講演謝金を支払うときの源泉徴収についての解説です。外部の専門家へ講演を依頼し、お礼として謝金を支払うことがあります。謝金と一緒に旅費・交通費を支払うときは、総額に対して源泉徴収が必要です。謝金を払うときは源泉徴収に注意しましょう。
謝金と旅費を支払うときに源泉徴収は必要?
講演謝金を支払う際に、旅費などの交通費を一緒に支払うことがあります。本人へ一緒に払うときは、旅費の部分に対しても源泉徴収が必要になります。講演謝金は、所得税の「報酬・料金等」に該当します。
国税庁 タックスアンサーより抜粋
[平成31年4月1日現在法令等]
作家に原稿料を支払うときや大学教授などに講演料を支払うときは、報酬・料金等として所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。
この「報酬・料金等」の範囲には、謝金以外にも旅費が含まれるのです。
所得税の報酬・料金等とは
国税庁タックスアンサーから、該当部分を抜粋します。
No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき
1 源泉徴収の対象となる報酬・料金等に含まれるもの、含まれないもの
(1) 謝金、取材費、調査費、車代などの名目で支払をする場合がありますが、これらの実態が原稿料や講演料と同じ場合には、すべて源泉徴収の対象になります。
(2) 旅費や宿泊費などの支払も原則的には報酬・料金等に含まれます。しかし、通常必要な範囲の金額で、報酬・料金等の支払者が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。
(3) (略)
(4) 原稿料には、試験問題の出題料や答案の採点料などは含まれません。
(5) 報酬・料金等の額の中に消費税及び地方消費税の額が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象としますが、請求書等において報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。
上記(2)の「報酬・料金等の支払者が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合」とは、本人が受領してないから、源泉徴収の対象ではないという意味です。本人へ謝金と旅費を渡す場合は、両方とも源泉徴収が必要です。
給与所得と報酬・料金等の違いとは
給与所得は、雇用契約を締結している社員などの所得税を計算するときに使用します。
報酬・料金等は、原則として雇用関係のない人へ支払うときに使用します。(稀ですが、本務以外の仕事を報酬として支払うこともあります。)
紛らわしいのですが、謝金として支払う場合でも給与所得として源泉徴収することもあります。例えば、2日間だけイベントの手伝いをしてもらうような短期(2ヶ月以内)の補助業務では、日額表の丙欄で源泉徴収を行います。
注意したい点は、具体的な事例により、税務署の判断が異なるところです。税率の判断に迷ったときは、必ず最寄りの税務署へ相談し、その内容をメモしておきましょう。メモした内容は、支払書類に添付しておきます。なるべく具体的に税務署へ相談した方が、より的確な回答が得られます。
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