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契約手続き

少額随意契約の事務手続きを簡単に把握する、根拠法令と必要書類

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初めに少額随意契約を勉強 契約手続き
初めに少額随意契約を勉強
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官公庁の契約手続きで一番多い「少額随意契約」についての解説です。少額随意契約の根拠法令、手続きの流れ、必要書類を簡単に把握しましょう。仕様書の作成から見積もり合わせ、契約代金の支払いまでです。

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契約手続きで一番多い「少額随意契約」

 

例えば、官公庁が物品を購入する契約の場合、国や都道府県は160万円以下の随意契約が該当します。市町村では80万円以下の随意契約になります。「少額随意契約」は、事務簡素化により業務を効率化できます。煩雑で時間のかかる入札手続きを省略できる随意契約です。

 

契約予定金額によって、工事契約は250万円以下、役務契約は100万円以下のように、契約の種類別に基準額が定められています。

 

ここでは、100万円以下の物品購入契約を例にして、少額随意契約のおおまかな手順を解説します。100万円という金額は、予定価格調書の作成を省略できる基準額として各省庁が定めています。地方自治体では、別の基準額の場合もあります。

 

随意契約による場合の予定価格等について(抜粋)

(昭和44年12月17日蔵計第4438号 大蔵省主計局長から各省各庁会計課長・各財務局長あて)

1 次に掲げる随意契約については、予定価格調書その他の書面による予定価格の積算を省略(略)してさしつかえないこととする。

 

(2)予定価格が100万円をこえない随意契約で、各省各庁における契約事務の実情を勘案し、各省各庁の長において契約担当官が予定価格調書その他の書面による予定価格の積算を省略し(略)ても支障がないと認めるもの

 

最初に少額随意契約の根拠法令を確認します。国の場合は、会計法第29条の3第5項、予決令第99条第3号です。

 

会計法

第二十九条の三
5  契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、(略)随意契約によることができる。

 

「・・その他政令・・」とは、予算決算及び会計令(予決令・・よけつれい)です。

 

予算決算及び会計令

第九十九条  会計法第二十九条の三第五項 の規定により随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

三  予定価格が百六十万円を超えない財産を買い入れるとき。

 

地方自治体は、地方自治法施行令が少額随意契約の根拠法令です。都道府県の基準額は国と同じです。市町村は50%です。

 

地方自治法施行令

第百六十七条の二 (略)随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。

 

一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(略)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。

 

別表第五
二 財産の買入れ
都道府県及び指定都市  百六十万円
市町村  八十万円

 

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少額随意契約の手続きの流れ

 

少額随意契約は、次の手順で事務手続きを進めます。

 

少額随意契約の手順

 

1.仕様の確定(仕様書の作成)

購入する物品の性能を検討し、メーカーや型式などの機種を選定します。仕様書は、品名、型式、数量、納入期限、納入場所、搬入設置方法、代金支払方法などの契約条件を記載します。メールに添付して見積書の提出を依頼することが多いです。昔はFAXで送っていました。

 

2.見積もり合わせの準備、見積書の提出依頼

販売会社を3社探し、2週間程度の期限で見積書の提出を依頼します。依頼するときは必ず仕様書を提示し、見積もり合わせで契約の相手を決めることを明確に伝えます。メール本文に書くと良いです。各社の見積書が提出された後に、見積金額を比較して最安値の会社と契約します。

契約の相手方を正式に決定したときは、不合格となった会社へ最初に連絡し、最後に契約する会社へ正式発注することを伝えます。

 

3.請書の提出依頼

契約書の取り交わしは150万円以上(予決令第100条の2)から必要になります。契約書の作成を省略するときは請書(うけしょ・・契約の相手方から提出してもらう誓約書)を依頼した方が安全です。地方自治体は、それぞれの契約事務規則などで基準額を定めています。例えば東京都契約事務規則 第三十八条では、150万円未満は契約書の作成を省略できます。(国と同じ基準額です。)

 

4.納品、検収

物品が納品されたら完了の確認検査を行います。見積書や請書の内容と同じか現物を確認し、問題がなければ納品書を受領し、検収サインします。検収完了後に請求書の提出を依頼します。

 

5.請求書受理と支払

請求書(作成年月日、法人の会社印、代表者印を押印したもの)を受理し支払手続きを行います。

 

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契約関係書類の綴り方

 

支払書類に添付する契約関係書類の順番は、日付順に綴ります。一連の契約手続きの流れがわかるように書類の順番を整理して保存します。書類の順番を正しく整理しておかないと、会計手続きが法令に基づいて行われたのか、疑義を持たれてしまいます。会計法令に基づいた手続きであることを証明するためにも契約書類の順番が重要になります。

 

契約書類の順番は、日付の新しい書類を上に重ねるのが基本です。順番を間違えると、書類が混乱し、法令に基づく手続きが取られていないなどの指摘を受けるリスクがあるので注意しましょう。書類が整然と綴られていると、「関係法令を熟知して適正に処理されている」と誰もが信頼してくれます。

 

支払時の決裁書類の順番(上から見た場合)

 

1.決裁書類のかがみ(支出負担行為・支出決議書、支払決議書)

2.請求書

3.納品書(検収日付、検収者のサイン入り。)

4.請書(省略の場合もある。)

5.見積書

6.他社の見積書(不合格の表示入。)

7.予定価格調書(100万円未満は省略が多い)

8.仕様書、見積書依頼文など

9.定価表、納入実績表

10.カタログ

 

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コメント

  1. hyde より:

    初めまして。
    こちらのサイトを拝見しておりまして、疑問点がありましたのでコメント書かせて頂き
    ました。
    少額随意契約は数社(3社)での見積合わせ後に業者決定とありますが、当該業者は
    統一参加資格保有者かと思います。
    この場合、例えば等級A及びBは除外されるなどの各資格の種類ごとの等級は影響する
    のでしょうか。
    宜しくお願い致します。

    • 矢野雅彦 管理人 より:

      コメントありがとうございました。

      地方自治体は、それぞれで取り扱いが異なるので、国の会計法令を基に回答いたします。

      少額随意契約による見積もり合わせでは、全省庁統一資格は不要です。そもそも全省庁統一資格は競争入札へ参加するための資格です。随意契約では必要ありません。

      もし見積もり合わせで等級制限するようなが場合は、なぜ等級制限が必要になるのか具体的な理由が必要です。通常はそのような特殊な理由は考えられません。

      全省庁統一資格が必要になるのは、一般競争入札と指名競争入札に参加する場合のみです。

      普通の見積もり合わせでは、等級で制限することはありません。見積もり合わせは、信頼できる会社を3社選ぶので資格も必要ありません。会社を探すときに全省庁統一資格の名簿を使うことはありますが、等級は気にしないです。業務内容と販売地域などから信頼できそうな会社を見つけます。

      随意契約では参加資格が必要ない、という根拠法令は、予算決算及び会計令 第百条の三 第三号の契約保証金免除の規定からもわかります。全省庁統一資格は、危ない会社を排除するためのものです。

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