国立大学の事務組織についての解説です。事務組織は、それぞれの分野ごとに性格が異なります。自分の性格に合った事務分野の方が、実力を十分に発揮することができます。自分に合った事務分野はどこなのか、また昇進の早い人はどのような性格なのか解説します。
国立大学の事務部門とは
私は、国立大学で公務員として41年間勤務し、定年退職になりました。いろいろな人たちと仕事をしてきて、わかってきたことがあります。性格によって向いている事務分野と、不向きな事務分野があります。自分の性格に向いていないところに配属されてしまうと、実力が発揮できなくなります。不向きな職場では、自分自身にもマイナスになり、周りの人にも迷惑をかけてしまいます。身上調書などで異動希望を出すときに参考になる情報です。
国立大学の事務部門は、次の事務分野に分かれます。
庶務系
人事・労務系
予算系
契約系
経理系
給与系
研究協力系
学務系
施設系
そして不思議なことに、分野ごとに向いている性格があるのです。上記の事務分野には、やはり似ている性格の人たちが自然と集まります。話が合う人、波長の合う人たちが分野毎に集まるのです。
冷静に考えるとわかることですが、仕事は一人ではできません。周りの人たちと協調して働くことになります。チームとして仕事を進めるために、同じように考える人たちが集まるのは自然なことなのです。
そこで事務分野ごとに、向いている人の性格を解説します。
庶務系
庶務系に向いているのは、いろいろな人たちと接するのが好きな人です。会話好きで、他人を手伝ったり助けたりできる人が向いています。いわゆる「良い人」です。机にじっくり座っているよりも、動いている方が好きな人です。みんなと一緒に仕事をするという意識の強い人が向いています。
人事・労務系
人事・労務系に向いている人は、上司からの命令に忠実に従うことができる人です。労働基準法や各組織の就業規則などに基づいて仕事を進めるのですが、実務を行う上での判断は、法令よりも管理職の決定に従うことが多くなります。上司である管理職へ、こまめに相談したり報告できる人が向いています。
いわゆる「上司のために働く」という覚悟ができる人です。そのため当然ながら、上司からの信頼も厚くなります。官公庁の中では、人事・労務系の人たちは昇進が早いです。逆に人事・労務系に向いていない人は、自分の考えを曲げることができず、上司の命令といえども納得できなければ反対してしまうような人です。
予算系
予算系の仕事は、本省や財務省から予算を取ってくる仕事が中心になります。予算要求がメインです。予算を配分する仕事もありますが、中心になるのは予算を取ってくる方です。予算系に向いている人は、おおらかな性格の人です。あまり細かいことを気にせずに仕事ができる人が向いています。予算要求の仕事自体が、法令に縛られることが少ないので、自由な発想で仕事ができます。特に予算要求では、多少のハッタリも必要になります。真面目にコツコツやるよりも、派手に仕事をしたい人に向いています。会計系の中では昇進の早い人たちが多いです。
契約系
契約系の仕事は、関係法令や各組織の規則に基づいて行うことになります。そのため法律などを読んで正しく解釈して進めることになります。上司からの命令よりも法令が優先されるため、場合によっては上司に対して反対意見を述べなければなりません。法令に基づいて正しい判断で仕事を進める、という強い意志を持つ人に向いています。いわゆる専門家として会計法令などを探求できる人たちです。
経理系
経理系の仕事は、主にお金の出し入れに関することです。財務会計システムなどを使い、職場のルールに基づいて事務処理を行います。毎日コツコツと自分のペースで仕事を進めたい人に向いています。地味な仕事なので、刺激を求めたい人には向いていません。真面目でおとなしい人に向いています。
給与系
毎月支給する給与や年末調整を行う仕事です。期限のある定形業務が多いので、毎日コツコツ地道に仕事をしたい人に向いています。経理系と給与系の仕事は似ています。刺激を求めたり、達成感を味わいたい人には向いていません。
研究協力系
研究者の仕事を手伝いたい人に向いています。科研費に関する仕事が中心になるので、日本学術振興会の規則や職場のルールを覚えるのが基本になります。契約系に似ていますが、定形業務の多い仕事になります。
学務系
学生教育に関する仕事です。教員の指示に従い、教員を手伝うという考えで仕事ができる人に向いています。学務系の仕事は、自分で判断して動くということは少ないです。教員や上司へ相談して、指示を仰ぐというのが基本になります。また窓口業務では学生と直接会話することが多くなります。
施設系
施設系の仕事は、工事契約や施設の維持管理保全業務です。上記の事務分野とは全く違う技術職です。建築士や電気工事士などの国家資格を持つ人が多く、いわゆる技術屋さんと呼ばれる専門家の集まりです。自分自身の判断で仕事ができる人たちです。施設系の国家資格を持ち、専門分野で働きたい人に向いています。
性格別に向いている事務分野
性格別に向いている事務分野は次のとおりです。
曲がったことが嫌いで、協調性よりも正しい考え方を優先したい人は、契約系です。
人と接するのが好きで、みんなと一緒に仕事したい人は、庶務系です。
昇進したい気持ちが強く、上司についていくことができる人は、人事・労務系、予算系です。
人と接するのが苦手で自分でコツコツと定型業務をこなしたい人は、給与系、経理系です。
研究者を手伝いたい人は、研究協力系です。
昇進が早い人の性格とは
官公庁で昇進の早い人には、次のような共通的な性格があります。
◯自己主張をしない。
◯上司から指示されたこと、先輩や同僚から依頼されたことは断らない。
つまり若い頃には、あまりパッとしないようなタイプの人です。いわゆる目立たない人が最終的に早く出世しています。 おそらく敵を作らないことが理由になっています。
自己主張をしたり、他人の意見を否定するような人は、たとえそれが正しくても敵が多くなります。敵の多い人は出世しません。出る杭は打たれる、と言いますが、まさにそのとおりです。
謙虚に誠実に仕事をする人が早く昇進します。
他者を批判したいときは、ぐっと我慢して、相手を批判するのではなく、最初に褒めてから代案を提示するようにしましょう。
「おっしゃるとおりですね。私も同感です。もうひとつの案として◯◯はいかがでしょうか・・」
私は、すぐに相手の欠点を批判してしまうので、敵が多かったです。
官公庁で働くなら、相手を批判しない表現を身につけましょう。
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