その3 市場価格方式による予定価格作成方法のまとめ、予定価格調書

イギリス コッツウォルズ 市場価格方式
イギリス コッツウォルズ

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市場価格方式による予定価格作成方法のまとめです。納入実績一覧のデータから購入実績の調査を終えると、契約実績の値引率が判明します。過去の契約実績の値引率と直近の参考見積書の値引率から予定価格を設定します。予定価格調書作成方法の解説です。

過去の契約実績の値引率を計算

 

納入実績一覧から購入実績の調査(前回までの記事で解説)を終えると、過去の契約実績の値引率が確定できます。値引率を算出し納入実績一覧の余白にメモます。値引率を求めるときは消費税を除いた金額で計算します。

 

例 定価350万円 契約金額300万円

値引率 14.28%(少数3位切り捨て)

 

消費税を除く

 

最初に消費税相当額を除外してある金額であることを確認します。金額の中に消費税が含まれているときは、次の算式によって消費税を除いた金額を算出します。消費税を含んだ金額の上側(隣でも良い。)に、赤のボールペンで「税抜き○○円」と記載します。

 

もし、消費税が含まれた金額かどうか不明な場合は、必ず、相手方へ電話して確認します。カタログ製品などの定価は、消費税が除外された金額が一般的ですが、明示してないときはメーカーへ電話して確認します。この確認作業は極めて重要です。

 

今まで、過去の契約実績について労力と時間を費やして調べてきたのに、ここで消費税を間違えると、調査が台無しになってしまいます。

 

また、契約関係書類には、調査した内容を必ずメモしておきます。いろいろなメモ書きのある書類ほど、内容を確認し精査した書類であることを表しています。

 

据付調整費や設置費は除外

 

物品の購入契約では、100万円を超えるような高額契約の場合、搬入費や据え付け調整費は、無料サービスが一般的です。しかし、まれに特殊な設置場所、例えば高層階のビルでクレーン搬入を必要とするときなどは、本体価格の他に、搬入費用、運搬費用、車両費用、作業費用、諸経費等が含まれることがあります。

 

値引率を求めるときは、これらの費用は除き、本体価格のみで計算します。

 

値引率の計算方法

 

納入実績のデータ

 

定価  1,000万円(消費税抜き価格)

契約金額 759万円(消費税抜き価格)

契約金額÷定価
759÷1000=0.759

値引率
1-0.759=0.241

これをパーセント表示とするため100倍して、24.10%

 

つまり納入実績による値引率は24.10%です。

 

ここで、小数点以下の数値が多く生じた場合は、小数点以下第3位を切り捨てます。

 

予定価格の端数処理は、会計法令では規定がありません。小数点以下の端数処理は組織ごとにルール化しておくことが大切です。契約ごとに端数処理の方法を変えてしまうと、故意に予定価格を操作していると疑惑を招いてしまうので端数処理は一定の方式とします。

 

参考見積書の値引率

 

次に、参考見積書の値引率を計算します。

 

契約実績が過去のデータを示すのに対して、参考見積書は直近の取引実例価格を示します。

 

参考見積書の値引率が25.00%だったとしましょう、予定価格の作成方法は次のようになります。

 

予定価格調書の作成

 

予定価格調書は、作成した予定価格を書面としてまとめ、担当者から契約権限を持つ部長や課長まで決裁による承認を受けた正式な書類です。

 

ふたつの書類を作成します。

 

最初に「予定価格算出内訳明細書」を作成し、次に「予定価格調書」を作成します。

 

予定価格算出内訳明細書

 

A4の紙に横レイアウトで作成します。(レイアウトの決まりはありません。横でも縦でも作成者の好みで構いませんが、職場の慣例に従うのが良いです。)

 

右上に作成年月日を入れます。

 

決裁欄を作ります。作成担当者から上司までの決裁印を押印するための四角い枡の書類決裁欄です。

 

中央にタイトルとして大きく太字で「予定価格算出内訳明細書」と記載します。

 

平成28年○月○日

(決裁欄)

予定価格算出内訳明細書

品名 ○○○○ 一式

 

定価 10,000,000円(内訳は別紙定価証明書のとおり)

 

①納入実績による算出(値引率24.10%)
10,000,000円×0.759=7,590,000円

 

②参考見積書による算出(値引率25.00%)
10,000,000円×0.750=7,500,000円

 

上記の①と②を比較検討した結果、参考見積書による②の金額が有利なため、これを予定価格として採用する。

 

予定価格(税抜き)7,500,000円
消費税相当額(8%) 600,000円

合計 8,100,000円

 

予定価格調書

 

次に、予定価格調書(鑑・・かがみ)を作成します。入札の場合は、封書に入れ密封して開札場所に置く書類です。開札までの間は、金庫で厳重に保管管理します。

 

予定価格調書は簡単です。A4の紙に大きく下記項目を記載します。

 

そして作成者が記名押印します。作成者は、支出負担行為担当官などの役職が指定されています。押印は、公印ではなくて私印(決裁に使用する認印)です。予定価格は、外部へ公表するものではないので、公印は使用しません。

 

封書に入れる場合は、糊で封筒を密封し、糊付けした部分に押印(割り印)します。押印も上記の作成者の印鑑(私印)です。封が開けられないよう、漏洩や差し替え防止を意図した割り印なので、封筒の継ぎ目のある真ん中と四隅は割り印しておくと安全です。

 

予定価格調書

件名 ○○○○

予定価格 8,100,000円(消費税込み)

内訳

入札書比較価格(税抜き)7,500,000円
消費税相当額(8%)    600,000円

 

作成者  支出負担行為担当官
○○省大臣官房 契約課長 ○○○○ 私印

 

A4の横レイアウトで、文字ポイントを大きくし、全体的にバランスよく配置します。

 

決裁手続きは、予定価格調書を上にして、その下に決裁欄のある予定価格算出内訳明細書を添付し、関係資料(参考見積書、購入実績回答書類、納入実績表、定価表、カタログ、その他関係資料)をその下に挟み、クリップ止して決裁に回します。

 

国の会計法令では、予定価格は秘密扱いなので、上司が在籍していれば持ち回りで説明し決裁をとるのが安全です。もし、上司が不在などで決裁箱に書類を置くときは、外部から内容が見えないよう、決裁書類の表に厚い色紙などを乗せ、予定価格が見られないようにします。あるいは封筒に入れて決裁することもあります。

 

予定価格の漏洩は、犯罪を疑われてしまう危険性があるので、決裁は持ち回りが原則です。そして決裁完了後は鍵のかかる場所(金庫が安全)で、開札時まで厳重に保管します。

 

以上が、市場価格方式での予定価格作成方法です。

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