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参考見積書を拒否する企業とのリスクと対策:官公庁の契約手続きのベストプラクティス

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官公庁の契約手続きにおいて、事前に金額の目安を把握するために参考見積書を企業に依頼することが一般的です。

しかし、参考見積書の提出を拒否する企業もあり、その対応には注意が必要です。

参考見積書は契約を前提としないため、企業にとって直接的な利益に繋がらず、負担がかかる場合があります。そうした背景から、提出を拒否する企業と契約を進めると、後々の手続きでトラブルが発生するリスクが高まります。

官公庁としては、会計法令を理解し、最初から協力的な企業を選定することが、手続きの円滑化や不測の事態を防ぐ上で重要です。信頼性の高い企業との契約によって、契約履行の確実性が向上し、業務効率化にもつながります。

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参考見積書の拒否時に官公庁が取るべき対策

官公庁が契約手続きを始める前に、参考見積書の提出を企業に依頼することは、予算を確保したり、契約方式を検討するために必須のプロセスです。参考見積書によって予定金額を把握し、契約手続きを実際に進めて良いのか、入札になるのか、随意契約になるのか、などの判断が変わるからです。

しかし稀なケースですが、参考見積書の提出を拒否する企業もあります。このような場合、その企業に対しては、正式な契約手続きに入ったときに見積書を依頼するのは避けるべきです。なぜなら、会計法令に基づく契約手続きに非協力的な企業は、契約の進行において問題が発生するリスクが高く、手続きの遅延やトラブルの原因となる可能性があるからです。

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参考見積書は「契約の申込み」書類ではないため、企業にとっては利益が見込めない作業であり、負担をかけることになります。そのため、一部の企業はコストや手間を考慮して提出を拒否することがあります。こうした企業と契約を進めることは、予期せぬ問題が発生するリスクを高めるため、官公庁の取引相手としては好ましくないのです。

会計法令を理解できる、協力的な企業を選ぶことで、契約手続きを円滑に進め、不測の事態を未然に防ぐことが可能になります。この対応は、官公庁におけるリスクマネジメントの一環にもなります。

 

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参考見積書の提出を拒否する企業が抱えるリスク

参考見積書の提出は、官公庁との契約を前提としないため、企業にとっては利益に直結しない活動です。このため、企業が提出を拒否することがあります。特に複雑な契約内容の場合、中小企業にとっては、参考見積書の作成にかかるコストやリソースが無駄になると判断される場合が多いです。「この複雑な契約内容では、大手企業の方が競争力が高い、価格競争で負けてしまうのが見えている」という判断になるのです。しかし、参考見積書の提出を拒否することで、いくつかのリスクが生じます。

まず、官公庁の契約手続きは、会計法令に基づいて厳格に進められます。契約手続きを開始できるだけの、予算が十分に確保されているか、概算金額によって契約方式が変わるため、予定金額を把握できているか、が前提条件になります。

一般競争入札と随意契約では、契約手続きが全く異なります。契約手続きを始める前に契約方式を確定しておかないと、大変なことになります。例えば、入札対象金額が160万円以上の物品購入契約を考えてみましょう。

参考見積書を確認せずに、契約予定金額を150万円と予想してしまったとしましょう。150万円なら予算も確保できるし、3社から見積書を取り寄せて、見積もり合わせによって少額随意契約を締結できます。煩雑な入札手続きにならずに良かったと思い、すぐに正式な契約手続きを始めます。

少額随意契約であれば、仕様書の作成も簡単です。1日あれば機種選定した仕様書を完成できます。翌日には販売会社を3社選び、電話で見積書の提出を依頼します。提出期限は2週間後です。

手続き開始から2週間経過した後に、3社から提出された見積書を確認すると、驚いたことに、3社とも165万円を超えています。160万円以下でなければ随意契約はできません。165万円になるのなら、一般競争入札になってしまいます。

焦った契約担当者は、3社へ電話し、さらに値引きできないか確認します。すると、ここで新たな事実が判明します。ちょうど、見積書を依頼したタイミングでメーカーから価格改定の連絡があり、定価が高くなってしまったのです。各社とも、ギリギリの思い切った値引きで見積書を提出しているとのことです。つまり、3社とも165万円を超えてしまったのです。さらなる値引きは不可能でした。

こうなると、もう契約手続きをやり直すしかありません。つまり今までの2週間の契約手続きが無駄になってしまったのです。契約手続きがリセットされてしまいました。しかも3社に対しても、随意契約できずに入札になるという、謝罪の電話をしなければなりません。

明らかに契約担当者の判断ミスです。3社からも、頼りない(あまり信頼できない)契約担当者として認識されてしまいます。すぐに業界内でも信用できない官公庁の契約担当者として有名になるでしょう。恥ずかしい限りです。

価格改定のあった165万円の契約手続きは、一般競争入札になります。不特定多数の者が参加するので、仕様書も厳格に作成しなければなりません。仮に機種指定するのであれば、その理由も明確であることが求められます。

同等品を認める仕様書を作成するのであれば、仕様書の作成だけで1ヵ月以上かかります。もちろん入札になるので、見積書を使うことはできず、正式な入札書によって行うことになります。迷惑をかけた3社に対しても、入札公告を公開した後に、あらためて連絡が必要です。連絡しなければ、人として道徳に反します。

少額随意契約から一般競争入札へ切り替える場合、書類が全く変わってしまうのです。手続き自体が全く別物です。

このような無駄な手続きを回避するためにも、確実な契約予定金額を把握できる参考見積書が必須なのです。

この参考見積書の提出に協力的でない企業は、正式な契約手続き後も問題を引き起こす可能性があります。自社の利益のみを最優先する考え方は、相手方を蔑ろにするものです。自社の利益に役立たない会計法令や書類には興味さえないでしょう。

例えば、官公庁と正式な契約を締結した後になって、他の大口の契約を獲得したとなれば、そちらの契約を優先してしまいます。官公庁へ納品する予定だったものを、他の大口の利益になる契約の方へ回してしまうでしょう。

納品遅延や契約不履行などが発生しやすくなり、官公庁にとってはリスク要因となります。実際に私も経験があります。「他の大口契約を優先するので、納入期限を延長して欲しい」と申し入れを受けたことがあります。もちろん毅然と断りましたが。

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非協力的な企業との契約に伴う具体的トラブル事例

参考見積書の提出を拒否した企業が、後に正式な見積書を提出し、契約手続きを進めた際の問題点を考えてみましょう。

まず、大前提として参考見積書の提出を拒否する企業は、官公庁側の立場を全く理解しません。会計法令などは無視します。利益至上主義の社風なので、利益にならないことは眼中にないのです。「いくらなんでも、そんな会社ないだろう」と思うかもしれませんが、実際に不良会社は存在します。会社というより営業担当者の姿勢が悪いのですが。

多くの企業は、会計法令に基づいて、契約手続きを進めるために参考見積書を必要としているという官公庁側の立場を理解し、積極的に参考見積書を提出してくれます。今回の契約を獲得できなくても、「また次の機会に頑張ろう」と考えて協力してくれるのです。

官公庁側の契約担当者としても、参考見積書の提出に協力してくれる会社であれば、当然、積極的に依頼することになります。企業側から見ればビジネスチャンスが増えることになるのです。

参考見積書の提出を拒否するような会社は、その後、何かを依頼することもなくなります。自社の利益しか考えずに、会計法令を理解しないので、官公庁としては取り引きリスクのある企業と判断するようになります。

官公庁側の立場を理解しない会社のトラブル例としては、次のようなものがあります。

付随書類の提出を拒む、書類の提出が遅い

契約手続きを進める際に、必要となる書類が新たに発生することがあります。例えば定価証明書です。WEB上に公開されていない定価については、メーカーからの価格証明が必要になります。オプション類が多いケースでは、一部を見落としていて、後になってから価格証明書の不足に気づくことがあるのです。そのときに証明書の提出を拒否されてしまうと、官公庁の契約担当者としてはお手上げ状態になってしまいます。

また、3月などの年度末近くの納入期限の場合、契約代金の支払い期限が法令で定められています。期限内に請求書が届かないと、支払処理が滞ってしまい、大きなトラブルに発展してしまいます。単年度予算では支払不能になることもあります。

請書を提出しない

私も何度か経験したことがありますが、請書は契約書よりも軽い書類です。企業が一方的に誓約するだけの書類なので、法的な拘束力もありません。契約の成立という意味では、必須の書類には該当しません。そのため、請書の提出を依頼しても「後で郵送します。」くらいの感覚で、すぐに提出してくれないことがあります。すでに契約が進行しているので、2~3回催促しても提出してくれないと、契約担当者としても忘れてしまうのです。そうなると、契約書類の不備として後日外部の検査などで指摘されてしまうことになります。

書類への押印を拒む

2020年に発生した新型コロナウィルスの感染防止のために、在宅勤務、リモートワークが推奨され、押印を省略する場面が多くなりました。しかし、やはり金額の大きい契約などの重要書類には押印を必要とするケースも残っています。

そもそも官公庁が取り扱う会計書類は、押印を確認することで適法な書類と判断しています。例えば請求書であれば、正当な請求権限を持つ者が作成しているかを、会社印と代表取締役印の2つが押印してあることで確認できるのです。法人の代表者を表すのが、会社印と代表取締役印の2つです。この2つの印鑑が押してあることが契約代金の支払いに必須なわけです。

この適法な請求書であることを証明する押印を拒否されてしまうと、処理手続きが進められなくなり、官公庁内部でも問題になってしまうのです。

通常、官公庁の内部組織では、契約担当部署と支払部署は、別の職員が担当します。押印が必要な場面で、押印のない支払書類を渡すと、職員同士でも喧嘩状態になってしまうのです。押印ひとつ欠けるだけで、官公庁内部がギスギスすることになります。

検収の立ち合いを拒む

官公庁では、契約代金を支払う前に検収が義務付けられています。

政府契約の支払遅延防止等に関する法律

(支払の時期)
第六条
対価の支払の時期は、国が給付の完了の確認又は検査を終了した後相手方から適法な支払請求を受けた日から工事代金については四十日、その他の給付に対する対価については三十日(略)以内の日としなければならない。

「給付の完了の確認又は検査」のことを通常「検収」といいます。官公庁会計分野の業界用語です。具体的な検収は、契約内容を当事者同士が実際の現場で、お互いに目視で確認することです。例えば、物品の購入契約であれば、納品時に発注者と受注者の担当者が納品場所へ集合し、関係者全員で契約関係書類を見ながら納品された製品を確認します。製品名や型式名などの外見だけでなく、実際に動作確認を行います。契約書や仕様書に記載されている性能が満たされているか、目で見て確認するわけです。

この検収は、上記の法律でも明記されているとおり、契約代金を支払う際に必須です。この検収には相手方が立ち会わなければなりません。もし相手方が立ち会わないと、不具合が見つかっても、無視されてしまうのです。わかりやすい例では、数量が不足していたとしても、「官公庁側の職員が勝手に持ち出したのではないか?」といわれたら、どうしようもありません。電気製品が故障していても、「官公庁側の職員が落として壊したのではないか」といわれてしまうのです。納品時に双方が立ち会わないと検収できないわけです。

そして年度末の検収が、翌日の新年度になってしまえば、旧年度予算で支払いできず、大問題になってしまいます。

官公庁との取り引き経験のない営業担当者は、これらの会計法令を理解していないので、 「検収など後でいい、まちがいなく契約を履行しているのだから」と安易に考えてしまうのです。契約の履行が無事に終えていても、それを確認する検収が必須なのです。

納入期限、完了期限を守らない

契約を締結した後になってから、他の利益の大きい契約が入った場合に起こることがあります。官公庁との契約は利益が少ないので、他の利益の大きい大口契約を優先してしまうのです。官公庁へ納入予定だった製品を、大口契約の方へ回してしまうケースです。

これは、官公庁との契約実績が少ない営業担当者などに多く見られます。利益の大きい民間企業との契約を優先し、官公庁の納入期限や完了期限を守らないことがあります。期限に遅れる理由として、メーカーでトラブルが発生したとか、輸送途中に事故が発生したなどの理由もありますが、必ず事実確認が必要です。地震や風水害などで、本当に相手の責任でなければ仕方ないのですが、それ以外は認めるべきではありません。

利益の少ない官公庁との契約を蔑ろにして、他の利益の大きい契約を優先する行為は、自社の利益しか考えていません。このような相手方とは契約すべきではありません。

 

上記は主なトラブル例ですが、これ以外にも、「問い合わせや、不備書類の差し替えに対応しない」、「契約変更にも対応しない」などのリスクがあります。

 

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協力的で信頼できる企業選定の重要性

参考見積書の提出を拒否した企業に対しては、正式な見積書の依頼を見送り、最初から協力的な企業を選定することが官公庁にとっての最適な対応策です。会計法令を理解している協力的な信頼できる企業を選ぶことで、契約手続きをスムーズに進めることができ、手続き上の遅延や契約不履行といった不測の事態を未然に防ぐことが可能です。

また、官公庁の契約手続きでは公平性・公正性や透明性が重視されるため、手続きを円滑に進められる企業との契約は、税金の無駄を防ぐ上でも重要です。これらの信頼できる企業を選定することで、契約内容の履行確実性が高まり、結果的に官公庁にとっても時間とコストの削減につながります。

さらに、協力的な企業との関係を築くことで、信頼性の高いパートナーシップが形成され、将来的な契約の安定性や柔軟な対応も期待できます。これにより、官公庁の事務処理が効率化され、業務の質も向上します。

官公庁にとってのリスク管理の観点からも、積極的に協力してくれる信頼できる企業を選ぶことは有効な手段です。

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