官公庁が実施する入札について、わかりやすく解説します。入札には、一般競争入札と指名競争入札があります。なぜ入札を行う必要があるのか、一般競争入札と指名競争入札はどのように違うのか、実際の入札の方法や、入札を実施するときの注意点なども含めた内容です。
そもそも入札とは何か、なぜ入札が必要なのか
入札は、官公庁が契約の相手方を選ぶための手続きです。価格競争によって相手方を選びます。ただし、例外もあります。例えばスーパーコンピュータなどは性能が重視されるため、総合評価落札方式によって性能も数値化して競争することがあります。
官公庁は国民の税金で運営しています。契約の相手方を選ぶときも公平・公正でなければなりません。そのため契約金額が一定金額以上(国の場合は160万円など)の場合、入札手続きを実施することになります。会計法令によって入札手続きが細かく定められています。
入札には、一般競争入札と指名競争入札の二つがあります。稀に、「限定入札」などの呼び方もありますが、いずれも一般競争入札と指名競争入札のどちらかに含まれます。
一般競争入札と指名競争入札の違いは、参加できる者が制限されているかどうかです。不特定多数の者が参加できるのが一般競争入札です。指名競争入札は、官公庁側が参加できる者を制限して指名します。
指名競争入札は、手続きが一般競争入札とほぼ同じであり、契約を終えた後で指名基準が問題になることもあるため、実務上はメリットがありません。
入札はどのように実施するのか
2021年現在、多くの官公庁で電子入札が導入されています。電子入札の場合には会社のパソコンから入札金額を入力し、電子的に落札決定が行われます。ただし電子入札では、入札者が見えないので、スマホ片手に談合しながら入札できてしまいます。誰が実際に入札しているのか見えない怖さがあります。入札参加者と入札執行者がお互いに顔を見て牽制しあう「紙ベースの入札」の厳格性はありません。
電子入札ではなく、従来からの紙ベースの入札では、事前に配布された入札書に金額を記載して開札日時に提出します。入札書は封筒に入れ、封筒の表に入札件名を書き、代表者印で封印します。入札箱は、大きな組織になると木製の特注品で製作してあります。あまり入札件数の多くない組織では決裁箱などで代用します。入札箱へ入れるのは、選挙の際の投票のようなイメージです。
入札とは、 契約希望金額を入札書へ書いて提出することです。随意契約の場合の「見積書の提出」と同じです。民法では「契約の申込み」と位置づけられています。
入札を実施するときの注意点
入札を実施するときは、公平性と公正性を最優先に考えます。国民の税金を正しく使うという姿勢が大切です。そのため入札手続きの途中でクレームが入った時は、すぐに入札を中止して調査することになります。入札に参加する誰もが疑念を抱かない状態で進めなくてはいけません。
入札途中で質問などがあったときは、入札参加者全員へ同じように伝えます。特定の企業だけが有利な情報を持つと不公平になってしまいます。
入札手続きは、通常 2 ヶ月ほど必要です。誰もが容易に理解できるように仕様書を作成し、質問があったときは公平に対応するために時間がかかるのです。これは電子入札でも紙ベースの入札でも、ほとんど同じです。時間がかかる部分は、仕様書と予定価格の作成です。入札前の書類作成が大変なのです。
一般競争入札、指名競争入札、いずれの場合にも、誰もが平等に扱われる公平性、法令に基づき手続きを進める公正性が最重要です。契約担当者の恣意的な判断や、目に見えない不透明な部分(電子入札なども経緯が見えません。)がないように注意します。
さらに詳しい内容を知りたいときは次の記事をご覧ください。
コメント