会計法令の条文を読むだけでは、日常業務の実務には役立ちません。条文は、基本的な考え方が記載してあるだけなので、いざ書類を作ろうと思っても、何もできないのです。会計法令を理解するためには、実務の中で覚えるしかありません。
官公庁の事務手続きに必要な会計法令
国や地方自治体、独立行政法人、国立大学法人などの公的組織では、会計法令に基づいて日常の仕事を行っています。適正な事務手続きには、会計法令の知識が必要になります。ところが実際は、毎日が仕事に追われ、法令を読んでいる暇はありません。基本的な会計法令の考え方を教わる機会も少ないのです。
会計実務は、どちらかといえば裏方である支援業務です。しかし官公庁が実施する事業の全てが、国民の貴重な税金を使っています。官公庁で働く人全員が、税金の使い方に対して説明責任を負います。つまり、法令に基づいた適正な事務手続きによって税金を使っていることを証明できなければなりません。
会計法令が実務に使えない理由
会計実務を担当する職場では、「財政小六法」や「財政会計六法」などの法令集が置いてあります。しかし、職場に置いてある法令集を読む機会は少ないはずです。どこに書いてあるかわからない条文を探す時間があれば、過去の書類を見つけて参考にした方が早いからです。法令は抽象的な表現しか書いてないので、ほとんど実務に役立たないと思っている人が多いのです。
たしかに、条文だけを読んで書類が作れるようになるわけではありません。法令は、考え方の基本を文章化しているだけで、実際の書類作りには役に立ちません。たとえ条文が理解できたとしても、どのような書類を、どう作ればよいか、全くわからないでしょう。
会計法令と会計実務は、双方を一緒に理解するしかないのです。つまり、書類作りを進めながら、ひとつひとつ手続きの根拠法令を確認していくのです。そのためには、常に机の上へ法令集を置いておく必要があります。自分専用の法令集でないと覚えられないのです。書類を作っているときに、いつでも法令集を見れる状態にしておくことが最も重要なのです。
仕事を効率的に覚えるためには、自分専用の法令集を持つことをお勧めします。国の組織で働く人は、財政小六法( 5 千円くらい)あるいは財政会計六法( 7 千円くらい)のどちらかを自分専用にしましょう。できれば公費で買うのでなく、自腹で買うと、(知識を身につけないと、もったいない)という意識が働き、より効率的に覚えることができます。
会計法令集の種類
会計担当者の多くは、予算を使う執行系の会計実務です。「財政小六法」を使うことになります。本省の予算担当であれば、「財政会計六法」です。
主な法令集の区分
〇契約実務、経理実務・・・財政小六法(5千円くらい)
〇予算などの会計全般・・・財政会計六法(7千円くらい)
〇地方自治体向け・・・地方自治小六法(5千円くらい)
また、契約実務の基本法令を習得することで、会計実務全般の考え方が身につきます。契約実務は、官公庁における会計実務の中で、会計法令を最も使います。法令を理解するためのノウハウを学ぶことになるので、結果的に会計実務全般の仕事を覚えることができるようになるのです。
なお、予算に関することがメインになる財政会計六法は、かなり分厚いです。持ち運びできるような書籍ではありません。
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