その1 市場価格方式による予定価格作成方法、契約実績と参考見積書

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市場価格方式
イギリス ロンドン
市場価格方式

「市場価格方式」による予定価格作成方法の解説です。官公庁の契約手続きの中で一番多い「物品購入契約」を例として、予定価格の作成方法をくわしく解説します。市場価格方式では、過去の実績から、値引率を調査します。「納入実績」がポイントです。

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「物品購入契約」の予定価格作成方法

 

「市場価格方式」による予定価格の作成方法は、次のとおりです。

定価(希望小売価格)-値引額=予定価格

 

実際に、予定価格を作成する方法について、「市場価格方式」に基づいて解説します。官公庁の契約手続きの中で一番多い「物品購入契約」を例とします。

 

「物品購入契約」は、既製品(カタログ製品)など、既に販売されている物品を購入する契約です。

 

最初に会計法令を確認します。予定価格の作成方法について定めた会計法令は「予算決算及び会計令」(予決令・・よけつれい)です。

予算決算及び会計令

第八十条第二項

予定価格は、契約の目的となる物件又は役務について、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない。

 

この条文を、わかりやすく説明します。

 

「契約の目的となる物件」

購入しようとする「物品」のことを意味します。
パソコンなら、本体の他、ディスプレイ、キーボード、WindowsなどのOSやOffice等の必要なソフト類も含みます。「買おうとするもの」全てです。

 

「取引の実例価格」

実際に取引が行われた価格です。つまり、過去に行われた購入契約の取引価格です。購入契約の予定価格作成では、一番重要になる部分です。

 

「取引の実例価格」を調査する方法は、「過去の契約実績」の調査と、入札に参加を希望する会社から提出してもらう「参考見積書」を基に実施します。調査の目的は、「値引率」を把握することです。過去の契約時の定価と納入価格、消費税の有無などを調べて、値引率を調査します。また、直近の販売価格を調べるため、インターネットで価格調査することもあります。詳細は後述します。

 

「需給の状況」

需要と供給の状況です。通常取引されている既製品では気にする必要はありません。極めて特殊な物品で「希少価値」があるものや、緊急に買う必要があるのに高い価格の製品しか在庫がない等の特殊な状況下で考慮する部分です。一般的に、在庫が少なく希少であれば価格が高く、人気がなく売れなくて、在庫過剰であれば価格が低くなります。

 

「履行の難易」

契約内容が質的に困難な場合です。物品売買では稀です。納品場所が高い山の上にあるとか、博士号を持つ専門技術者による高度なデータ解析が必要で人件費が高くなる、などの特殊なケースです。通常は該当しません。

 

「数量の多寡、履行期間の長短」

通常の契約では、数量が多いときや履行期間が長いときは、金額が安くなります。逆に、反対の条件であれば金額が高くなります。緊急に納品が必要なときは、履行期間を短く設定するので、契約金額が高くなります。そのときは履行期間を短く設定せざるを得なかった「対外的な説明資料」が必要です。単に「早く使いたい」という理由は該当しません。履行期間(納入期限)は、一般的に無理のない期間を設定します。

 

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「契約実績」の調査、最初に自分の職場を調べる

 

上述の「取引の実例価格」を調査する方法は、入札に参加を希望する会社から「契約実績一覧(納入実績一覧)」を提出してもらいます。この実績一覧を調査して「値引率」を確認します。過去の値引率が判明すれば、予定価格の作成は簡単です。

 

契約実績の調査は、「自分の職場」の過去の契約実績と「他の官公庁」の契約実績を平行して調べます。

 

自分の職場の契約実績は、パソコンなどで過去の契約のデータベースを調べたり、あるいは物品の管理台帳のデータベースを調べます。官公庁は、会計検査院による実地検査のときに、検査用の「購入調書」を毎年作成しているので、そのデータでも検索可能です。

 

また、前任者あるいは長く在籍している周りの人へ、過去に購入した記憶があるか聞くのも効率的です。大きな契約金額であれば、誰かが記憶している可能性が高いです。心当たりを探し調査します。

 

過去の契約実績は、同一物品が望ましいですが、類似品でも可能です。メーカーが同じで、契約金額が同程度のものが理想です。過去の契約実績が見つかれば、当時の契約関係書類の「定価」と「値引率」が記載してある書類をコピーします。

 

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納入実績一覧、契約実績一覧の様式

 

自分の職場の契約実績を調べるのと平行して、入札に参加を希望する会社から「納入実績一覧(契約実績一覧)」を提出してもらいます。入札を実施するとき、入札説明書の参加条件の中で「提出書類」として義務付けます。

 

過去に販売した物品の契約実績について、次のデータを表形式で作成してもらいます。もし、同じ物品の契約実績がない場合は、同一メーカーの類似品で契約実績を提出してもらいます。官公庁関係への納入物品で過去2年以内が望ましいです。

 

調査を効率的に進める方法として、契約を締結した時の契約書類(契約書や見積書、定価表など)の「写し」を併せて提出してもらうと良いです。調査が楽になります。

 

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「納入実績証明書」の記載項目

(納入実績表など呼称は様々です。)

 

  • 納入年月
  • 納入場所
  • 契約件名(または品名・型式・数量)
  • 契約時の定価(消費税抜き)
  • 契約価格(消費税抜き)

 

契約実績が多数あるときは、同一メーカーで契約金額が同じくらいの実績を10件くらい記載してもらいます。値引率は、メーカーによる差異はありますが、同一メーカーなら製造過程が同じなので、定価を設定する際の原価計算も同じです。同一メーカーなら、製品が異なっても値引率は同じ程度と考えられます。

 

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他の官公庁へ「購入実績の照会」

 

「納入実績一覧(契約実績一覧)」の書類に基づいて、納品先の官公庁へ電話をかけ、その当時の契約関係書類のコピーを送ってもらいます。当時の価格が、一覧表と同じかどうか、契約方式は何か、などの調査を行います。「値引率」と「契約方式」を調査するのが目的です。

 

納入先の官公庁へ「購入実績の照会」である旨を電話して、「契約関係書類の提出」に協力してもらえるか尋ねます。協力してもらえるなら、メールあるいはFaxで「購入実績の照会」として、書面で正式に依頼します。当時の「契約書」や「見積書」の写しも可能なら送ってもらいます。

 

通常は、これらの契約書類を提出してもらうのに、最低でも1週間程度は必要です。早い段階で「購入実績の照会」を依頼します。照会を受ける側としては、「余計な仕事」ですし、予定価格の積算に使用することが明白です。会計検査院のチェックを受ける書類になるので、積極的に協力したくない仕事です。

 

高額な契約で、国際入札を実施したものは、落札情報の公開が義務付けられています。文部科学省の「調達情報」で検索可能です。

文部科学省調達情報

 

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「参考見積書」の取り寄せ

 

実績調査は、主に過去の取引価格を調べるものです。「参考見積書」は、直近の取引価格を調査するものです。入札手続きの中で、開札の前段階で提出してもらう書類です。入札説明書の参加条件として、提出書類として義務付けることが多いです。

 

「見積書」ではなく、「参考見積書」であることに注意してください。「見積書」は契約の申込です。「入札書」と一緒になってしまいます。発注者が承諾することによって契約が成立します。

 

「参考見積書」は、入札(開札)前に、およその取引価格を把握するために提出してもらいます。通常の取引価格(通常値引き後の価格)を調べるのが目的です。この後に行なう「入札」では、参考見積書の金額よりも、さらに特別値引きした安価な金額で入札するのが一般的です。

 

以上の、「実績調査」、「参考見積書」は、いずれも定価と値引率(値引額)を把握するためのものです。集めた書類は必ずクリップなどで整理保存しておくことが大切です。


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