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科研費

科研費の年度末納品には注意!科研費の主な使用ルールを簡単に把握

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単年度予算の科研費(補助金)で年度末近くに納品するときは注意が必要です。国民の税金を原資とする競争的資金は、使用ルールが細かく定められています。不適切な使用とならないよう、科研費の主な使用ルールを理解しておくことが重要です。

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会計年度独立の科研費とは

 

科研費(科学研究費補助金)は、研究者が研究テーマを遂行するための研究費です。国民の税金を原資とする競争的資金です。競争的資金は、文部科学省や厚生労働省、総務省などの各省庁が予算を配分しています。研究者からの応募により審査して配分されるので競争的資金といいます。

 

競争的資金として代表的な科研費は、運営費交付金と異なり、使用ルールが細かく定められています。主に注意したいポイントを解説します。以下の説明は、年度区分の必要ない基金分は対象外です。

 

科研費は、平成23年度から一部の研究種目が基金化され、繰越手続きを行わずに会計年度を超えて使用可能になりました。昔に比べて弾力的に使用できるようになりましたが、まだ一部分です。多くの科研費は会計年度独立の原則による単年度予算のため、かえって制度が複雑になっただけのように感じます。

 

単年度予算の科研費は、年度末納品や年度をまたぐ出張では注意が必要です。

 

現在(2019年7月)の年度末納品の考え方は、昔とは異なっています。昔は年度末納品を認めていませんでした。10月くらいまでに物品の納品が行われないと、当該年度の科研費の研究に十分使用できないと考えられていました。年度末近くに科研費で物品を購入するときは、本当に研究に利用する必要があるのか理由書を添付していました。しかし最近は、次のように年度末納品が可能となりました。

 

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年度末納品を可能としてる根拠

 

年度末近くの納品については、日本学術振興会の科研費ハンドブックに記載があります。科研費は、制度改革や運用の変更が毎年実施されます。コロコロ変わるので、最新の情報で確認することが大切です。

 

科研費ハンドブック(研究機関用)2018年度版112ページから抜粋

補助金分

物品の納品、役務の提供等は、補助事業を行う年度の3月31日までに終了していなければなりません。

物品の納品、役務の提供等に関する支出は、実績報告書の提出期限(補助事業実施年度の翌年度の5月31日)までに行ってください。

 

この取扱いは、前年度の実績報告を取りまとめる期間として2ヶ月間を確保することで、実質的に、3月末までの物品の納品や役務の提供等が可能となるようにしたものです。年度末ギリギリまで納品や契約を可能にして研究を進めることができるようになりました。

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年度末納品の注意点

 

3月末納品については、次のような制限があります。

 

【文部科学省大臣官房会計課の見解】112ページ、上記の下段を抜粋

 

ある年度から次年度に補助事業(研究)が継続する場合であっても、次のことは、会計年度独立の原則に反するので、行ってはならない。

 

・ 前年度には全く使用せず、次年度のみにおいて使用する物品を、前年度の補助金で購入すること(注:前年度中に少しでも使用すればよい

 

・ 次年度の出張のための航空券購入費用・宿泊費用等を、前年度の補助金で予め支払っておくこと

 

・ 次年度に開催される国際学会に参加するための登録料(当該年度の3月中に支払わなければ参加できない)を、前年度の補助金で予め支払っておくこと

 

この文部科学省の見解によれば、科研費で年度末近くに物品を購入するときは、前年度中に少しでも使用すればよいことになります。つまり契約を締結するときは、納入期限を3月31日に設定するのではなく、3月30日とか3月29日に設定します。前年度のうちに1日以上使用できる契約とした方が安全です。もし納入期限を3月31日としてしまうと、極端な話、3月31日23:59に納品されるかもしれません。そうなると前年度の科研費が使えなくなってしまいます。

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消費税改正のときは納期に注意

 

年度末に消費税法が改正されるときは、さらに要注意です。消費税が上がる前に購入しようと、日本全体の需要が一気に高まります。4月に消費税が上がるときは、3月納品の駆け込み需要が多数発生します。通常であれば十分間に合うはずの納期が遅れることがあります。

 

4月の消費税改正のときは、官公庁だけでなく民間でも年度末に注文が殺到します。通常であれば2週間の納期が、数ヶ月遅れる可能性があります。このような時期には、単年度予算の科研費で年度末に納品するのは避けましょう。

 

もし3月31日までに納品できなかった場合、科研費を使用することが不可能になります。科研費を国へ返さなくてはならない事態に陥ります。また日付だけ修正するような書類操作をすれば、研究費の不正使用になってしまいます。

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