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契約手続き

仕様書を作成するときの考え方、購入契約と役務契約の仕様書

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契約手続き
2020年9月 忍野八海
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一般競争入札や見積もり合わせを行うときは、仕様書を作成しなければなりません。価格競争で契約の相手方を選ぶ際に、競争条件を同一にするためです。仕様書を作成しないと、金額を比較できなくなってしまうのです。ただ、見積もり合わせを省略するような金額の小さい契約なら仕様書を省略することもあります。

 

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仕様書の書き方がわからなくて不安になり悩む

 

「この契約は入札になるから、仕様書を作ってください。」

 

契約実務を担当していると、上司から仕様書を作るよう指示を受けることがあります。

 

初めて仕様書を作成するときは、とても緊張します。経験がないため不安になり、作り方がわからず焦るのです。毎年締結する契約であれば、前年の書類を見て部分的に修正すれば仕様書を作成できます。すでに過去の見本があり、それをベースに年月日などを修正し、前回との違いをチェックするだけで完成します。

 

また過去に契約したことのある仕様書であれば、それほど悩みません。過去の書類を探し出して、参考にしながら作成できます。WORDなどの電子ファイルが保存されていれば、かなり簡単に作れるでしょう。見よう見まねで仕様書を作れてしまいます。

 

それでも初めて仕様書を作成するときは、かなり気をつかいます。(間違えたら、どうしよう?)という不安がつきまといます。

 

例えば、前年度の契約内容を十分に理解できていない状況で仕様書を読んでも、内容自体がわかりません。契約内容を十分に理解していない状況では、新しい仕様書を作成するためのチェックポイントもわかりません。

 

過去の仕様書を読んで、文章が意味不明だったり、理解できないことがあります。その際に、わかりやすいように書き換えた方がいいのか、それとも自分だけが理解できないだけなのか、判断に迷うこともあります。書き換えたことで、逆に間違ってしまうかもしれません。

 

前回の仕様書を作成した人が近くにいて、教えてもらうことができればラッキーです。しかし多くの場合、すでに人事異動でいなかったり、近くにいても聞きづらい状況のことが多いでしょう。仕方なく自分ひとりで仕様書を作ることになります。しかも入札であれば、手続きに余裕がなく、グズグズしていられません。

 

過去の仕様書の内容がわからない、あるいは、初めての契約内容であれば、自分で考えて仕様書を作るしかありません。もちろん同僚や先輩へ相談したり、上司からアドバイスをもらうことは可能です。しかし何から何まで、すべて教わるのは抵抗もあります。先輩や上司も忙しいので、いちいち聞くこともできないでしょう。

 

気合を入れて、いざ自分で仕様書を作ろうと思っても、何をどのように書いたら良いかわからず悩むことになります。

 

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仕様書の記載項目は、どのように考える?

 

仕様書の項目は、法令などで定められていません。契約ごとに内容が異なるため、統一的なルールを作成できないのです。例えばテレビを購入する場合でも、その時々で新製品が発売され、画面サイズや解像度、録画装置の有無で異なります。テレビの設置場所も様々でしょう。一概に仕様書の様式を決めておくことができないのです。

 

仕様書の役割は、何かの契約を締結したいときに、相手方へ契約内容を伝えるための書面です。「こういう製品が欲しい」、「こういうことを行ってもらいたい」など、相手方に求める内容を記述すれば良いのです。

 

記載項目を検討するときは、実際の作業手順をイメージしながら考えます。自分が実際に行った場合を想定し、なるべく細かいことまでイメージすることが大切です。

 

例えば物品を購入する契約であれば、どのような製品を購入したいのか、製品の内容がメインになります。購入したい製品について、必要最少限の性能を記載することになります。製品の性能が記載できれば、その後は簡単です。いつまでに納品してもらいたいのか、官公庁側の納品検査をどのように行うのか、代金をどのように支払うのかなどを記述することになります。

 

役務契約であれば、何かの作業を行ってもらうことになります。その作業内容を順番に記載します。例えば隣のビルへの引っ越しで物品を運搬する契約を想定しましょう。

 

運搬契約であれば、どの場所に置いてある、どの物品を、どこへ運ぶのか記載します。運搬途中で、廊下や階段、エレベーターなどを傷つけないよう十分に養生(ようじょう)することも必要です。養生とは、保護することを意味します。ダンボールやベニヤ板、厚い布などで覆い養生することが多いです。

 

そして、もし運搬途中に建物などを傷つけた時は、その修復費用を負担してもらうことになります。無事に運搬が完了した後は、契約代金を銀行振込で1回で支払うことなどを記載します。

 

過去に契約したことのない仕様書を作るときは、最初に大まかに契約内容をイメージします。記載項目を大まかに考えてから、その項目を細かくしていくことになります。最初のイメージができた段階で先輩や上司へ見せ、意見を聞くことも重要です。漏れている記載項目をアドバイスしてくれます。作成者以外の目で見ることが大切です。作成者は、自分のミスに気付かないことが多いです。特に、こまめに上司へ相談していると、進捗状況が把握できるので上司も安心します。

 

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専門会社へヒアリングするときの注意点

 

新しい役務契約などで、契約内容がイメージできないときの対処方法です。例えば、初めての清掃契約で床材の清掃方法がわからないことがあります。最適な洗剤や清掃方法を調べたいときは、清掃専門会社へアドバイスをお願いすることになります。

 

仕様書を作成するときに、専門会社から聞き取りするときは、競争性を阻害しないよう注意します。清掃であれば、一般的な清掃方法や、多くの清掃会社が扱っている洗剤などの清掃用具を使うようにします。いろいろな会社が参加できるよう、競争性を確保した仕様にすることが重要です。

 

専門会社からアドバイスを受ける際は、話を聞きながら、「この方法は一般的なものなのでしょうか」、「この洗剤は、どの会社でも扱っているものでしょうか」など、特定の会社に有利にならないよう、ひとつひとつ確認します。もし特定の会社のものであれば、一般的なもので対応できないか再確認します。代替方法や代替品を使うときのデメリットなどもアドバイスしてもらいましょう。

 

また仕様書を作成するためのヒアリングは、できるだけ複数の会社へ依頼します。1社だけでは競争性を確保した仕様書は作れません。そしてヒアリングを始める前には、「入札を検討しているので、契約できるか不明であること」、「他の会社へも同じようにヒアリングをお願いしていること」を正確に伝えておきます。

 

もしここで、「契約を前提としたヒアリングでなければ応じられない」という会社であれば、この段階で辞退して頂くことになります。「承知いたしました。残念ですが、また何かの機会がありましたらよろしくお願いします」と丁寧にお礼を言ってから、今後はつきあいはやめましょう。

 

官公庁と取り引きを行うということは、国民の税金を使うことです。公平性や公正性を理解していない会社と取り引きするのは危険です。必ずトラブルになります。別の会社を見つけましょう。

仕様書作成のヒアリングチェックポイント

 

◯特定メーカーの物品を使う必要があるか

 

◯作業の方法は、一般的なものか、どの会社でも対応可能か

 

◯なるべく2社以上からヒアリングする。数千万円の契約であれば3社以上は必要です。

 

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契約書の記載項目との関係

 

仕様書は、契約内容を相手方へ伝える書面です。そのため契約書の記載項目を基に考えることもできます。

 

契約書の記載項目は、次のように法令で定められています。国の場合は予算決算及び会計令、地方自治体の場合はそれぞれの規則です。

 

国の場合 予算決算及び会計令

第百条 (略)契約担当官等が作成すべき契約書には、契約の目的、契約金額、履行期限及び契約保証金に関する事項のほか、次に掲げる事項を記載しなければならない。ただし、契約の性質又は目的により該当のない事項については、この限りでない。

一 契約履行の場所
二 契約代金の支払又は受領の時期及び方法
三 監督及び検査
四 履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金、履行の追完、代金の減額及び契約の解除
五 危険負担
六 契約に関する紛争の解決方法
七 その他必要な事項

地方自治体の場合

 

東京都契約事務規則

第三十六条 契約担当者等は、一般競争入札、指名競争入札若しくはせり売りにより落札者若しくは競落者が決定したとき、又は随意契約の相手方を決定したときは、遅滞なく次に掲げる事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし、契約の性質又は目的により該当のない事項については、その記載を要しないものとする。

一 契約の目的
二 契約金額
三 履行期限
四 契約保証金に関する事項
五 契約履行の場所
六 契約代金の支払又は受領の時期及び方法
七 監督及び検査
八 履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
九 危険負担
十 契約不適合責任
十一 契約に関する紛争の解決方法
十二 その他必要な事項

 

大阪府財務規則

第六十四条 契約担当者は、契約を締結しようとするときは、次に掲げる事項を記載した契約書を作成しなければならない。ただし、契約の性質又は目的により該当のない事項については、この限りでない。

一 契約の目的
二 契約金額
三 履行期限
四 契約保証金
五 履行の場所
六 契約代金の支払又は受領の時期及び方法
七 監督及び検査
八 履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
九 危険負担
十 契約不適合責任
十一 契約の変更及び解除
十二 契約に関する紛争の解決方法
十三 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

なお、仕様書は、契約を締結する前に作成する書類です。当然ながら「契約金額」は記載しません。契約金額は落札決定後に確定します。

 

「危険負担」とは、予期していなかった突発的なことによるリスクの負担のことです。火事や自然災害などで、相手方にも責任がない場合、どちらがリスクを負うかということです。官公庁側が支給する材料の破損によって、契約を履行できないケースなども含まれます。

 

「履行の追完」、「契約不適合責任」は、2020年4月の民法改正により、従来の瑕疵担保責任を明確にしたものです。いわゆる物品を購入したときの無償保証期間などです。契約時にはわからなかった欠陥品などの補修や、代替物の請求などができます。

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仕様書の記載項目

 

仕様書を作成するときに、必ず記載する項目は次のとおりです。

 

仕様書に記載する必須項目

 

1.契約の内容と履行期限

2.契約を履行する場所 (納品場所や作業実施場所など)

3.契約代金の支払方法(完了後、30日以内に一回で支払うなどの支払条件です。)

4.監督及び検査(工事契約では監督が必須です。また全ての契約で検収が必須です。)

5.履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金、履行の追完、代金の減額及び契約の解除(遅延利息は、具体的な率を%で明記しておくと、わかりやすいです。)

6.危険負担、瑕疵担保責任、契約不適合責任など、万が一のリスクを誰が負うか。

7.トラブルになった場合の解決方法(原則は、当事者間で解決、訴訟の場合はどの裁判所とするか)

8.入札保証金、契約保証金(通常、競争参加資格を持っていれば免除です。)

 

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物品購入契約の仕様書の書き方

 

物品購入契約と役務契約を例にして、仕様書を作るときの基本的な考え方を解説します。

 

物品を購入する契約では、最初に物品の性能を決めます。必要最少限の性能を検討します。最初は3社くらいのメーカーからカタログを取り寄せ、あるいはインターネットのWEB上から資料をプリントアウトして、必要と考えられる性能部分を黄色のマーカーなどでマークし比較検討します。求める性能の基準値を選びます。競争性を確保するため複数メーカーが含まれるように基準を設定します。

 

寸法や重量については、特殊な設置場所などの制約がない限り、余裕を持った上限値だけを設定します。複数メーカーの機種が含まれる数値とするのが基本です。机や椅子などはレイアウトによってサイズが制限されますが、それほど大きくない物品(ノートパソコンなど)であれば、寸法や重量は比較対象に含めません。

 

性能を記述するときは、主な性能部分だけで十分です。カタログにある製品の性能すべてを記載する必要はありません。選定のポイントになる部分だけを記述します。

 

物品の仕様が決定したら、次は実際に納品してもらうときのことをイメージします。トラックで搬入するのか、どこの入口を使うのか、エレベーターは占有するのか、大きな物品を大量に運ぶのであれば、廊下やエレベーターを傷つけないように、ダンボールや毛布などで養生が必要になります。小さい物品で台車や手持ちで運べるものであれば養生まで必要はないでしょう。納品時の光景をイメージすることが大切です。イメージできないときは、専門会社からヒアリングしても良いでしょう。実際に現場を見ながら、トラックの駐車場所や搬入経路を歩きながら自分の目で確認します。

 

搬入・運搬方法がある程度イメージできたら、次は物品の設置です。実際に納品する場所まで足を運んで確認します。スマホで写真を撮っておくと効率的です。製品は通常ダンボールに梱包されています。ダンボールを開封し納品場所へ設置することになります。

 

納品検査を行うときは、物品の性能までチェックします。電源を接続したり、給排水の接続が必要になることもあるでしょう。電源を接続するときに、別に延長ケーブルが必要かもしれません。設置場所近くに空きのコンセントがあるか、物品本体の標準ケーブルで接続できるか、実際に目で見て確認します。

 

納品時には、機器を接続し電源を入れ、実際に動作を確認します。パソコンなどでアプリケーションソフトを含めているのであれば、インストール作業と動作確認も必要です。

 

また、操作が複雑な物品であれば、使用者への操作説明会を開催します。高度な操作性が要求される物品であれば、操作説明会も、2回あるいは3回必要になるでしょう。標準マニュアルの他に、写真入りの簡単な操作手順マニュアルも必要かもしれません。

 

物品を設置し動作の確認が終えれば検査完了になります。完了後に、空き段ボールの処分までお願いするのであれば仕様書に明記した方が良いです。あるいは官公庁側でダンボールを保管して後日売り払いなどをするのであれば、保管倉庫まで運搬することも記載しておきます。

 

このように、実際に行うことをイメージしながら仕様書を作成します。最初は、「動き」を箇条書きにし、その後に肉付けしながら文章化します。大げさな言い方になりますが、小説を書くような感じです。

 

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役務契約の仕様書の書き方

 

役務契約とは、その他の契約です。工事請負契約、物品製造契約、物品購入契約、賃貸借契約以外の契約を意味します。官公庁独特の契約の種類になります。根拠法令は、国の場合は予算決算及び会計令、地方自治体は地方自治法施行令です。

 

予算決算及び会計令

第九十九条
七 工事又は製造の請負、財産の売買及び物件の貸借以外の契約でその予定価格が百万円を超えないものをするとき。

 

地方自治法施行令

第百六十七条の二 (略)随意契約によることができる場合は、次に掲げる場合とする。
一 売買、貸借、請負その他の契約でその予定価格(略)が別表第五上欄に掲げる契約の種類に応じ同表下欄に定める額の範囲内において普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき。

別表第五(第百六十七条の二関係)
工事又は製造の請負、財産の買入れ、物件の借入れ、財産の売払い、物件の貸付け以外のもの

 

役務契約に該当する主なものは、清掃契約、警備契約、運搬契約など人件費を主な内容とするものです。役務契約という概念は、民法にも規定はありません。競争入札にするか、随意契約にするか、契約方式を判断するときに官公庁が用いる契約の種類です。ここでの説明はわかりやすいように、机を運ぶ運搬契約を考えます。事務室などの引っ越しを想定してください。

 

運搬契約では、最初に「何をどこからどこまで運ぶのか」を決めることになります。運搬対象となる物品を特定し、どの場所からどの場所へ運ぶのかを記述します。また運搬する方法として、人手を使い人海戦術で行うのか、エレベータやトラック、クレーン車などを使うのか決めます。ただ人海戦術は費用が高くなるので、エレベータやクレーンなどを使った方が効率的です。

 

一般的には、契約手続きを始める前に参考見積書を取り寄せます。その時に専門会社へ概要を説明し、実際の運搬手法などをヒアリングします。ヒアリングする専門会社は、なるべく2社から3社を選定します。そして仕様書の内容は、一般的な内容とします。特定の会社しか対応できない内容は、極力排除します。

 

例えば、机を運搬する仕様書は、次の順序で考えることになります。

 

最初に、運搬契約の内容を大まかにイメージします。どの机を運ぶのか、机の上に置いてある書類や荷物、引き出しの中の書類の片付けをどうするのか考えます。すべてを契約内容に含めるのか、あるいは事前に官公庁側の職員が、机の中の書類などはダンボールに梱包しておき、ダンボールだけを運搬する契約とするのかを検討します。いわゆる引っ越しの「おまかせパック」にするのか、あるいは経費を安くするために必要最小限の運搬だけにするのか上層部の判断を仰ぎながら決定します。多くの関係者に影響を与えるような作業は、必ず、上司に相談しながら進めます。契約担当者ひとりだけで判断してしまうと、後でクレームが噴出してしまいます。関係者全員が納得するような立場の上司へ相談しつつ進めることになります。

 

 係を超える場合は課長、課を超える場合は部長、など上位の立場の人の了解を得つつ進めます。

 

次に引っ越し作業のスケジュールを決定します。官公庁側が負担しなければならない作業などは、事前に関係者へ説明し了承を取らなければなりません。官公庁側の梱包作業などの事前準備は、引っ越し日時までに終わらせておかなければなりません。また引っ越し当日に、重要なイベントや会議等があれば除外しなければなりません。

 

引っ越しなどを計画するときは、契約担当者と関係者が集まって、スケジュールや準備方法を確認しながら進めます。

 

運搬する物品を特定し、官公庁側でどこまで事前準備するかを決め、それらをイメージしながら運搬作業を仕様書へ記述していきます。実際に運搬する経路をイメージし、エレベーターで運べるものなのか、あるいは狭い階段を運ぶために分解組みたてが必要になるのか検討します。多量の物品を運搬するのであれば、建物や廊下、階段、エレベーターなどを傷つけないよう養生することも必要です。

 

運搬する場所によっては、運び出した後の清掃、運び込んだ後の清掃、運搬に使ったダンボールの空き箱処分なども仕様書へ盛り込みます。これらは官公庁側で自前で処理すれば安くすみます。費用対効果を考えて、どちらが得かという判断になります。官公庁側が繁忙期でなければ、職員が対応しても良いかもしれません。ただし通常業務を止めて行う作業になるので、事前に関係者の了承が必要です。

 

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仕様書を作成するときの基本的な考え方

 

仕様書は、作業内容をイメージしながら記述します。最初、おおまかに記載する項目を箇条書きにして洗い出し、さらに細かく記述していきます。

 

ひとつの例です。

 

箇条書きで抽出

ラベルの貼ってある物品を運ぶ

机と椅子はセットで運ぶ

運び先はラベルで指示してある

運搬先の座席の近くに段ボールを置く

 

 

文章化

物品の運搬は、次のとおり行うこと。

運搬対象物品には、すべてラベルを貼付してある。ラベルには名前、搬出元と運搬先が記載してあるので、運搬先の座席表に基づいて配置する。机と椅子は、必ずセットで配置すること。また書類の入った段ボールは、座席の近くに置くこと。

 

初めての契約で作業内容がイメージできないときは、専門会社からのヒアリングにより仕様書を作成することになります。競争入札の対象となる大きな契約になりそうであれば、ヒアリングはなるべく2社以上へお願いして競争性を確保します。

 

作業内容は、実際の順序で記述します。作業の順番と記述内容が乖離してしまうと混乱してしまいます。

 

仕様書のポイントは、誰が読んでも理解できることです。依頼したい内容が、わかりやすく伝わる表現にします。法律の条文のような難解な表現を使ってはいけません。専門家しか理解できないような表現は避けます。

 

契約を締結した後になって、当初想定していなかったことが起こり、契約内容を変更しなければならないこともあります。その時は変更契約書で対応します。100%完全な仕様書を作ろうと思うと緊張してしまい、重要な部分が漏れてしまいます。「およその内容で仕様書を作る」というくらいの心構えで十分です。

 

仕様書の原案が完成した段階で、正式な決裁をもらう前に、必ず上司にチェックしてもらいましょう。仕様書のミスは、作成者には発見できません。文章や書類のミスや漏れは、他人の目でしか発見できないのです。

 

最初のうちは、「完璧な仕様書を作成した」と思っていても、先輩や上司にチェックしてもらうと、いろいろなミスが判明します。落ち込むかも知れませんが、ミスを指摘してもらえるのはありがたいことです。指摘してもらうということは、自分の能力がアップするわけですから。

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コメント

  1. とある国立大学職員 より:

    いつも大変お世話になっております。
    国立大学で調達に関する契約事務を担当している者です。
    物品の調達・賃貸借時の仕様書に記載する製品の「メーカー名」についてご意見を伺いたく、コメントさせていただきました。

    仕様書で製品を例示する場合「○国○○製(メーカー名) ○○○○(製品名)」と記載することが多くあるかと思いますが、そのメーカー名を「製造業者」か「製造販売業者」(もしくはそれ以外)にするべきかで非常に悩んでおります。

    自分なりにも調べ「製造業者」は製造行為のみを行う業者であり、市場に流通させることはできず「製造販売業者」は製造工程の監督から、販売後の異常・製品回収の判断を行うなど、製品の製造と販売に全責任を負うものと知りました。

    上記を踏まえ、製造販売業者をメーカーとすることで差し支えないかと考えています。ディーラーが一般的にメーカーと呼んでいるのも「製造販売業者」であることが多い状況です。

    しかし、上司からは製造業者である必要があると指摘を受けました。メーカーをどことするかにより、代理店証明をどこまでさかのぼり徴取する必要があるか、製造業者とすることで外国製品となり、レート計算も必要になると契約事務手続きに必要な処理が増えてしまう状況です。

    そもそもメーカー名は何を目的として記載しているかにもよるのかと思いますが、ご意見を伺えればと存じます。

    稚拙な文章で大変恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。

    • 矢野雅彦 管理人 より:

      コメントありがとうございます、管理人です。

      仕様書へ記載する「メーカー名」は、製品を特定するために必要です。一般的に、製品の背面や底面などに貼付してある銘板や、製品自体に記載されている製造業者名になります。メーカー名は、実際にその製品を製造した会社名です。

      原則としてメーカー名は、多数の販売会社(取扱店)が参入できる方が望ましいわけです。特定の販売会社をメーカー名として記載してしまうと、競争する前から(特定の系列の)販売会社を限定してしまうことにもなります。販売や修理、アフターサービス等は、契約の相手方が直接責任を負うものです。

      つまり、上司の指摘(製造業者名)が正しい判断です。

      なお、外国製品の購入で、細かいレート計算が必要になるのは、受注した後に外国から輸入する場合です。すでに在庫品を国内で持っているなら、日本国内向けの価格設定していることもあります。いずれにせよ、参考見積書を取り寄せるときに、金額の算出方法を聞き取り調査することになります。

      • とある国立大学職員 より:

        お忙しいところ早速ご返信いただきありがとうございました。
        競争の観点から製造業者とする点はまったく考えていなかったため非常に参考になりました。
        今後ともよろしくお願いいたします。

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