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事業仕分けは本当に必要だったのか、研究の必要性を理解しない質問

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民主党政権による事業仕分けは、自民党を批判するだけのパフォーマンスだったのでしょうか?研究をまったく理解してない仕分け人の質問を聞いて唖然としました。日本の未来に影響する研究を正しく理解するための解説です。

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本当に画期的な事業仕分け?

 

自民党から民主党への政権交代によって、政府の予算編成を国民の目で監視する事業仕分けが 2009 年に行われました。

 

従来、国の予算編成は、財務省と各省庁の間で議論してきました。具体的な内容は国民にわからない状況でした。事業仕分けは、予算編成の段階から必要性を議論して公開したのです。国が実施する事業に対して、国民の目を向ける仕組みを作ったことは意義のあることでした。

 

しかし少し残念な部分もありました。

 

それは教育と研究に関する事業仕分けの議論です。

例えば研究に関する事業仕分けでスーパーコンピュータがありました。2009(平成21)年11月に行われた次世代スパコン事業の事業仕分けです。何度もテレビで放映されたので覚えてる人も多いかと思います。事業仕分けを行う国会議員の仕分け人が、そもそも研究を理解していない残念な質問ばかりでした。

 

スーパーコンピュータに関する仕分け人の質問

 

世界一になる理由は何があるのでしょうか?

 

2位じゃダメなんでしょうか?

 

仕分け人の質問は、研究の意味を理解していない発言でした。スポーツの審判が、そのスポーツを知らないのと同じです。

 

確かに、多くの国民が理解している研究は、よくわからないかもしれません。身近にはいない研究者の仕事です。実際に何をしているかわからない世界です。そこで多くの人に研究を理解してもらうため、わかりやすく解説します。

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そもそも研究とは

 

大学や研究所で行う研究は、真理を探究することです。誰にも見つけられないことを見つけることです。世の中で解決されていない課題を解明することです。

 

例えば、がんの治療法などの難病の克服、宇宙の起源の探求、地球温暖化の原因や対策、生命現象の解明など無数に存在します。人間の行動や心の問題まで、すべてが研究対象です。研究によって実際に解決される課題よりも、新たな課題が毎日激増しています。

 

誰も解決できていないことを見つけるということは、世界で1位になることと同じです。それが研究です。スーパーコンピュータなら、世界一のスピードを競う技術の開発です。

 

すでに他の人が発見したり、解決したことを真似しても、それは研究にはなりません。

 

研究は発明と同じです。実際に理工系の研究成果の多くは特許権を取得できる発明になります。

 

民間企業では、製品を開発する過程で必ず発明が生まれます。発明を特許化して市場を独占します。自動車などは数百の発明から構成されています。

 

国立大学や研究所でも、研究成果が発明になることがあります。大学が特許化して権利を持ち、商品化を希望する民間企業へ有償で利用してもらいます。研究過程で発明が生まれて特許を取得できれば、商品化によって20年間利益を得ることが可能です。

 

しかし国立大学の多くの研究者は、研究成果を特許化するよりも、早くに論文として公開し一般社会に広める道を選びます。 iPS 細胞のように特許化することで、一部の営利企業が独占することを防ぐこともあります。

 

つまり繰り返しになりますが、研究は発明と同じで、そもそも世界1位を目指すものです。2位以下では研究の意味がないのです。

 

さらに付け加えるなら、例えば世界1位になることを諦めて、誰かの真似をするような研究に対して、国民の貴重な税金を使用する価値があるでしょうか?研究成果の価値は、誰も見つけられないことを成し遂げた成果にあるのです。ノーベル賞がまさしくそうです。

 

仕分け人の国会議員が発言した、2位じゃダメなんでしょうか?という質問を聞き、研究者たちは唖然としたはずです。

 

研究を理解できない人に対して、何を説明しても無駄だと感じたはずです。当然、十分な説明はできませんでした。文部科学省や研究組織で働く人たちにとっては常識かも知れませんが、一般の人たちには研究が理解されていないのです。

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研究と教育の関係

 

次に大切な点は、研究と教育は深く関連していることです。研究と教育は相互に補完しあっています。

 

大学の学生を教えるには高度な専門知識が必要です。そのためには研究が必須です。研究の成果を基にして学生に教え、学生からの素朴な疑問が研究のヒントにつながることもあります。教員と学生とが相互に刺激しつつ、研究と教育のレベルが高まっていくのです。

 

研究が教育の質を高め、教育が研究の質を高めるのです。

 

例えば患者をあまり診ない医師がいるとしましょう。十分な治療が期待できるでしょうか?ふだん患者を診ていない医師には診てもらいたくないです。

 

研究現場で理論を実践し、その実践でさらに理論を構築し、教育研究レベルを高めていく、これが高等教育には必須の仕組みです。

 

国立大学や研究所の研究者は、学生の教育も担当しています。大学院生なら研究者と一緒に実験や研究を行います。

 

古い話になりますが、戦後の経済復興の原動力になったのは、日本が教育を重視していたからです。現在、日本が豊かな生活を享受できるのは、教育と研究の成果です。

 

このように重要な研究の意味を十分に理解することが、日本社会の未来の発展に繋がるのです。

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