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科研費で図書カードは危ない!受払簿や領収証がないと不正使用の疑い

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科研費で図書カードを購入するときの注意点です。日本学術振興会のQ&Aでは、調査などに協力してくれた人へ図書カードを配布することができると明記してあります。しかし図書カードは金券で現金扱いです。受払簿による管理や領収書の保管が必須です。

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科研費で図書カードを配布できる?

図書カードは現金と同じ金券です。科研費(科学研究費補助金)で図書カードを購入し配布することについて解説します。最初に日本学術振興会(JSPS)の科研費FAQ質疑応答を確認します。

 

科研費FAQ R1.6.版

【Q4451】 人件費・謝金として支出できるものに制限はありますか?

【A】アンケート調査を実施する場合に、協力していただいた人に、謝礼として図書カードなどを配付することも、研究に直接必要となるものであれば支出できます。

参考 古いFAQ(平成23年6月14日版)
【Q4451】 人件費・謝金として支出できるものに制限はありますか?
【A】
アンケート調査を実施する場合に、協力していただいた人に、謝礼として図書カードなどを配付することも、研究に直接必要となるものであれば支出できます。

 

日本学術振興会の科研費に関する質疑応答に、科研費で図書カードを配布できるという記載があるため研究現場が混乱しています。本来科研費は、研究テーマを遂行するのに直接必要な経費です。厳密にいえば、謝礼は付随的な経費です。そのためほんとに現金をバラ撒いてよいのか?と判断に迷ったり、予算を消化するために図書カードを使うような、不正を疑われる事態が生じています。

 

科研費(補助金分)は単年度予算です。従来からの古い考え方で、「年度末までに予算を使い切る必要がある」、「せっかくもらったお金だから返すのはもったいない」と考える研究者が多いのです。

 

余った研究費を図書カードで予算消化しようと考えてしまうのです。研究・調査に協力してもらった人に対して図書カードを配れば、すぐに予算を消化できます。図書カードをもらった人からも感謝されます。科研費を消化でき、みんなからも感謝され、一石二鳥と考えてしまうのです。図書カードは、1枚あたり500円から1万円までの種類があります。配布人数を多くすれば簡単に予算消化できます。

 

これは困った考え方です。研究費の不正使用と看做されてしまいます。

 

そもそも科研費は国民の税金です。国民の血税です。無駄な支出は行うべきではありません。余った予算は国へ返すのが原則です。

 

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科研費を使用するときの判断

 

研究者は、研究に関連した支出なら、使った方が得するという考え方は慎むべきです。日本全体が財政危機に直面している状況で考えなければいけないことは本当に研究に必要な経費かどうかという判断です。必要性を十分に考えて科研費を使用するべきです。

 

科研費を使うときの判断基準は単純です。

 

この経費を支出しなければ研究ができないと、対外的に説明できるかです。そして理由を聞いた人が納得するかです。

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図書カードの危険性

 

図書カードの配布は、研究に協力してくれた相手に対して謝意を表すものです。しかし真に必要かを検討すべきです。また図書カードには次のリスクもあります。

 

図書カードは現金と同じ扱いです。受け渡しのときに受払簿と領収書を作成する必要があります。相手に渡す目的を明確にしておくことが大切です。図書カードを購入した時には、受入年月日、単価、枚数、残枚数を記帳します。図書カードを配布した時には払い出し年月日、単価、枚数、渡した相手を記帳します。受け払いの事実を正確に受払簿へ記録しなければなりません。さらに配付した証拠として、渡した相手から領収書を取っておく必要があるのです。

 

受払簿と領収書を保存しておかないと、最悪の場合、横領などの犯罪を疑われることになります。受払簿と領収書がないと、図書カードを横領したと疑いをかけられたとき、無実であることを証明することができません。懲戒処分になる危険性があります。

 

さらに注意したい点は、図書カードを購入した研究者が、その図書カードを配布せずに年度を超えて保存していた場合です。研究者本人にしてみれば、単純に配りきれなかっただけかもしれませんが、科研費の不適切な使用と看做されてしまうのです。

 

補助金分の科研費で購入した図書カードの払い出しは、年度末の3月31日までに終わっていなければなりません。もし4月以降も、図書カードを配布せずに残していると、科研費の未使用残金として返還の対象です。収支簿の記載方法も注意が必要です。そして、もし科研費を返還する手続きを怠ってしまえば、プール金と同じように看做され、科研費の不正使用になってしまいます。

 

図書カードの使用は、このようなリスクがあるのです。これらのリスクは書類上だけではわかりません。もしわかるとすれば内部告発のみです。図書カードの管理を間違えると内部告発を誘発することにもなります。内部告発されたら、もう研究者としては人生が終わりでしょう。でたらめな研究者と、周りから一生見られてしまうのです。

 

謝礼の対象者が少ないなら、リスクのある図書カードの配布ではなく、通常の謝金として銀行振込みで支払うべきです。謝金での支払いなら、事務部門の会計機関から相手の銀行口座へ振り込み処理が行われます。事務部門で正式に支払処理ができます。図書カードのように研究者が現金を扱うリスクがなくなります。

 

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JSPSのFAQには、手続きの注意点が漏れている

 

しかし、なぜJSPSは不正使用の温床となるような図書カードの使用を認めているのか不思議です。上記のようにリスクがあるのであれば、受払簿や領収書の様式も記載し、手続き上の注意点も併せて併記すべきです。

 

図書カードによる不正は内部告発でしか露見しませんが、そのようなリスクを内在させるルールは変えたいものです。

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