学会へ出席するときの旅費と学会参加費には注意が必要です。
学会参加費の中に食事代が含まれていると重複してj受領してしまうリスクがあります。
特に海外で開催される学会では、参加費に食事代が含まれるケースが多いです。食事代を減額調整する方法です。
学会参加費と食事代
研究者が学会へ出席するときに注意したいポイントです。出張旅費と学会参加費の中に重複する部分があります。学会参加費に含まれる食事代です。特に海外で開催される学会では、食事代が含まれているケースが多く、出張旅費の宿泊手当と重複するのです。科研費などの政府系の研究費は、検査の際に重複支払いとして指摘を受け研究費返還になります。故意に重複請求するなど悪質であれば研究費の不正使用として公表されてしまいます。
学会へ出席するときに出張旅費を請求するときは、次の点を事前に確認します。この確認を行わずに、研究費から旅費と学会参加費を受領してしまうとトラブルになります。研究費の不適切な使用と看做され、疑いの目を向けられてしまいます。研究者も事務担当者も注意したい点です。
学会へ出席するときのチェックポイント
チェックポイントは、旅費と学会参加費の予算(財源)が同一であるか、また学会参加費の中に食事代が含まれているかです。出張者本人が申し出ないとわからない内容なので注意しましょう。
同一の予算が使われているか確認
目的外使用になる例(予算が異なる)
出張旅費・・・科研費
学会参加費・・・政府系委託費
旅費は、請求書類が提出されれば支払い手続きは問題なく行われます。しかし用務内容によっては、後日問題が発生するリスクがあります。
出張旅費が科研費から支払われるのであれば、学会参加費も同じ科研費から支払わないと出張目的が矛盾してしまいます。科研費は研究テーマが決まっています。そして他の経費との合算使用が禁止されています。政府系委託費も同じように研究テーマが決まっています。研究テーマが異なる研究費からの支払いは、出張目的が相互に矛盾し検査で否認されます。(目的外使用と看做されます。)
科研費や政府系の委託費は、それぞれ別々の研究課題を実施するための研究費です。研究目的が異なっています。ひとつの学会へ参加するために両方の研究費を使ってしまうと、どちらかが目的外使用になってしまうのです。原則として、出張旅費と学会参加費は、同一の研究費を使わなければなりません。
あるいは片方の予算を、使用目的が限定されていない、用途の自由な寄附金や運営費交付金で支払わなくてはなりません。
参考「競争的資金の適正な執行に関する指針」-抜粋-
平成17年9月9日競争的資金に関する関係府省連絡会申し合わせ(平成29年6月22日改正)
2.不合理な重複・過度の集中の排除
(1)不合理な重複・過度の集中の考え方
① この指針において「不合理な重複」とは、同一の研究者による同一の研究課題(競争的資金が配分される研究の名称及び その内容)に対して、複数の競争的資金が不必要に重ねて配分される状態であって、次のいずれかに該当する場合をいう。
○実質的に同一(相当程度重なる場合を含む。以下同じ。)の研究課題について、複数の競争的資金に対して同時に応募があり、重複して採択された場合
○既に採択され、配分済の競争的資金と実質的に同一の研究課題について、重ねて応募があった場合
○複数の研究課題の間で、研究費の用途について重複がある場合
学会参加費に食事代が含まれているか確認
さらに、ややこしいチェックポイントがあります。学会参加費の中に食事代が含まれていると、旅費の宿泊手当と重複するリスクがあります。
旅費は、国家公務員等の旅費に関する法律(旅費法)の考え方が基本です。旅費の中には、夕食代と朝食代が宿泊手当として支給されます。そのため学会参加費の中に夕食代や朝食代が含まれていると、出張旅費との二重払いになってしまうのです。
旅費の構成内訳とは
旅費法に基づく、旅費の構成内訳です。
- 交通費(鉄道賃、バス賃、航空賃の実費)
- 宿泊費(素泊まり料金・・実費)
- 宿泊手当(定額・・宿泊した場合の夕食、朝食代)
交通費は実際の運賃なのでわかりやすいと思います。食事代相当の宿泊手当をわかりやすく解説します。
旅費法上の宿泊手当とは
旅費法上の宿泊手当は、実費弁償ではなく定額支給です。
例えば国内旅費なら、1夜あたり定額 2,400円、外国旅費は国により金額が異なりますが、アメリカやイギリスなら1夜当たり定額 5,400円です。宿泊手当は、国家公務員等の旅費支給規程 第14条の別表3で、宿泊地の国名ごとに細かく区分されています。
この宿泊手当は、定額支給です。そのためパック旅行などで交通費とホテル代がセットになっているときに朝食代などが含まれているときは、パック料金に加算する宿泊手当は、次のように減額することになっています。
宿泊費の中に朝食代または夕食代のいずれかが含まれているとき・・定額の三分の二
宿泊費の中に朝食代と夕食代の両方が含まれているとき・・定額の三分の一
つまり、飛行機代とホテル代がセットになったパック料金の中に、朝食代相当が含まれていれば、宿泊手当は定額の三分の二になります。
このように旅費上は、交通費、宿泊費、宿泊手当(夕・朝食代)が支給されます。
学会参加費の立替払に注意
研究者本人が学会参加費を現金やクレジットカードで支払い、後日、立替払として請求することが多いです。立替払いとして請求するときは、学会参加費の内訳が記載してある資料を必ず提出します。学会参加申込書のWEBページの印刷、あるいはパンフレットのコピーなどを添付し、夕食代あるいは朝食代が含まれているときは、その該当箇所をマーカーして提出します。そして食事代が含まれているので、旅費を減額調整願いますと旅費請求書の余白にメモ書きして提出します。
申し出があれば、事務部門が支払手続きを行うときに、宿泊手当を調整したり、学会参加費の方から食事代相当額を減額します。
申し出を忘れるなど提出書類のうっかりミスで、食事代相当額を重複して受領してしまうと、研究費の不適切な使用と看做され、自身の研究までもが疑いの目を向けられることになります。研究費の不正使用は、研究者にとって致命的なことです。外部から指摘を受けると、事務部門だけでなく組織の上層部へも報告されます。すぐに組織全体へ知れ渡ります。どれほど研究に打ち込んでいても、本人にとって大きな傷になります。学会へ出席するときに重要なチェックポイントです。
コメント