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最低制限価格はいつから始まった?導入の背景と現在の運用を徹底解説

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公共工事の入札でよく見かける「最低制限価格」という言葉ですが、この制度がいつから導入されたのかをご存じでしょうか?

 

最低制限価格は、過度な価格競争による品質低下や工事不良を防ぐために、一定金額を下回る入札を無効とする仕組みです。

 

しかし、その制度が実際にいつから始まり、現在どのように活用されているのかについては、意外と知られていません。実務に関わる方でも、制度の変遷や根拠法令、適用範囲を曖昧に理解しているケースが多く見られます。

 

本記事では、「最低制限価格はいつから導入されたのか?」という疑問に対して、制度の起源から近年の改正、適用対象や計算方法、最新の運用状況まで、詳しく解説します。これから入札業務や官公庁との契約に携わる方にとっても、基礎知識として知っておきたい内容を網羅しています。

 

  1. 最低制限価格とは?制度の仕組みと導入目的をわかりやすく解説
    1. なぜ最低制限価格が必要なのか?背景と目的を解説
    2. 最低制限価格と予定価格の違いを徹底比較
  2. 最低制限価格はいつから始まった?導入時期とその背景を解説
    1. 最低制限価格の起源は大正時代にあり!その歴史をたどる
    2. 戦後に整備された最低制限価格制度の法的根拠とは?
    3. 平成・令和時代で進化した最低制限価格の運用と見直しポイント
  3. 最低制限価格はいつ決まる?入札プロセスと設定タイミングを解説
    1. 最低制限価格は予定価格積算時に設定される!その理由と手順とは?
    2. なぜ最低制限価格は非公開なのか?開札後の判定方法を詳しく解説
  4. 最低制限価格の法的根拠とは?関係法令から読み解く制度の位置づけ
  5. 最低制限価格はどんな契約に適用される?対象工事や役務契約も解説
    1. 最低制限価格が最も多く使われるのは公共工事!その理由とは?
    2. 最低制限価格の適用範囲が拡大中!委託業務や役務契約の現状とは?
    3. 最低制限価格の適用基準は自治体ごとに違う?基準額の違いを解説
  6. 最低制限価格の計算方法を解説|積算項目と設定率の基本を押さえよう
  7. 最低制限価格は今後どうなる?AIとICTによる積算の最新動向とは?
  8.  【まとめ】最低制限価格はいつから?制度の理解が契約の信頼性を高める
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最低制限価格とは?制度の仕組みと導入目的をわかりやすく解説

 

なぜ最低制限価格が必要なのか?背景と目的を解説

最低制限価格制(ロア・リミット制)とは、公共工事の入札において、価格競争が過熱しすぎて不当に安い金額での入札があった場合に、それを無効とするための制度です。発注者があらかじめ積算を行い、予定価格とは別に「この金額を下回ると、適正な履行が困難」と判断される価格を内部的に設定し、それを基準に開札結果を評価します。

 

この制度の最大の目的は、過度な安値受注を防ぎ、施工不良や下請けいじめ、劣悪な労働環境の発生を防止することにあります。

 

東京都庁 都民広場

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最低制限価格と予定価格の違いを徹底比較

「予定価格」は、発注者が積算に基づき設定する「落札上限価格」であり、これを超えた入札は落札できません。

 

一方、最低制限価格は「下限価格」であり、これを下回った入札は無効となります。両者の間に収まった価格のうち最も低い価格が、原則として落札者となります。

 

予定価格を超えた入札は、無効ではありませんが、落札できないということです。最低制限価格は、設定した価格を下回った場合、一律に無効扱いとするものです。

 

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最低制限価格はいつから始まった?導入時期とその背景を解説

 

最低制限価格の起源は大正時代にあり!その歴史をたどる

日本における最低制限価格の制度は、大正時代にまで遡ることができます。具体的には1920年(大正9年)の「道路工事執行令」で、予定価格の3分の2未満の入札は無効とするという規定が設けられたことが、事実上の起源とされています。

 

ただ、この「道路工事執行令」は、昭和27年の改正道路法の施行に伴い廃止されています。そのため、現在では制度導入時の法令は存在していません。

 

東京都庁 第二本庁舎

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戦後に整備された最低制限価格制度の法的根拠とは?

戦後になると、地方自治法に基づく契約制度の整備が進み、地方公共団体では最低制限価格を導入する動きが広がります。1960年代には、自治省(現総務省)が各自治体に対して最低制限価格制度を活用するよう通達を出し、工事契約を中心に普及が進みました。

 

その後、1990年代に入ってからは、建設業界における談合問題や低入札による事故の多発を受け、制度の厳格化と全国的なルール整備が本格化していきます。

 

平成・令和時代で進化した最低制限価格の運用と見直しポイント

平成21年(2009年)には、国土交通省が最低制限価格制度の見直しと活用を促す通知を発出し、多くの発注機関が計算式の見直しや制度の運用強化に踏み切りました。

 

令和以降では、積算ソフトの導入やランダム係数の活用により、より柔軟で不正の起きにくい仕組みへと進化しています。

 

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最低制限価格はいつ決まる?入札プロセスと設定タイミングを解説

 

最低制限価格は予定価格積算時に設定される!その理由と手順とは?

最低制限価格は、発注者(官公庁側)が工事費を積算する段階で、予定価格と並行して設定されます。通常、積算項目である直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費などに、あらかじめ定めた率をかけて積算し、そこにランダム係数を掛け合わせて設定されます。

 

この段階では当然、入札業者には公開されません。

 

なぜ最低制限価格は非公開なのか?開札後の判定方法を詳しく解説

入札公告の段階では、最低制限価格は一切公開されません。これは、入札者が最低制限価格から逆算し、入札価格を調整する行為を防ぐためです。

 

開札後、発注者は各入札金額が最低制限価格以上であるかどうかを確認し、これを下回っていた場合は無効とします。

 

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最低制限価格の法的根拠とは?関係法令から読み解く制度の位置づけ

 

最低制限価格制度は、地方自治法、地方自治法施行令、さらには公共工事品質確保促進法に基づき運用されています。とくに公共工事品質確保促進法では、発注者の責任として「適正な価格での契約」を確保するよう義務づけており、その一手段として最低制限価格の設定が位置付けられています。

 

公共工事の品質確保の促進に関する法律

四 その請負代金の額によっては公共工事等の適正な実施が通常見込まれない契約の締結を防止するため、その入札金額によっては当該公共工事等の適正な実施が通常見込まれない契約となるおそれがあると認められる場合の基準又は最低制限価格の設定その他の必要な措置を講ずること。

 

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

2 この法律において「公共工事」とは、国、特殊法人等又は地方公共団体が発注する建設工事をいう。

 

地方自治法

第二百三十四条

3 普通地方公共団体は、一般競争入札又は指名競争入札(略)に付する場合においては、(略)予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、(略)予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。

 

地方自治法施行令

第百六十七条の十

2 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により工事又は製造その他についての請負の契約を締結しようとする場合において、当該契約の内容に適合した履行を確保するため特に必要があると認めるときは、あらかじめ最低制限価格を設けて、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とせず、予定価格の制限の範囲内の価格で最低制限価格以上の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を落札者とすることができる。

 

これらの法令により、地方自治体ではそれぞれの最低制限価格のルールを定めています。

 

最低制限価格は、価格を下回った場合に、一律に無効とするものです。一方、国の契約では一律に無効する取り扱いではなく、契約の履行が可能か調査することになっています。調査結果は契約審査委員に提出し、意見を求めることになります。

 

地方自治体の最低制限価格制(ロア・リミット制)は、価格を下回った場合に一律に無効とするものですが、国の場合は、契約内容を適正に実施できるか調査するものです。ダンピングなどの安すぎる入札を防止するという意味では似ていますが、国と地方自治体では内容が異なります。

 

会計法

第二十九条の六

契約担当官等は、競争に付する場合においては、(略)予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、国の支払の原因となる契約のうち(略)その者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められるとき、又はその者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあつて著しく不適当であると認められるときは、(略)他の者のうち最低の価格をもつて申込みをした者を当該契約の相手方とすることができる。

 

「・・契約の内容に適合した履行がされない・・」とは、品質が疑問になるような安い金額の場合です。「・・公正な取引の秩序を乱す・・」とは、昭和33年東宮御所の1万円入札事件が発端になっています。予定価格7千万円近くの新しい東宮御所の建設工事の入札で、ある会社だけが1万円という入札をしたのです。

 

1万円入札事件では、皇室が、特定の企業の恩恵を受けるのは好ましくないとして、国会でも問題になりました。社会通念上、問題のある場合が該当します。当時の国会での会議録は、第31回国会 参議院 内閣委員会 第4号 昭和33年12月23日で公開されています。

 

契約内容を適正に実施できるか調査する対象の契約は次のとおりです。

予算決算及び会計令

第八十四条 会計法第二十九条の六第一項ただし書に規定する国の支払の原因となる契約のうち政令で定めるものは、予定価格が一千万円(略)を超える工事又は製造その他についての請負契約とする。

第八十五条 各省各庁の長は、(略)必要があるときは、(略)相手方となるべき者の申込みに係る価格によつては、その者により当該契約の内容に適合した履行がされないこととなるおそれがあると認められる場合の基準を作成するものとする。

第八十六条 契約担当官等は、(略)契約の相手方となるべき者の申込みに係る価格が、前条の基準に該当することとなつたときは、その者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあるかどうかについて調査しなければならない。

2 契約担当官等は、前項の調査の結果、その者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めたときは、その調査の結果及び自己の意見を記載し、又は記録した書面を契約審査委員に提出し、その意見を求めなければならない。

 

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最低制限価格はどんな契約に適用される?対象工事や役務契約も解説

 

最低制限価格が最も多く使われるのは公共工事!その理由とは?

制度導入当初から現在に至るまで、最低制限価格は主に建設工事契約に適用されています。これは、過度な価格競争が工事品質に直結するためです。

 

たとえば、安すぎる入札により、安全設備や工程管理が手薄になれば、事故や構造物の欠陥につながる恐れがあります。

 

東京都庁 第一本庁舎

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最低制限価格の適用範囲が拡大中!委託業務や役務契約の現状とは?

近年では、設計・調査・コンサルティング業務や、一部の役務契約(施設の警備、清掃など)にも最低制限価格制度を導入する自治体が増えています。

 

ただし、こうした業務は価格の構成が工事とは異なるため、設定率や計算式が異なり、自治体ごとの運用ルールがあります。

 

最低制限価格の適用基準は自治体ごとに違う?基準額の違いを解説

最低制限価格が適用される契約金額の下限も、地方自治体ごとに異なります。例えば、「130万円以上の工事」「500万円以上のコンサル業務」など、予定価格の規模に応じて対象契約を限定しています。

 

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最低制限価格の計算方法を解説|積算項目と設定率の基本を押さえよう

 

最低制限価格の算出方法は、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費などの構成項目に、それぞれ所定の率を乗じたうえで合計し、さらに一定の「ランダム係数(例えば0.97~1.03の範囲で発注者が設定)」を掛けて算出するのが一般的です。

 

たとえば、以下のような比率で設定されることが多いです。

* 直接工事費:100%(全額)
* 共通仮設費:90%
* 現場管理費:90%
* 一般管理費:68%

 

このような細かな率の設定により、あらゆる業務や工種に対して、柔軟かつ現実的な価格設定が可能となっています。

 

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最低制限価格は今後どうなる?AIとICTによる積算の最新動向とは?

 

最低制限価格制度は、近年のテクノロジーの進展とともに、新たな段階へと移行しつつあります。とくに注目されているのが、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)との連携による「積算業務の高度化・自動化」です。

 

かつては人の手によって行われていた設計積算作業も、現在では多くの自治体や官公庁で積算ソフトを活用するようになりました。積算ソフトでは、労務費・資材費・機械損料などの標準単価データをもとに自動で内訳を算出でき、最低制限価格の計算もプログラム化されています。

 

さらに最近では、AIを活用した「過去の契約実績の学習」による見積精度の向上や、自然言語処理によって設計図や仕様書から自動的に数量を読み取るといった技術が実用化されはじめています。これにより、ヒューマンエラーの削減や積算スピードの向上が実現され、設計変更や仕様変更への迅速な対応も可能となっています。

 

また、電子入札システムや積算システムがクラウド上で統合されつつあり、「設計 → 積算 → 入札公告 → 開札 → 契約」までの一連のプロセスが、デジタル上で連携するようになってきました。これにより、最低制限価格の設定根拠や計算プロセスもシステム上に自動記録されるため、第三者による検証や会計検査対応も容易になります。

 

さらに、各自治体や国の発注機関では、AIによって設定された予定価格や最低制限価格に「人のチェック」を加える運用に移行しつつあります。完全な自動化ではなく、AIによる事前提示をもとに、熟練職員が最終判断するという“ハイブリッド運用”が主流になりつつあります。

 

将来的には、BIM(Building Information Modeling)と連携して、3D設計データから直接積算・予定価格・最低制限価格までを生成できるシステムも視野に入っており、契約制度は今後さらにデジタル化・高度化していくと見られます。

 

このように、AIとICTの導入は、最低制限価格制度そのものの「透明性」と「客観性」を飛躍的に高める要素として、極めて重要な役割を果たしているのです。

 

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 【まとめ】最低制限価格はいつから?制度の理解が契約の信頼性を高める

 

最低制限価格は、公共事業を支える「安全装置」のような役割を担っています。

 

安ければ良いというだけではなく、工事品質を守り、働く人の安全と健全な企業経営を支えるために存在する制度です。その歴史は大正時代に始まり、戦後に制度化、平成以降は厳格な運用と透明性が進み、今や全国で広く活用されています。

 

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この制度を正しく理解し、適正な契約を実現していくことが、官民双方にとって最も望ましい姿です。受注側の企業にとっても、最低制限価格を下回る入札が無効となることを念頭に、無理のない範囲で健全な価格設定を心がけることが重要です。

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