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【2025年版】旅費法大改正まとめ!宿泊費・交通費・日当の実務対応完全ガイド

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空港で搭乗手続き 出張旅費
空港で搭乗手続き
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2025年4月1日、旅費法が約40年ぶりに大幅改正されました。

今回の旅費法改正では、宿泊費や日当などの支給方法が、これまでの定額制から実費精算方式へと大きく変わりました。これにより、実務担当者は旅費支給手続きにおいて新たなルールに対応する必要があります。

特に、宿泊費の上限設定や急行料金の距離制限撤廃、転居費や家族移転費の実費支給化など、改正ポイントは多岐にわたります。

本記事では、旅費実務担当者向けに、旅費計算の中で主に利用する部分に絞って、旅費法改正のポイントをわかりやすくまとめました。初めて旅費担当をする方でも理解できるよう、注意点や実務上の留意事項も含めて解説します。

 

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旅費法大改正の理由とは?2025年施行の背景と目的を解説

 

2025(令和7)年4月1日から施行された旅費法改正は、公務員をはじめとする官公庁関係者にとって非常に重要な内容です。その背景には、次の3つの課題がありました。

空港で搭乗手続き

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1. 物価や宿泊費の上昇
2021年後半から、物価や宿泊費が大きく高騰し、これまでの定額制では実情に合わないケースが増えていました。定額支給では、不足分を職員が自己負担する場面も多く見受けられたのです。欧米では、ホテル代も食事代も半分以上を自己負担するようなケースが続出していました。

 

2. 実務の効率化と不正防止
定額制では領収書が不要なため、特に国内旅費では、格安ホテルを利用して必要以上の宿泊料の支給を受けるなど、不正と疑われるようなリスクも課題になっていました。実費精算方式へ移行することで、透明性を高める狙いがあります。

 

3. 会計処理の簡素化
例えば急行料金の距離制限や宿泊費の地域別、役職別の細かい区分など、手続きが煩雑になっていました。これを簡素化し、より効率的な旅費処理制度へと改めることが目的です。

 

今回の改正は、単なる金額の見直しではなく、制度全体の見直しを意図した大きな改革と言えるでしょう。

 

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実務担当者必見!2025年旅費法改正の重要ポイントまとめ

 

それでは、実際にどのような内容が改正されたのか、主要ポイントを項目別に詳しく解説します。

 

旅費法改正後の法令体系をわかりやすく整理

最初に旅費実務で必要な関係法令を確認しておきましょう。2025年4月1日以後の大きな変更点は、政令が新設されたことです。

 

旅費法改正後(2025年4月1日以後)

国家公務員等の旅費に関する法律・・法律

国家公務員等の旅費に関する法律施⾏令(新設)・・政令

国家公務員等の旅費⽀給規程・・省令

国家公務員等の旅費に関する法律等の運⽤⽅針について・・通知

 

従来(2025年4月1日以前)は、政令がなく、政令の内容は法律の中で定められていました。そのため法律が複雑な内容になっていました。今回は法律と政令、省令という形式でスッキリしています。一覧表などの細かい部分は省令の「国家公務員等の旅費支給規程」でまとめられています。

 

交通費はすべて実費精算へ!距離制限撤廃でどう変わる?

これまで、鉄道・航空機・バスなどの交通費は距離制限や一部定額制がありました。しかし今回の改正では、交通費全般が実費精算となります。運賃・急行料金・座席指定料・船室料金などすべて領収書に基づき支給されます。

例えば特急料金については、これまで「片道100km以上」の制限がありましたが、距離制限も撤廃されています。これにより、出張先や用務地に応じた柔軟な対応が可能になります。

主な改正点

片道50km以上のみ普通急行料金 → 撤廃

片道100km以上のみ特別急行料金 → 撤廃

片道100km以上のみ座席指定料金 → 撤廃

旅行代理店の手数料  → 支払可能

 

宿泊費も上限付き実費に!2025年改正で押さえるべき宿泊ルール

これまで宿泊費は職務の級や地域ごとに定額が決まっていました。しかし今回の改正では、宿泊費も原則「上限付き実費支給」に変わりました。また宿泊費には朝食代や夕食代は含まれず、宿泊手当として支給されることになりました。(従来の宿泊料には、夕食代と朝食代が含まれていました。)

従来の宿泊料 = 素泊まり料金 + 夕食代 + 朝食代

改正後の宿泊費 = 宿泊費基準額を上限とした素泊まり料金

 

日当廃止と宿泊手当新設の違いとは?実務対応ポイント解説

これまでの「日当」は昼食代や用務地内交通費・雑費など広い範囲をカバーしていましたが、改正後は廃止されました。

 

新たに「宿泊手当」という項目が設けられ、宿泊を伴う出張の場合は、一夜当たりの定額として夕食・朝食代に充てる費用が支給されます。

 

パック旅行もOK!包括宿泊費制度でできること

いわゆるパック旅行(交通費とホテル代がセットになった割引運賃)について明確に支払いができるようになりました。

 

一目でわかる!旅費法改正前後の違い比較表【2025年最新版】

 

項目 改正後 改正前
急行料金 実費精算、距離制限撤廃 距離制限あり
宿泊費 上限付き実費支給(原則) 職階・地域ごとの定額制
日当 廃止 昼食代として定額支給
包括宿泊費 制度新設、旅行代理店利用可能 制度なし

 

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東京・海外出張のモデルケースで見る!旅費改正前後の金額比較

 

旅費法改正によって宿泊料がどのように改正されたか、モデルケースで比較してみます。行政職(一)4級の例とします。

 

東京で1泊2日

改正前 宿泊費10,900円 + 日当2日分 4,400円 = 15,300円定額支給

改正後 宿泊費基準額 19,000円 + 宿泊手当(夕・朝食代)2,400円 = 21,400円(通常の上限額)

 

ニューヨーク(指定都市)で1泊2日

改正前 宿泊費19,300円 + 日当2日分 12,400円 = 31,700円定額支給

改正後 宿泊費基準額 57,000円 + 宿泊手当(夕・朝食代)5,400円 = 62,400円(通常の上限額)

 

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旅費担当者が必ず押さえるべき!2025年旅費法改正後の注意点

 

旅費の支給額の上限(実費支給であること)

政令では、次のように実費支給であることを明記しています。

 

国家公務員等の旅費に関する法律施⾏令

(旅費の支給額の上限)
第二十一条 鉄道賃、船賃、航空賃及びその他の交通費(略)に係る旅費の支給額は、(略)規定により計算した額と現に支払った額を比較し、当該各費用ごとのいずれか少ない額を合計した額とする。

2 宿泊費、包括宿泊費、(略)に係る旅費の支給額は、(略)規定により計算した額と現に支払った額を比較し、当該各種目ごとのいずれか少ない額を合計した額とする。

 

海外出張でも安心!宿泊費基準額超え支給の条件と手続き

 

国家公務員等の旅費に関する法律施行令

第九条 宿泊費は、旅行中の宿泊に要する費用とし、その額は、地域の実情及び旅行者の職務を勘案して財務省令で定める額(次条において「宿泊費基準額」という。)とする。ただし、当該宿泊に係る特別な事情がある場合として財務省令で定める場合は、当該宿泊に要する費用の額とする。

 

国家公務員等の旅費支給規程

(宿泊費基準額等)

第十三条 令第九条に規定する財務省令で定める額は、別表第二(宿泊費基準額)のとおりとする。

3 令第九条に規定する財務省令で定める場合は、外国の宿泊にあつては、現に支払つた費用の額が宿泊費基準額を超える場合であつて、旅行命令権者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときとする。

一 国際会議(略)において(略)主催者から宿泊施設の指定があり当該宿泊施設以外に宿泊することが困難であるとき。

二 (略)同行する者が各大臣等と同一の宿泊施設に宿泊しなければ公務の運営上支障を来すとき。

三 外務大臣が財務大臣に協議して定める宿泊施設の一覧表に記載されている宿泊施設に宿泊する場合(略)

四 公務の円滑な運営上支障のない範囲及び条件において検索し、その結果から最も安価な宿泊施設を選択するとき。

五 為替相場の変動その他旅行命令等を発した時には通常予見することのできない事情があつたとき。

 

海外出張の場合、ホテル代が高くても支払えるように、様々なケースが定められています。具体的な解説が運用方針として次のように通知されました。

 

国家公務員等の旅費に関する法律等の運用方針について

規程第 13 条関係

1 「国際会議」とは、多国間の会議、フォーラム、二国間協議等の本来的な意味での国際会議をいい、「これに準ずるもの」とは、会議の名称にかかわらず、各大臣等が外国政府高官等と会談し意見交換を行うもの及び各種式典を含むものとする。

 

6 「公務の円滑な運営上支障のない範囲及び条件」とは、次に掲げる範囲等のうち、旅行命令権者が公務の円滑な運営上必要と認めるものをいう。

⑴ 用務先まで、最も適当な移動手段による所要時間がおおむね 30 分以内であること。ただし、公務の性質及び内容並びに当該旅行における特別の事情を勘案し、旅行命令権者がやむを得ないと認める場合には、用務先までの適当な所要時間の範囲内とすることができる。

⑷ 施設内に執務可能な事務机、無線 LAN(Wi-Fi)等の公務の円滑な運営上必要な設備が整えられていること。

⑸ 各部屋に施錠設備が設置されている、24 時間体制で防犯対策が行われている等の安全性が確保されている施設であること。

⑹ 周辺地域における治安情勢を考慮し、旅行者の安全に配慮した立地にあること。

⑺ 危険地域(外務省による危険情報がレベル2以上の地域)においては、⑸の防犯対策に加えて、旅行者の安全を確保するうえで必要な設備、対策等が講じられていること。

第2項及び第3項

1 「検索」とは、複数の宿泊施設検索サイト、メタサーチサイト又は他社商品も含めて範囲等に従った宿泊施設を提供できる旅行代理店を利用して検索することをいう。

2 「最も安価な宿泊施設」とは、宿泊料金及び用務先と宿泊施設との間の移動に係る交通費を勘案し、予約時点で最も安価な宿泊施設、ルームタイプ及び料金体系であるものをいう。

この運用方針では、外国出張の場合に、ホテル代が宿泊費基準額よりも高くても、検索サイトや旅行代理店で調査した結果であれば旅費として支給できることになっています。

2025年旅費法全面改正!その他押さえておくべきポイント

今回の旅費法改正は、すべての内容を見直して、新たに政令を制定するほどの大改正です。そのため、上述した関係法令を参照しながら実務を進めることになります。

旅費担当者としては、法律、政令、省令、運用通知の関係を把握しておきましょう。

職務の級や、料金の一覧表、必要書類などは国家公務員等の旅費支給規程(省令)で定めています。

 

法律 → 政令 → 省令 → 運用通知

 

下へ行くほど細かくなっています。つまり原則を知りたいときは上位の法令を、具体的な内容を知りたいときは下位の法令を調べましょう。そして調べた結果はグーグルドキュメントなどで整理しておきましょう。

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