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部下へ指示できない上司とは、職場でのおしゃべりは協調性なのか

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イギリス ロンドン
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部下への指導方法についての解説です。昔と同じように部下を指導するのがむずかしい時代になりました。しかし部下へ指導しないと、結果的に部下の学ぶチャンスを奪ってしまいます。また職場でのおしゃべりを楽しい仕事と勘違いしている人もいます。

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嫌われる昔の指導方法

 

年令を重ねるにつれ、若い部下へ指示しなければならない場面が多くなります。大きな組織ほど係やチームが多数置かれ、部下の人数が多くなります。年上や性格の合わない部下と一緒になる確率も高くなります。若い部下へ指示するときに、指示の意味をわかりやすく理解させようと、昔の話を例にして説明するのは、大抵嫌われます。

 

今の若い人たちは、自分と波長の合う、仲の良い同僚や先輩の話すことは真面目に聞きますが、単なる仕事上の上司の話は、説教されているように受け取ってしまいます。上司が昔の話などすれば、今の若い人たちは、若い自分たちの世代が否定されているように感じ、ますます心が離れて言葉が伝わらなくなってしまうのです。

 

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先輩についていく

 

2015年現在は、ハラスメントはいけないことと認識されています。自分には無理と思える仕事や、嫌な仕事を命令されただけで、パワーハラスメントが成立してしまう寂しい世の中です。

 

1985年頃までは、ハラスメントという言葉自体が存在しませんでした。社会人になったら、先輩や上司を尊敬し、指示されたことを忠実に守るのが当然と考えられていました。勤務時間内はもちろんのこと、仕事を終えた勤務時間外でさえも先輩についていくのが、社会人の常識だと教育されていました。

 

さらに昔は、上司に仕事をさせるなど、失礼極まりないと教えられていました。上司が忙しそうに仕事をしているなら、部下は率先して、その仕事を引き受けるのが当たり前でした。社会人は学生と違い、家で寝ているとき以外は職場や上司に尽くすのが当然でした。仕事は、部下が行うものという伝統的な職場のルールが完全に確立していました。そのため若い人たち同士も、とうてい、自分ひとりで抱えきれない仕事のときは、係を超えてお互いを手伝うという協調性が自然に育まれました。係員同士が仲が良く、時には上司を誘い一緒にスポーツをしたり、お酒を飲んだり、休日は職場旅行を楽しんでいました。

 

当時は、先輩から何かを学ぼうと、ついていくのに必死でストレスを感じる暇さえありませんでした。2015年現在は、ストレスによる病気で休職になる人が増えています。昔は、毎日が必死で病気になる暇さえありませんでした。上司に仕事をさせるなどという恐れ多い考えもなかったので、若い時は必死で仕事を覚えていました。考えて見れば、家で寝ているとき以外は、必死に仕事を覚えてたわけです。現在の若い人たちとは比較できないほど知識を習得できたのです。こういうことを言うと、パワハラ上司として、また若い人に嫌われますが・・

 

自惚れにもなってしまうのですが、このような昔の思い出に浸ることが多くなりました。これは現在の係長クラスが、部下に対して、仕事の指示をしない人が増えてきたことに関係しています。

 

その理由として、部下に命令して仕事を任せるよりも、自分で仕事をした方が効率的と考えてしまうことです。思いやりもあるのか、部下も大変だろうと思い、遠慮して仕事を指示しないのです。また上司である自分自身が仕事に自信がなく、自分自身で仕事をしないと覚えられないと思っているのです。

 

しかし、これらは間違った考え方です。

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係やチーム、組織の意味を考える

 

組織の中に、係やチーム体制があるのは、仕事を組織として行うためです。責任を持って行うためです。仕事は個人で行うものではなく、係単位で行なうものです。

 

個人で仕事をしてしまうと、その人が休暇や出張で不在のときや人事異動でいなくなったときに、致命的なダメージを受けます。個人で行っていた仕事は、他の人が情報を共有できず、フォローできないのです。仕事がストップしてしまうのです。そのため昔は、仕事は部下が担当し、上司は内容を確認するという伝統がありました。つまり個人で仕事をするのではなく、上司は部下を見るのが仕事という情報共有ができていたのです。

 

特にお金を扱う会計係などでは、運が悪いと内部牽制が機能せず、横領などの犯罪まで起きてしまいます。時々、マスコミで横領事件が報道されますが、その多くの原因は、長期間ひとりの担当者が経理を担当し、上司を含め他の誰もがチェックできなかったという個人任せの仕事がほとんどです。

 

個人で仕事を行うのは、極めて危険で弱い組織になってしまうのです。

 

仕事を組織で行うという意味は、上司の係長が、部下の係員に対して仕事の指示を適切に与え、仕事の進み具合を管理し係全体をコントロールすることです。係員の間でも、お互いに仕事を助け合い、お互いの仕事を理解するという協調性も大切になります。

 

係の仕事は、係員誰もが対応できるという組織が、強い組織です。同僚の仕事を手伝うことで、自然と内部牽制機能も働き不正防止にもなります。

 

また新任の係長は、その係の実務を知らないことも多いです。しかし本来の係長は、実務を知る必要はありません。係長は部下に対して仕事を指示し、その進み具合や結果を管理するのが仕事です。部下から、ここがわからないと相談を受けたら、ヒントだけ与えて、このように調べたらどう?と指示するだけで良いのです。

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部下を指導するコツとは

 

係員から書類の作成方法について質問があれば、係長が調べて結果を教えるのではなくて、係員に対して調べる方法を指示し、調べた結果を報告させるのです。係員自らが調べて理解しないと意味がありません。いつまで経っても、仕事ができない人になってしまいます。そして調べたことを報告させることで、係長も知識を蓄積していくのです。

 

本来、わからない仕事を調べるのが係員の役目です。係長が自ら調べて、部下へ結果を教えてはいけません。それでは係員の教育にならないのです。係長は、わからないことの結果を教えるのではなく、わからないことを調べる方法を教えるのです。係長が、部下に対してわからないことを調べるよう指示しないと、係員は仕事を覚える機会をなくし、結果的に仕事のできない人に育ってしまいます。

 

部下の勉強する機会を奪ってしまうのです。

 

さらに部下へ指示しないと、係長が仕事を抱えてしまい、係全体をコントロールできなくなります。係の仕事が停滞しミスも多くなります。悪循環になります。

 

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楽しい仕事と、ふざけた仕事の違い

 

職場では、楽しく仕事したいものです。しかし楽しい仕事と、ふざけた仕事は違います。おしゃべり好きな人に多いのですが、この違いを理解できない人がいます。(私と一緒に仕事していた人たちは、みんな楽しい仕事を行う人たちでした。)

 

楽しい仕事とは、わからない仕事や、困難な仕事をやり遂げたときの達成感から感じるものです。一生懸命に努力し、歯をくいしばって頑張り、できるかわからないギリギリの状態の中で成し遂げたときに、達成感から楽しくなるのです。全力で助け合いながら、みんなで達成したときの感覚です。

 

仕事中におしゃべりに専念するのは、楽しい仕事ではなく、ふざけた仕事です。周りに迷惑になるようなふざけた仕事からは何も得られません。また、おしゃべりすることが、協調性があることと勘違いしている人もいます。

 

本当の意味での協調性とは、困難な仕事や大きな仕事を、お互いに分担しながら助け合い成し遂げることです。周りの人の意見に耳を傾けながら、最善を模索し、良いアイデアを取り入れることです。困難に直面したときに知恵を絞り工夫し、解決策を見出すことです。助け合い、より良い仕事を行うことが協調性です。

 

おしゃべりは、協調性とは関係ありません。冗談ばかり言って笑い合っているのは協調性ではありません。それは井戸端会議です。

 

人を育て、本当に楽しい仕事を教えるために、上司は遠慮なく部下に対して正しい指導を行うべきです。

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