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契約手続き

複数の参考見積書を取り寄せるリスクと対策

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参考見積書の取り扱い 契約手続き
参考見積書の取り扱い
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官公庁の契約手続きにおいて、予定価格を作成するときに参考見積書を使うときがあります。直近の取引価格を把握し、適正な予定価格を設定するために参考見積書を用います。

 

しかし最近は、二社以上の複数の参考見積書を取り寄せるようなルールを目にするようになってきました。これは、かなりまずい状況です。複数の参考見積書を取り寄せることを契約担当者へ義務付けてしまうと、官製談合などの不正リスクを増大させてしまうのです。

 

本記事では、参考見積書の基本的な役割から取り寄せ方法、リスクの回避策、正しい予定価格の作成方法について詳しく解説します。これにより、公平・公正で透明性のある契約手続きを実現するための知識を深めましょう。

 

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参考見積書の基本的な定義と役割

 

参考見積書は、大きく分けて2種類あります。ひとつは予算要求用の参考見積書、もうひとつは契約方式の検討や予定価格の作成資料として使う参考見積書です。いずれも官公庁内部で使い分ける資料です。

 

予算要求用の参考見積書は、上級官庁から査定を受けることを想定して定価ベースで作成することが多いです。この解説では、予算要求用の参考見積書ではなく、予定価格作成のための参考見積書について掲載します。

 

官公庁の契約手続きにおいて、予定価格を設定するための重要な資料として使用される参考見積書は、通常の見積書とは異なり、「契約の申込み」を目的としていません。参考見積書は、直近の一般的な取引価格を示すだけのものです。誰に対しても契約できる金額を示しています。

 

通常の見積書は、「この金額で契約を締結したい」という気持ちで相手方へ提出します。見積書の金額は、提出する相手方によって変わります。お得意様であったり、ぜひ契約したい、という強い気持ちがあれば値引額も大きくなります。提出する相手方によって値引額が異なるのが見積書です。そのため、見積書の宛名欄があります。信頼できる顧客、継続的に取り引きしたい顧客へは、有利な価格を記載して提出するのが見積書です。逆に言えば、思い切った値引きの見積書は、宛名を明記しないと作成できません。(信頼できない相手方へ有利な金額で申し込めないのです。)

 

一方、参考見積書の基本的な役割は、市場価格の把握です。これにより、官公庁は適正な予定価格を設定し、競争入札の際に落札の上限額を設けることができます。参考見積書は、直近の市場価格の確認を目的としており、具体的な契約を前提としていません。

 

見積書と参考見積書の違いは明確です。見積書は「契約の申し込み」を意味し、その内容が承認されると契約が成立します。(民法第522条)入札の場合には、入札書に該当するのが見積書です。

 

参考見積書は、あくまで一般的な取引価格の参考資料であり、契約の申し込みではありません。誰に対しても提示できる契約金額です。簡単にいうと、参考見積書は思い切った値引きをしていないものです。定価ベースの参考見積書も多いです。

 

「参考見積書も見積書も同じではないか?」と疑問に思うかもしれません。しかし一般競争入札を例にして考えると、その違いがわかりやすいです。一般競争入札では、落札の上限価格として予定価格を用います。そして予定価格を作成する際に、直近の取引価格を把握するために参考見積書を取り寄せます。

 

時系列で考えると、次の流れになります。

 

1.参考見積書を取り寄せ

 

2.予定価格を作成

 

3.入札

 

4.開札・落札

 

入札の場合には、入札書の提出が「契約の申し込み」です。上記3の入札に該当します。入札後に実施する開札のときには、予定価格が設定されていなければ、落札できません。

 

もし、参考見積書の提出を「契約の申し込み」とした場合、予定価格を設定した後に提出する入札書も「契約の申し込み」となり、入札書を2回提出したのと同じになってしまうのです。参考見積書は入札書の様式で提出していないですが、同じように「契約の申し込み」と考えてしまうと矛盾してしまいます。そして入札書を2回提出することは「入札書の差し替え禁止」に該当し、入札書そのものが無効になってしまうのです。(会計法第29条の5、地方自治法施行令第167条の8)

 

つまり法的にも理論的にも、参考見積書と見積書は、全く別のものになります。同じように考えることができないのです。主な違いは次のとおりです。

 

〇参考見積書は、単に通常の取引価格を示す書類(思い切った値引きはしない)
民法上の「契約の申し込み」ではない。

 

〇見積書(あるいは入札書)は、価格競争を前提に思い切った値引きを示す書類
民法上の「契約の申し込み」に該当する。

 

 

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参考見積書を正確に取り寄せる方法

 

参考見積書は、官公庁が予定価格を設定するための参考資料です。この資料を適切に取り寄せることで、市場価格を正確に把握し、公平・公正で透明性のある契約手続きを進めることができます。参考見積書の取り寄せ方について、具体的な手順と注意点を以下に詳しく解説します。

 

参考見積書を取り寄せる目的は、直近の市場価格の把握です。これにより、官公庁は適正な予定価格を設定し、競争入札を公正に行うことができます。参考見積書は、入札手続きの前段階で提出してもらい、その内容を基に予定価格を設定します。

 

仕様書の作成

参考見積書を取り寄せるための最初のステップは、仕様書の作成です。仕様書には、官公庁が求める具体的な製品やサービスの内容、数量、品質、納期などが詳細に記載されます。これにより、会社側が詳細な見積もりを行うための基礎資料となります。仕様書が不明瞭な場合、見積書の内容が不正確になり、正確な市場価格を把握することが難しくなります。

 

専門会社への依頼

仕様書が完成したら、参考見積書を取り寄せるために専門会社を探し依頼します。参考見積書を依頼する相手方は、信頼できる営業担当者を優先します。営業担当者が不明な場合には、官公庁との取り引き実績の多い会社を選びます。

 

参考見積書を依頼する会社は、官公庁の会計法令を理解していることが最重要になります。一般競争入札(あるいは見積もり合わせ)を前提にした協力なので、他社が契約を獲得しても問題ないと理解できる会社にします。ここが、ものすごく重要です。会社を探すときに最も気を遣う部分です。

 

官公庁との契約実績のない民間会社は、参考見積書の依頼をしただけで、自分の会社が必ず契約できると思い込んでしまいます。すべての民間会社ではありませんが、特に、情熱のある営業担当者になると、自社のみが契約を獲得できるように、ライバル会社の参入を阻むような参考見積書を提出してきます。他社では扱えないような内容を参考見積書の中へ含めれば、自社が契約を獲得できると考えるのです。これは民間会社同士の契約なら問題ないですが、公的資金を扱う官公庁では問題になります。

 

官公庁の契約方式は、多くの会社が参入できる価格競争が基本原則です。特定の民間企業が有利になる条件を含めることはできません。そのため、官公庁の会計法令を理解している、信頼できる営業担当者を探すのが、とても大変なのです。

 

初めての営業担当者に対しては、参考見積書の説明を一からしなければなりません。これは契約担当者にとって相当な負担(苦痛)になります。

 

信頼できる会社を探した後、参考見積書の提出期限や提出方法などを、電話とメールで依頼します。

 

参考見積書の内容

参考見積書は、見積書と同じ様式を使うことが多いです。以下の内容が含まれています。

 

見積書の作成年月日
住所、会社名および代表者名
製品やサービスの詳細(品名、数量、単価など)
合計金額(消費税を含むかどうかの明示、消費税額)
納入時期(正式発注後2週間以内など)や代金支払条件(検収確認後、1回払いなど)

 

参考見積書の内容確認

取り寄せた参考見積書は、予定価格を設定するための参考資料です。合計金額には、消費税がいくら含まれているのか、消費税を除いた金額がわかるように記載してあるか確認します。

 

次に、見積書の内容を詳細に確認します。製品であればメーカー名や型式、定価が正しいかネットの情報を集めながら確認します。価格だけでなく、納期などの条件も考慮します。特に、異常に低い価格の見積書は、品質に問題がある可能性があるため注意が必要です。中古品や安いジャンク品、展示品などのケースもあるので、必ず、電話で確認します。製品を購入する官公庁の契約では、新品であることが前提になります。

 

参考見積書の活用方法

参考見積書を活用する際には、以下のポイントに注意します。

 

見積書の内容を基にした予定価格の設定
直近の市場価格の把握とその変動の追跡
競争入札の際の上限価格の設定

 

参考見積書は、あくまで直近の市場価格を把握するための参考資料です。予定価格を作成する際には、過去の他官庁での契約実績を考慮したり、人件費や運搬費などを積算することもあります。参考見積書は、過去の契約実績などから積算した価格が、現実離れしていないか確認する意味合いもあります。

 

参考見積書の取り寄せ方について、具体的な手順と注意点を解説しました。仕様書の作成から会社への依頼、見積内容の確認など、参考見積書の取り扱いには多くのポイントがあります。これらの手順を適切に実行することで、公平・公正で透明性のある契約手続きを維持し、適正な価格設定を行うことができます。参考見積書の取り扱いに関する基本的なガイドラインを遵守し、今後の契約手続きに役立ててください。

 

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複数の参考見積書を義務付けるリスクと対策

 

官公庁が契約手続きを進める際、予定価格を設定するために参考見積書を取り寄せることは一般的な手法です。しかし、複数の会社から参考見積書を取り寄せることを契約担当者へ義務付けてしまうと、官製談合のリスクが伴います。官製談合とは、「本来、価格競争すべき場面で、競争したように見せかけて価格調整する不正行為」を指します。例えば、あらかじめ契約を獲得する会社を話し合いで決定し、その会社よりも不利な金額で書類を作成することです。

 

信頼できる会社の選び方

契約実務を実際に担当している人しか理解できないのかもしれませんが、参考見積書を取り寄せるのは、とても大変な負担になります。上述したように、官公庁の会計法令を理解している、信頼できる営業担当者を見つけるのが相当困難なのです。

 

官公庁との契約実績のない民間会社になると、「契約できる保証もないのに、なぜ見積書を提出する必要があるのか」と迷惑そうに怒る場合さえあります。参考見積書の提出自体を嫌がることが多いのです。民間会社の中には、「価格競争に負けると会社の信用に傷がつく」と考えていることもあります。

 

逆に、積極的に参考見積書を提出したいという会社は、ライバルが参入できないような項目を、参考見積書の中へ目立たないように含めたりします。自分の会社だけに有利な条件を参考見積書に盛り込み、その内容を官公庁側の条件にするよう仕向けるのです。

 

このような状況は、公的資金を用いた契約手続きでは、非常にまずいわけです。

 

そこで官公庁の会計法令を理解している、信頼できる会社や営業担当者を選ぶのに時間を費やしてしまうわけです。実際に、初めての会社へ依頼して断られると、かなり凹みます。2回続けて断られると、精神的なダメージでもう家に帰りたくなりますよ。私も若い頃に経験したことですが、乱暴に断られる経験は珍しくありません。私の場合は同僚たちとやけ酒を飲みました。

 

複数の参考見積書取り寄せに潜む具体的なリスク

では、参考見積書を2社以上から取り寄せることを、契約担当者へ義務付けてしまうリスクの具体例を考えてみましょう。

 

官公庁側が、ある製品を購入するケースです。製品のメーカーは大手企業ではなく、ネットで調べても販売店が見つかりません。契約担当者は、いつも取引しているA社の営業担当者へ問い合わせると、対応可能ということで参考見積書の提出を依頼しました。

 

別の会社も探そうと思い、メーカーへ問い合わせたところ、全く知らない会社を紹介されました。その知らない会社へ参考見積書の提出を依頼したところ、数日後に返事があり、次のように怒鳴られたとします。

 

「そもそも契約する気がないのに、見積書を提出しろというのは、私の会社をバカにしているのではないか?今回の依頼を受けてメーカーに確認したら、すでにA社から問い合わせがあったと聞いている。A社と競争させようとしているのか?何様のつもりなんだ!」

 

もし、このような事態になったら、契約担当者としては、もう怖くて電話できなくなります。このような怒鳴りちらす不良会社は実際にあるのです。

 

仕方なく契約担当者は、信頼できるA社の営業担当者へ他社の参考見積書を提出できないか相談することになります。こうなれば官製談合と同じ構図になってしまいます。A社は仲の良い会社へ依頼して、A社よりも高い参考見積書を作ってもらうことになります。

 

参考見積書は、「契約の申込み」ではないので談合ではないと思うかもしれません。しかし、参考見積書の段階で見せかけの書類を作るようになれば、それは間違いなく不正を蔓延させることになります。見積もり合わせを行おうとしても、官製談合と同じような相見積を提出するようになるでしょう。

 

複数の参考見積書を認めて良いケース

予定価格の参考資料として参考見積書を利用する場合、次のケースだけは複数の参考見積書を取り寄せて問題ありません。

 

競争入札で、入札参加条件として、提案書と一緒に参考見積書を提出することを義務付けている場合

 

入札へ参加を希望する会社から、参考見積書を提出してもらうのは、入札条件であり、かつ、契約担当者の負担になるものでもありません。入札参加会社の自由な意思で提出するものなので問題ないわけです。

 

価格競争は「競争の機会」を十分に確保すること

複数の参考見積書を取り寄せる目的は、価格の妥当性、より安い金額の把握があります。これは一見すると正しいように感じます

 

しかし、じっくり考えれば間違っていることがわかります。価格の妥当性や安い金額の把握という目的についてですが、参考見積書は、そもそも思い切った値引きをする契約の申込みではありません。最も不利な取引価格の上限値を示すという役割しかありません。

 

参考見積書の数には関係なく、十分に価格競争する機会が確保されていれば、妥当な(適正な)金額で契約を締結することが可能です。競争の機会を確保する手段は、入札公告の期間を長く設定することだけです。誰もが見える場所に、長期間(2週間以上)調達情報が公開されていれば、価格競争が効果的に行われるのです。

 

予定価格設定の重要性

 

予定価格の適正な設定は、官公庁が効率的かつ効果的に公共サービスを提供するために不可欠です。無理のない市場価格を反映した予定価格を設定することで、税金の無駄遣いを防ぎ、公共の利益を最大化することができます。

 

複数の参考見積書を取り寄せて、平均値から予定価格を設定する方法も正しくありません。そもそも参考見積書の金額は、最も有利でない金額(高い金額)です。平均値は全く意味がありません。もし複数の参考見積書を用いるなら、最安値を予定価格とすべきです。

 

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正しい予定価格の作成方法

 

官公庁の契約手続きにおいて、予定価格を正しく作成することは非常に重要です。予定価格は、過去の契約実績や直近の取引価格を基に算出され、公平・公正で透明性のある入札を実現するための基礎となります。ここでは、正しい予定価格の作成方法について詳しく解説します。

 

予定価格の基本的な考え方

 

予定価格とは、官公庁が契約を締結する際に、適正な取引価格を設定するための上限となる価格です。入札手続きにおいては、落札者を決定する際の上限価格となり、この価格を超える場合には落札できず契約できません。したがって、予定価格は市場価格に基づいて適正に設定される必要があります。

 

予定価格の作成手順

 

定価の把握

まず、購入予定の製品やサービスの定価を把握します。定価は、製品のカタログなどへ希望小売価格と書いてある金額です。これにより、基礎となる価格情報を得ることができます。

 

値引率の算出

次に、値引率を算出します。値引率は、過去の契約実績や参考見積書を基に算出します。例えば、過去に同じ製品を購入した際の契約価格と定価を比較し、その値引率を計算します。

値引率の対象となる金額は、市販製品の部分だけです。人件費や運搬費などが別に必要な場合は、値引率の対象とせずに算出します。

 

参考見積書との比較

参考見積書を取り寄せ、過去の契約実績の値引率と比較します。参考見積書は、市場価格の最新情報を把握するための資料です。過去の値引率と、参考見積書の値引率を比較し、最も有利な値引率を予定価格として採用します。

 

予定価格の作成は、官公庁の契約手続きにおいて極めて重要なステップです。過去の契約実績や直近の取引価格を基に適正な値引率を算出します。

 

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まとめ

 

官公庁の契約手続きにおける参考見積書の取り扱いは、極めて慎重に行う必要があります。以下に、主要なポイントを再度まとめます。

 

参考見積書の役割

参考見積書は、予定価格を設定するための重要な資料です。直近の取引価格を把握するために使用され、適正な予定価格の設定を可能にします。

 

取り寄せの注意点

複数の業者から参考見積書を取り寄せることを契約担当者へ義務付けてしまうと、官製談合のリスクが蔓延してしまいます。参考見積書は1社だけで十分です。

 

公平・公正な価格競争を行うためには、調達情報を公開する期間を十分に確保することが最重要です。

 

正しい予定価格の作成方法

予定価格は、過去の契約実績や参考見積書を基に、適正な値引率を算出して設定します。安ければ良いという考え方は、予定価格にはありません。予定価格は、適正な会社側の利益を含んだ、無理のない金額を設定すべきものです。

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