知っておきたい科研費の使用ルール、単年度予算の補助金分は注意必要

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会計年度独立の科研費

 

競争的資金として代表的な科学研究費補助金は、通常の運営費交付金などの税金と異なり、使用ルールが細かく定められています。主に注意したい点を記載します。

 

科学研究費補助金(科研費)は、平成23年度から一部の研究種目が基金化され、繰越手続きを行わずに会計年度を超えて使用可能となりました。昔に比べて弾力的に使用できるようになりましたが、まだ、会計年度独立の原則による単年度予算の制約が、厳格に適用される部分が多く残っています。

 

特に、年度末納品や年度をまたぐ出張は、注意が必要です。

 

年度末納品については、昔は、前年の10月くらいまでに物品の納品が行われないと、科研費の研究に使用できない可能性があるので、理由書の添付が必要でした。しかし、最近は、次のように年度末納品が可能となりました。

 

年度末納品が可能

 

科研費ハンドブック(研究機関用)2017年度版111ページ

 

物品の納品、役務の提供等は、補助事業を行う年度の3月31日までに終了していなければなりません。

 

役務の提供等に関する支出は、実績報告書の提出期限(補助事業実施年度の翌年度の5月31日)までに行ってください。

 

この取扱いは、前年度の実績報告までの期間として2ヶ月間を確保することで、実質的に3月末まで物品の納品や役務の提供等が可能となるようにし、年度末時期においても適切に研究を進めることができるよう定めたものです。

 

年度末の科研費の注意点

 

しかし、次のような制限があります。

 

【文部科学省大臣官房会計課の見解】111ページ

 

ある年度から次年度に補助事業(研究)が継続する場合であっても、次のことは、会計年度独立の原則に反するので、行ってはならない。

 

前年度には全く使用せず、次年度のみにおいて使用する物品を、前年度の補助金で購入すること(注:前年度中に少しでも使用すればよい)

 

 

この会計課の見解から、科研費(補助金)での物品購入は、納入期限を3月31日に設定するのではなく、3月30日とか3月29日とかに設定し、前年度のうちに1日でも使用する契約とした方が安全です。

 

消費税改正による納品の遅れ

 

また、2013年度のときのように、消費税が5%から8%に上がる前は、年度末納品について特に注意が必要です。

 

官公庁だけでなく民間でも、年度末に注文が殺到することが予想されます。通常であれば、納期が2週間くらいのものであっても、数ヶ月必要になる可能性があります。

 

消費税の改正は、民間企業でも同様ですから、官公庁のみでなく、日本中の人たちが、年度末に発注する可能性があります。

 

このような時期は、単年度予算で、年度末に納品するのは避けた方が安全です。

 

もし、3月31日までに納品できなかった場合、科研費(補助金)の予算を使用することが不可能となり、予算を返さなくてはならない事態に陥ります。また、日付だけ修正するような書類操作をすれば、研究費の不正使用になってしまいます。

 

注意したい使用ルール

 

以下は、科研費ハンドブック(研究機関用)-2017年度版からの抜粋です。注意したい使用ルールです。

 

95ページ
「新規の研究課題」については、科研費(補助金分)、科研費(基金分)ともに内定通知日以降に研究を開始し、必要な契約等を行うことができます。

「継続の研究課題」については、科研費(補助金分)は「4月1日」から研究を開始し、必要な契約等を行うことができます。

 

科研費の直接経費が使用できる主な経費

 

98ページ

研究協力者を雇用するための経費

研究機関の施設において研究を行うことができない場合(賃借料、敷金等)や研究機関内でのスペースチャージ

科研費の研究で使用する設備等の修理費

設備、装置等に要した光熱水費、専用のメーターが装備されているなど算出根拠が明確な場合

研究を実施することにより生じた廃棄物の処理に係る経費

一般市民を対象とした研究成果広報活動などのアウトリーチ活動
海外出張に係る海外旅行傷害保険料

臨時的に必要となる託児料

 

99ページ

アルコール飲料類には使用できません

外国人特別研究員に対して日当を支払うことはできない

 

107ページ
「競争的資金における使用ルールの統一について」(平成29年4月20日改正)に基づき、科研費を原資として取得した耐用年数1年以上かつ取得価格10万円以上の物品については、研究機関において設備等として受け入れ、特に耐用年数1年以上かつ取得価格50万円以上の設備等については、資産として管理を行ってください。

適切な物品検収が行われていても、科研費の管理が不適切な場合(例えば、補助金分における期ずれ等)には、不適正な執行に該当します。

 

111ページ
【文部科学省大臣官房会計課の見解】

ある年度から次年度に補助事業(研究)が継続する場合であっても、次のことは、会計年度独立の原則に反するので、行ってはならない。

・前年度には全く使用せず、次年度のみにおいて使用する物品を、前年度の補助金で購入すること(注:前年度中に少しでも使用すればよい)

・次年度の出張のための航空券購入費用・宿泊費用等を、前年度の補助金で予め支払っておくこと

・次年度に開催される国際学会に参加するための登録料(当該年度の3月中に支払わなければ参加できない)を、前年度の補助金で予め支払っておくこと

これらに該当する場合であって、前年度中の支払がどうしても必要なときは、研究機関等が一時的に立て替え、次年度の補助金受領後に精算することとなります。

 

116ページ
間接経費を研究者へ配分する場合には、直接経費で充当されるべきものに間接経費が充当されることがないように研究機関において、チェック体制を構築してください。

 

合算使用が認められているもの

 

103ページ

補助事業に係る用務と他の用務とを合わせて行う1回の出張において、用務内容に応じて別々に契約・支払をする場合

 

直接経費に使途の制限のない他の経費(委託事業費、私立大学等経常費補助金、他の科研費及び間接経費など、当該経費の使途に制限のある経費を除く。)を加えて、補助事業に使用する場合

 

同一研究課題の補助金と助成金を合わせて、ひとつの契約により補助事業に使用する場合

 

研究費の効率的な使用及び設備の共用を促進するため、共用設備について、各研究課題の直接経費を合算して購入することができます

 

運営費交付金など使途に制限のない経費を加えて、複数の科研費による合算額以上の設備を購入することも可能です。また、当初予定していた設備よりも高額でハイスペックな設備を購入することも可能

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