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見積書提出の電話依頼マナーと注意点:官公庁向け初心者ガイド

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見積もり合わせを行う際、適切な見積書の提出を依頼することは、取引相手との円滑なやり取りや最適なコストパフォーマンスを実現するために重要です。

 

しかし、電話での依頼は、伝え方によっては相手に負担をかけてしまったり、誤解を招く可能性もあります。

 

私は緊張してしまう性格のため、伝えたいこと、聞きたいことをメモしておかないと、何を話したかわからなくなるタイプです。会話が得意な人であれば、必要ない内容かもしれません。

 

本記事では、見積書提出を依頼する際の電話のかけ方について、具体的な手順やマナー、注意点を紹介し、初心者でも安心して依頼できる方法を詳しく解説します。正確で丁寧な依頼が、相手方との信頼関係を築く鍵です。

 

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見積書の重要性とその役割を理解しよう

 

見積もり合わせが持つ意義と目的とは?

見積もり合わせは、複数の民間企業等から同じ条件で見積書を提出してもらい、価格を比較するための重要なプロセスです。随意契約という契約方式のための手続きです。この方法を使うことで、コストパフォーマンスの良い選択ができ、無駄な経費を抑えることができます。また、企業間での公平・公正な競争を促進し、信頼性のある相手方を選定することも目的の一つです。

 

官公庁における見積もり合わせは、法令で義務付けられています。さらに、予算管理やコスト削減において非常に重要な役割を果たします。また、契約の相手方を選ぶ際の判断基準となります。一番有利な価格を提示した相手方を選ぶことは、客観的で合理的だからです。

予算決算及び会計令

(見積書の徴取)
第九十九条の六
契約担当官等は、随意契約によろうとするときは、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。

 

地方自治体は、それぞれの規則で定めています。

東京都契約事務規則

(見積書の徴取)
第三十四条
契約担当者等は、随意契約によろうとするときは、契約条項その他見積りに必要な事項を示して、なるべく二人以上の者から見積書を徴さなければならない。

 

横浜市契約規則

(見積書の徴収)
第27条
随意契約を締結しようとするときは、当該契約に必要な事項を示し、2人以上から見積書(略)を徴さなければならない。

 

見積書が果たす「契約申込み」としての法的役割

日常的に見積書を扱っていると、ふと忘れがちになるのですが、見積書には法的な効果があります。民法における「契約の申込み」に該当します。

 

民法

(契約の成立と方式)
第五百二十二条
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

 

契約は、当事者同士の合意で成立します。例えば官公庁側がパソコンを購入するとしましょう。契約担当職員がパソコン販売店を探して、見積書の提出を依頼し、3社を比較してA社に決定したとします。すると次のような流れで契約が成立することになります。

 

1.契約担当者が電話で見積書の提出を依頼(契約の申込みの誘因)

2.A社などが見積書を提出(契約の申込み

3.見積もり合わせを実施し、A社に決定、A社へ正式発注(承諾

4.A社から請書を提出してもらう(契約の確認)

 

契約の成立は、民法522条に基づき、上記3の承諾したときです。随意契約では、見積書の内容を確認し、相手方へ正式発注(承諾)したときに契約が成立します。また少額な随意契約では、契約成立時の内容を当事者同士で書面で確認するために請書(誓約書)を後日提出してもらうことが多いです。

 

日常の契約手続きでは、トラブルなく、契約の履行を無事に終えるので、この契約の流れを意識する必要はありません。ただ万が一、契約不履行などのトラブルが発生した場合には、この契約の概念が重要になりますので、基礎知識として理解しておきましょう。

 

見積書提出を依頼する際のポイント

見積もり合わせを行う際に、見積書の提出を依頼する方法は、依頼する相手との信頼関係を築くために非常に重要です。初めての会社に対しては、いきなりメールするのは失礼です。迷惑メールと思われてしまいますし、礼儀に欠けている行為です。

 

初めての会社へ見積書の提出を依頼するときは、まず最初に電話で挨拶してから、見積書の提出をお願いできるか確認し、その後でメール(あるいはFAX)で依頼します。

 

最初の電話での依頼の際には、相手に対して失礼がないように、明確で簡潔なコミュニケーションを心がける必要があります。また、相手がどのような条件で見積もりを作成すべきかを明確に伝えることで、誤解やトラブルを防ぐことができます。

 

電話での依頼は、メールと比べて迅速なコミュニケーションが可能な反面、情報伝達が曖昧になるリスクもあります。そのため、依頼内容は事前に整理して手元にメモを置いておき、必要な情報を正確に伝えることが求められます。例えば、見積書を依頼する目的、見積もりに含める項目、作成費用や、納期、提出方法などを具体的に伝えることが大切です。

 

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見積書依頼前に確認すべき準備事項

見積書を依頼する会社の適切な選び方

見積もりを依頼する前に、適切な相手方を選定することが重要です。まずは、依頼する製品やサービスに関連する信頼できる会社のリストを作成します。リストには会社名、電話番号、営業担当者名を記載します。5社程度(3社、予備2社)ピックアップします。

 

見積書の提出を依頼する会社の選び方は、次の順番で行います。

 

1.過去の取引データ(会計システムや契約システムから検索)から、会社を選ぶ。すでに取引実績のある会社であれば信用できますし、官公庁の会計法令を理解しているので安心です。余裕があれば過去の契約内容まで把握しておきましょう。電話するときにも話のタネになります。

 

2.過去の取引データから見つからない場合には、入札参加資格者の名簿から探します。国の場合は「調達ポータル」内にある「全省庁統一資格」名簿が公開されています。地方自治体も同じように公開されています。名簿から選ぶ場合は、なるべく自分の近くの会社を選びましょう。官公庁との取り引きを希望する会社の一覧なので、怪しい会社は掲載されていません。

 

3.過去の取引データにもなく、入札参加資格者名簿からも見つけられない場合は、インターネット上のWEB検索で探すことになります。ただWEB上には官公庁との契約を希望しない会社も掲載されています。なるべくWEB上で取引実例などを調べましょう。官公庁と取り引きしている会社を選びましょう。稀なケースではありますが、悪徳会社になると、電話しただけで契約を進めてしまう会社もあります。キャンセルしようとすると損害賠償を求めるような押し売り会社が存在するので注意しましょう。全国展開している知名度のある会社が安心です。

 

また、もし信頼できる営業担当者が近くにいるなら、おすすめの会社を探してもらう方法もあります。優秀な営業担当者は、人脈が広く、さまざまな業界内の情報も詳しいです。自社で対応できなければ、他の会社を探してくれます。

 

見積書提出依頼時に整理すべき条件リスト

見積書の提出を依頼する際には、あらかじめ契約条件を明確に整理しておく必要があります。例えば、見積もりを依頼する際に、以下の条件を必ず確認しましょう。物品購入の例です。

 

最初に伝える事項

〇〇製品を扱っているか

見積書の提出を無料でお願いできるか 提出期限〇月〇日予定

今回は「見積もり合わせ」という方法で、他社にも声をかけていること、一番安い会社と契約する予定であること

見積もり内容

品名  メーカー名、型式、数量

納入期限 〇週間以内

納入場所 〇〇庁舎 3階事務室

契約代金の支払方法 検収完了後30日以内に銀行振り込み

提出方法 見積書をメール添付で提出するのか、紙で押印したものを郵送するのか、提出方法を明確に伝える。

 

役務契約の場合には、契約内容の概要を伝えて説明し、詳細について仕様書を送り見積書の提出ができるか検討してもらうことになります。修理などは現物確認しないと見積書も提出できないことが多いです。

 

事前に準備しておくべき情報(依頼内容の明確化)

見積もり依頼をスムーズに進めるためには、事前に契約内容をしっかりと整理しておくことが重要です。まず、何をどのように依頼するかを具体的に決め、相手方へ正確な情報を提供する準備を整えます。

 

例えば、依頼する製品については、メーカー名、型式、附属品、オプション類を明確にします。また、類似メーカーの同等品を認めるのか事前に決定しておきます。同等品を認める場合は、許容範囲を事前に決定しておかなければなりません。例えば、「重量は10kg以下」とするなら、その根拠まで必要になります。なぜ11kgではダメなのか説明しなければなりません。そのため、同等品を認めるときは例示規格品を2~3個記載して、その上限と下限を許容範囲とします。同等品を認める契約は、調査に数か月かかるので大規模な契約の場合だけです。

 

メーカー名や機種を指定しても、取り扱い会社が多数ある場合は、同等品を認めずに機種指定した方が安全です。販売会社が複数あり、競争性が確保される状態であれば「機種選定理由書」を作成して「見積もり合わせ」することになります。

 

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見積書依頼の効果的な電話方法

 

自己紹介と用件の伝え方

電話をかけた際、まずは挨拶し、自分の名前と所属、用件を簡潔に伝えます。例えば、「はじめまして、〇〇省の〇〇と申します。突然のお電話で失礼いたします。見積もりのお願いがありましてお電話いたしました。」といったように、明瞭で親しみやすいトーンを心がけましょう。

 

見積もり内容と条件の伝達(納期、仕様書、提出方法など)

次に、具体的な見積もり内容や条件を簡単に伝えます。

「私どもの方で、現在パソコンの購入を計画しております。〇〇製のパソコンは取り扱っていますでしょうか?」

 

「型式〇〇のパソコンを2台、納入期限は3週間くらいの計画です。今回は御社の他にも見積書の依頼をお願いし、一番安い相手方と契約を締結する予定です。まだ契約できるかわからない状況ですが、無料で見積書の提出をお願いできますでしょうか?」

 

もし、ここで見積書の作成費用が有料とか、契約が前提でないと見積書を提出できないという申し入れがあれば、すぐに次のように断ります。

 

「わかりました。それでは、見積書の提出は結構です。また次の機会にお願いします。本日は、お忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。」

 

そして電話は乱暴に切らずに、受話器のマイク部分を手で押さえながら、相手が切るのを確認してから切りましょう。

 

無料で見積書の提出が可能な場合には、詳細をメールで送ることを伝えます。

 

「ご協力いただき、ありがとうございます。それでは正式な依頼文をメールで送りますので、メールアドレスとお名前を教えてください。もしWEB等で記載があれば教えてください。」

 

送付先を教えてもらったら、最後にお礼を言って電話を切ります。電話を切るときも相手が切ってから切りましょう。

 

「本日は、お忙しい中、お時間をいただき、ありがとうございました。すぐにメールを送りますので、よろしくお願いします。それでは失礼いたします。」

そして次の内容のメールを送ります。

メール依頼文の例

見積書の依頼文(メールの場合)の例です。

 

◯◯株式会社
◯◯営業部
◯◯◯◯様

 

先ほどは電話で失礼しました。◯◯省◯◯課 会計係◯◯です。早速、送信させて頂きました。

私どもでは、次のとおり(または別紙仕様書のとおり)ノートパソコンの購入を計画しています。

 

今回は、御社の他にも数社、見積書の提出を依頼しています。提出頂いた見積書のうち、最も安い金額を提示して頂いた方と契約を締結する予定です。

 

つきましては、ご多忙中恐縮ですが、2024年 月 日(金)までに見積書の提出をお願いします。(注:メール添付あるいはFAXでの提出も可能です。)

 

なお、お手数ですが、受信確認のため本メールに返信(受信した旨の記載のみ)あるいは電話連絡頂けますと幸いです。

 

契約内容は次のとおりです。

 

1.契約件名 ノートパソコン 2台

2.調達物品の内訳
ノートパソコン 2台 メーカー◯◯製 ◯◯型
標準付属品を含む
Office Home & Business 2024(2024 デスクトップ バージョンの永続版)付
LAN接続ケーブル カテゴリ6 2m 2本

3.納入期限 2024年9月8日

4.納入場所 東京都千代田区霞が関110番地
合同庁舎 1号館 3階202事務室

5.搬入・設置方法
上記の事務室内へ設置し、既設LANへの有線接続を行う。設置後は、契約担当者立ち合いの上、ソフトのインストールと動作確認を行います。動作確認までが契約内容に含まれます。
また、開梱後の段ボール等の処分費も含みます。

6.物品の無償保証期間
検収完了後、1年間とします。

7.代金の支払方法 検収完了後、適法な請求書を受理してから1回払い。

以上です。

他にご不明点や確認したい点がございましたら、ぜひお知らせください。

〇〇省〇〇課 〇〇係 〇〇〇〇
直通電話 〇〇〇〇
電子メール 〇〇〇〇

 

質問や不明点の確認方法

メール文の最後に、相手に対して質問があるかどうか、また不明点を確認する機会を設けます。「他にご不明点や確認したい点がございましたら、ぜひお知らせください」と締めくくると、相手も安心して応じやすくなります。

 

遠慮なく質問してもらうことが大事です。質問内容は、今後の資料作りの改善点を示す貴重な意見になります。

 

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見積書依頼時のマナーと気をつけるべきポイント

明確な依頼を行うための表現方法

見積書を依頼する際は、明確で簡潔な表現を使うことが大切です。たとえば、「〇〇の見積書をお願いしたく、ご連絡いたしました。納入期限は2週間程度を予定しています」と具体的に伝えることで、相手が迷わずに対応できます。依頼する内容が複雑な場合でも、箇条書きやポイントを明確にして伝えると、相手に負担をかけません。

 

曖昧な表現を避け、依頼内容をはっきりと伝えることで、後のトラブルを防ぎます。また、相手にとって分かりやすい言葉遣いを意識し、会計法令などの専門用語は避けましょう。契約する前提なのか、それとも他社と比較するために見積書を依頼しているのか、目的を明確に伝えましょう。

 

忙しい相手への配慮

依頼の際、相手の時間に配慮することも非常に重要です。忙しそうな時間帯のときは、電話の時間を短くし、必要な情報だけを伝えるように心がけます。例えば食事時間帯前後は極力避けるべきです。そして最初に「お時間よろしいでしょうか?」と一言確認することで、相手に対する礼儀を示せます。

 

また、急ぎの案件であっても「急ぎで申し訳ございませんが、〇月〇日までにお願いできると助かります」と、相手の状況に配慮しつつ依頼することが大切です。無理なお願いをしないように、適切なスケジュールを設定し、相手の負担を減らす工夫をしましょう。提出期限は2週間くらい確保すると余裕が生まれます。

 

相手に過度なプレッシャーをかけず、丁寧で相手の状況を尊重する依頼方法は、信頼関係の構築にもつながります。見積もりの依頼がスムーズに進むだけでなく、次回以降の取引でも良好な関係を維持できるでしょう。

 

全体を通して、相手の状況や時間を尊重しつつ、簡潔で分かりやすい依頼を行うことで、見積書の提出依頼が円滑に進むことが期待されます。

 

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まとめ

 

見積書の提出を依頼するためのポイントを再確認しましょう。

 

まず、事前の準備段階で依頼する会社の選び方や依頼内容を明確に整理し、相手にわかりやすく伝えることが大切です。電話では、自己紹介と用件を簡潔に説明し、契約条件や納入期限などを正確に伝えることが求められます。さらに、相手の時間に配慮した丁寧な対応が、信頼関係の構築につながります。

 

これらのポイントを踏まえ、見積書の提出依頼を円滑に進め、次回以降の取引でも良好な関係を保つことが目指すべき成功の鍵です

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