年度に別途予算を確保して、追加でLANケーブルを購入することになってしまいます。

 

仕様書を作成するときは、本体のみでなく、機器を接続するコードやケーブル類、電源コンセントやLANコンセントの確認、据え付け調整の作業費までを含めて記載します。なるべく事前に参考見積書を取り寄せ、納品時の作業をイメージし、本体の動作確認ができるようにします。

 

参考見積書の項目に、「据付調整費一式」という表記があったときは、必ず内容を確認します。コードやケーブル類、電気コンセント、ガス栓、水道の蛇口、排水などが必要か確認し、今回の契約へ含めるものは、仕様書で明示する必要があります。

 

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仕様書を作成するときに忘れがちな点

 

物品購入を例に、契約金額に影響することが多い部分、仕様書を作成するときに忘れがちな点です。

 

仕様書を作成するときに忘れがちな点

 

〇 本体の附属品(本体を動かすのに必要なもの)

 

〇 インストールが必要なソフト類(仕事で必要なもの、インストール費用も検討が必要です。)

 

〇 本体を動かすために必要な周辺環境(ケーブル類、電気、ガス、水道、排気の確認)

 

〇 設置のときの搬入経路
本体の大きさと、エレベーターや廊下、入口ドアの間口の確認、大きな物品のときは、専門会社と一緒に歩いて実測すると安全です。

 

 

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コメント

  1. 新人 より:

    ※管理人様

    丁寧なご回答誠にありがとうございました。
    ご多忙な中恐縮ではございますが、下記の2点についてご回答いただけますと幸いです。

    ■1つ目
    仕様書が必要な条件として下記の内容を挙げられていますが、
    こちらの根拠法令等はございますでしょうか。
    >契約内容が複雑なとき。
    >契約金額が高額で入札や見積もり合わせが必要なとき。

    ■2つ目
    少額随契(HDMIケーブル購入など)で見積もり合わせをするときは
    仕様書はカタログのコピー等で良いと指示を受けたのですが、これは正しいのでしょうか。
    根拠法令等もあればご教示いただけますと幸いです。

    以上、よろしくお願い致します。

    • 矢野雅彦 矢野雅彦 より:

      管理人です、コメントありがとうございます。

      ■1つ目

      仕様書の作成については、会計法令等で定めているものはありません。仕様書は、販売会社に対して、発注内容(契約条件)を提示するための書類です。少額随意契約などで、契約内容が簡単なもの、つまり、後日トラブルにならないものであれば口頭でも可能です。

      ■2つ目
      上述とも関連しますが、HDMIケーブル購入契約などは、簡単な発注(契約)と判断すれば、仕様書は省略することもあると思います。貴組織が慣例的に実施していて、過去に外部から指摘を受けてないなら問題ないです。会計検査院や内部監査でも認めているものであれば問題ありません。

  2. 新人 より:

    管理人様

    いつも勉強させていただいております。
    仕様書についてお聞きしたいことがございます。

    ■1つ目
    上司によって、
    ・「消耗品は仕様書が不要、備品は仕様書が必要」
    ・「消耗品・備品に関係なく仕様書は作ったほうが良い」
    と意見が分かれるのですが、どちらが正しいのでしょうか。

    ■2つ目
    上司から
    「カメラやUSB等の情報機器は価格によらず仕様書を作らないといけない」
    と指示を受けたのですが、これは正しいのでしょうか。

    ■3つ目
    上司によって
    ・「消耗品は5万円以下ならどんな物でも消耗品扱い」
    ・「消耗品は5万円以下でも耐用年数が1年以上なら備品扱い」
    と意見が分かれるのですが、どちらが正しいのでしょうか。

    もしご存知でしたら根拠法令等を含めてご教示いただけますと幸いです。
    よろしくお願い致します。

    • 矢野雅彦 矢野雅彦 より:

      コメントありがとうございます、管理人です。

      ■1つ目 仕様書は次のときに作成します。会計法令上は消耗品と備品の区別はありません。

      契約内容が複雑なとき。

      契約金額が高額で入札や見積もり合わせが必要なとき。

      つまり、仕様書を省略するのは、契約金額が少額(数万円)で1社のみと契約するときです。ただし、組織によって慣例があると思います。

      仕様書を省略できないのは、「入札」と「見積もり合わせ」のときです。口頭では契約条件を提示できません。

      ■2つ目 上記と同じです。

      ■3つ目 組織内で規則を作成すべきです。政府系の予算を使用するときは10万円以上は備品扱いです。

      参考 タイトルで検索すると多数情報があります。

      「競争的資金における使用ルール等の統一について」
      平成27年3月31日(競争的資金に関する関係府省連絡会申し合わせ)

      3 使用ルールの統一

      消耗品や備品の購入に関するルールや、備品として管理する物品の金額、研究機器の購入方法等について使用ルールを統一する。
      (1)補助又は委託先の研究者及び研究機関は、耐用年数1年以上かつ取得価格 10 万円以上の物品は備品として、耐用年数1年以上かつ取得価格 50 万円以上の物品は資産として管理すること。

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