PR
予算

暫定予算とは、暫定予算の計上方法、契約金額や契約期間の記載例

スポンサーリンク
予算
2014年 奈良
記事内に広告が含まれています。

官公庁の暫定予算についての解説です。官公庁が事業を実施するためには予算の成立が必須です。しかし国会や議会が紛糾すると予算が成立せず、暫定予算が組まれることになります。暫定予算になったときは、入札公告や契約書の記載方法に注意が必要です。

スポンサーリンク

官公庁の事業実施は予算成立が前提

 

官公庁が事業を実施するときは、必ず人件費や物件費などの予算が必要です。予算は、国会や議会での承認が必要です。予算が承認され成立することによって事業が実施可能になります。

 

国の予算の根拠法令は、憲法第八十五条と財政法第三十一条、三十二条です。

憲法

第八十五条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。

 

財政法

第三十一条 予算が成立したときは、内閣は、国会の議決したところに従い、各省各庁の長に対し、その執行の責に任ずべき歳入歳出予算、継続費及び国庫債務負担行為を配賦する。

 

第三十二条 各省各庁の長は、歳出予算及び継続費については、各項に定める目的の外にこれを使用することができない。

 

都道府県や市町村などの地方自治体の予算は、憲法第九十二条、地方自治法第二百十一条です。

憲法
第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

 

地方自治法
第二百十一条 普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。

 

つまり官公庁の予算は、国会や議会で国民に選ばれた議員により審議し議決することになってます。そして官公庁が事業を行なうときは、必ず、予算が成立していなければなりません。ある業務を行なうときに、民間企業との契約を必要としない状況でも、職員が動いて業務を行なうわけです。その職員の人件費は、予算の中から支払わなければなりません。官公庁の事業には、必ず予算が必要になります。

 

アメリカなどでは、予算が成立しないときに、官公庁が閉庁になるニュースを時々聞きます。日本では暫定予算を組むので官公庁が閉庁して社会が混乱するケースはありません。

 

スポンサーリンク

暫定予算とは

 

暫定予算は、年度開始前に予算が成立しないときに編成する予算です。財政法第三十条(地方自治法第二百十八条)に基づき、官公庁の業務を継続させるため、予算上の空白を避ける目的で編成します。

 

財政法

第三十条 内閣は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を作成し、これを国会に提出することができる。

2 暫定予算は、当該年度の予算が成立したときは、失効するものとし、暫定予算に基く支出又はこれに基く債務の負担があるときは、これを当該年度の予算に基いてなしたものとみなす。

 

地方自治法

第二百十八条
2 普通地方公共団体の長は、必要に応じて、一会計年度のうちの一定期間に係る暫定予算を調製し、これを議会に提出することができる。

 

3 前項の暫定予算は、当該会計年度の予算が成立したときは、その効力を失うものとし、その暫定予算に基づく支出又は債務の負担があるときは、その支出又は債務の負担は、これを当該会計年度の予算に基づく支出又は債務の負担とみなす。

 

上記の財政法と地方自治法を比べるとほぼ同じ内容です。国の暫定予算については、1991年3月に自民、社会、公明、民社各党が必要最小限の経費にとどめることで合意しています。

 

つまり暫定予算は、読んで字の如く、暫定的な予算措置です。本予算が成立するまでの臨時のつなぎ予算です。

 

原則は、憲法や財政法、地方自治法で定めているとおり、国会や議会の議決によって予算が成立しなければ、官公庁は事業を実施できません。

 

日本は法治国家です。憲法や財政法、地方自治法を遵守しなければならないことは当然です。

 

スポンサーリンク

暫定予算の編成とは

 

そこで、暫定予算が見込まれる場合の実務処理を解説します。

 

2013年1月現在、昨年12月16日の衆議院選挙による政権交代(民主党政権から自民党政権へ)で、政府内部も多忙らしく、暫定予算の準備が進められているか不安でした。

 

暫定予算の編成は、日常必要とする経費の洗い出しから行います。

 

スポンサーリンク

日常必要とする経費の洗い出し

 

国の予算を例にします。本予算成立までの間、暫定予算の期間中に必要な最低限の予算を、各省庁と財務省で調整しながら編成し国会の承認を受けます。

 

最初に、日常業務で必要な経費を調べます。人命に関わるような災害対策予算を除き、新規事業は、原則として暫定予算には含めません。新規事業は本予算で審議します。

 

職員の人件費、光熱水料、警備契約、清掃契約、エレベータの保守契約など毎日実施しなければならない業務について、年間の支出実績を予定して暫定予算期間分を計上します。

 

人件費であれば年間支出予定額 × 暫定予算期間日数 ÷ 365日です。

 

光熱水費や日常的な費用も同様な計算方法です。

 

この他にも、経常予算(毎年認められる基礎予算)の範囲内で、暫定予算期間中に契約しなければならないものや、支払が必要なものを計上します。ひとつひとつ洗い出すので時間のかかる作業になります。

 

近年は暫定予算の例が少なくなりました。財務省をはじめとする各省庁の予算担当者も、暫定予算の編成を経験した人が少なくなりました。下記にも示すように、昔は暫定予算が頻繁に組まれていました。予算担当者は、国会の状況を早い時期に見通して、かなり前から暫定予算編成の準備を進めていました。昔の大蔵省は政治の動きまで察知しているようでした。

 

昔の予算担当者は、暫定期間分の予算書を早めに作成し、予算を執行する契約担当者は、暫定予算用の契約手続きも事前に準備していました。

 

スポンサーリンク

暫定予算中の契約期間等の表示方法

 

年度当初の4月1日から継続しなければならない年間契約では、暫定予算のときは、次のとおり契約書類を作成しなければなりません。

 

平成25年度の、暫定予算が5月20日まで、のケースを例とします。

 

入札公告などの契約期間の表示方法

 

契約期間は、暫定予算の期間(4月1日から5月20日までとする)とします。そして契約条件として次のように併記します。

 

契約期間 平成25年4月1日~平成25年5月20日

ただし、本予算が成立した場合には、契約期間を平成26年3月31日まで延長するものとする。

 

入札のときは、通常どおり1年間の契約期間で入札を実施します。入札参加者へは、念のため、入札金額は1年間の金額を記入することを事前に十分説明します。

 

落札後は、提出してもらう落札内訳書の中に、暫定期間分の金額と内訳明細も併記してもらいます。

 

契約書の条文、契約期間の表示方法

 

契約書の契約期間は、上記と同じく次のとおりです。

 

契約期間

4月1日から5月20日までとする。ただし、本予算が成立した場合は、契約期間を3月31日まで延長するものとする。

 

 

契約金額の欄も、暫定予算分の契約金額を明記します。

 

契約金額
4月1日から5月20日まで ◯◯◯◯円
5月21日から3月31日まで◯◯◯◯円

 

スポンサーリンク

過去の暫定予算の例

 

参考に過去の暫定予算です。20回以上暫定予算になりました。

 

2012年度(平成24年度)
2012年3月30日暫定予算成立
4月1日~6日までの6日分

 

1998年度(平成10年度)
1998年3月30日暫定予算成立
4月1日~18日までの18日分

 

1996年度(平成8年度)
1996年3月29日暫定予算成立
4月1日~5月20日までの50日間
住宅金融専門会社(住専)の処理策で国会が空転したため

 

1994年度(平成6年度)
4月1日~5月20日までの50日間
首相の佐川急便Gからの借入問題で紛糾

5月20日暫定予算の補正が成立
6月29日まで40日間延長

 

1990年度(平成2年度)
1990年4月4日暫定予算成立
5月18日暫定補正予算成立
5月21日から6月8日までの19日間

 

これ以前も多数ありました。

 

暫定予算を組むときには、過去の予算資料が役立ちます。積算の考え方がわかります。

スポンサーリンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました