官公庁でクレジットカード払いが認められるようになった理由とは

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その他
奈良 2014年9月

官公庁でのクレジットカード払いについての解説です。インターネットの普及や政府のキャッシュレス化政策により、クレジットカードの利用が一般化してきました。しかし昔は、官公庁におけるクレジットカードの使用は、公私混同の元凶と考えられていました。

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官公庁におけるクレジットカード払いとは

 

この解説のクレジットカード払いとは、官公庁が契約代金などを支払うときに、個人が所有するクレジットカードを使うことです。

 

クレジットカードによる支払いは、現金を用意せずに手軽に使えることや、利用金額に応じてポイントが付与されるなどのメリットがあります。しかし一方で、公費で購入した分のポイントを私的に使えてしまうこと、1ヶ月あるいは2ヶ月後にまとめて請求が届くため、予算をオーバーして使ってしまうリスクがあります。

 

プライベートだけで使う場合でも、クレジットカードの利用限度額が多く設定されているために、毎月もらう給与よりも大きな買い物ができてしまうのです。クレジットカードは、使うときは便利な一方で、予算をオーバーしないように使うという管理面ではデメリットもあります。

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昔のクレジットカードのイメージ

 

2021年現在は、政府がキャッシュレス化を推進していることもあり、クレジットカードを使う場面が一般的になってきました。2019年から2020年にかけて政府により実施された「キャッシュレス・ポイント還元事業」によって、ほとんどのお店でクレジットカードが使えるようになりました。実際にレジに並んでいてもクレジットカード払いが増えたと感じました。

 

昔を思い出すと、1995年頃までは一部の裕福な人たちしかクレジットカードを使っていませんでした。社会一般で多くの人たちがクレジットカードを使っているというイメージはありませんでした。むしろクレジットカードを持つと借金が増えてしまうような悪いイメージがあり、なかなか普及していなかったのです。「わざわざ借金を増やすようなクレジットカードは持ちたくない」と考える人が多かったです。私自身も昔はクレジットカードを使いませんでした。

 

私がクレジットカードを初めて持ったのは、海外へ出張したときです。万が一現金がなくなってもクレジットカードで対応できれば安心だと思ったのです。海外出張を終えた後もクレジットカードは持っていましたが、やはり極力使わないように心がけていました。

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昔はクレジットカード払いは禁止、公私混同の元凶だった

 

今でも一部の厳しい官公庁では、クレジットカードの使用を禁止しているところがあります。昔の官公庁では、個人のクレジットカードを使用すると、公私混同になるリスクが高く禁止されていたのです。

 

そもそもが官公庁の支払方法は後払い(あとばらい)が原則です。何かを買う契約を締結する前には、事前に予算の範囲内であるか支出負担行為の確認が必要になっています。つまり契約代金を支払うときは、事前に関係書類を添付して決裁手続きを行うのが原則なのです。会計法令に基づいた決裁手続きを経た支払いでなければならないわけです。

 

ところがクレジットカード払いは、事前に予算の範囲内であるか確認するための支出負担行為も行わずに、さらに後払いの原則にも従わないわけです。極端な言い方をすれば、クレジットカードによる支払いは、法令に違反した手続きなわけです。

 

また職員個人のクレジットカードを使うということは、プライベートな買い物も一緒に含まれています。1ヶ月後あるいは2ヶ月後にクレジットカードの請求明細が届いたときに、明細を見ただけではプライベートで買ったものなのか、官公庁のために購入したものなのか判別ができないこともあります。購入した当時の状況を忘れてしまったり、似ている商品名のときには、どれをプライベートで購入したのか間違えてしまうわけです。こうなるとクレジットカードを使うということは公私混同を意味することになってしまうのです。公私混同を避ける目的で、クレジットカードを使用禁止にしている職場は多いです。

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なぜ個人のクレジットカード使用による立替請求が認められるようになったのか

 

個人のクレジットカードを使用した後に、立替請求を認めるようになったのは、主に研究者からの要望によるものです。

 

官公庁の支払原則は後払いです。事務職員は会計法令に基づく支払方法で特に支障はありませんでした。クレジットカード払いでしか購入できないものは買わなくても支障はなかったのです。

 

ところが研究者にとっては、クレジットカードがないと研究に支障が生じる状況が発生するようになりました。海外で開催される国際学会への参加申込み、現地での研究用資料や学術書の購入の際に、クレジットカードが必要になることが多くなったのです。海外では現金よりもクレジットカードの方が歓迎されていました。日本国内においてもインターネットが普及し、 Amazon などからの学術書の購入にはクレジットカードが必要になってきたのです。

 

1995年くらいまでは、官公庁ではクレジットカード払いを使用禁止にしていました。そのため研究者が長期の海外出張で、現地でクレジットカードを使って買ったものは全て自己負担でした。研究者によっては年間100万円を超える研究費を自己負担していたのです。研究者としては、組織としての公用出張であっても、クレジットカード払いが認められていないこと、自分自身の研究にも役立つことから仕方なく自腹を切っていました。

 

2000年頃からは、 Amazon が日本に上陸し、Web 上で簡単に学術書を購入することができるようになりました。学術書をWEB上で検索して購入する研究者が爆発的に増え、それに伴い官公庁における個人のクレジットカード利用と立替請求も急増してきました。

 

本来、公費から支払うべき経費を、研究者あるいは職員個人へ負担させてしまうと、不正の温床になってしまいます。法令に基づく公正さを最重視すべき官公庁では、やはり本来公費で買うべきものであれば、公費から支払うのが正しいと考えるようになってきたのです。

 

もし官公庁が支払うべき経費を個人に負担させてしまうと、必ずどこかで、目に見えないところで歪みが生じてしまいます。公費部分を立替えた個人としては、「損をした」と感じて 別の手段を使って補填しようとします。出張旅費を多く請求したり、負担した金額に相当する物を自宅へ持ち帰ったり、超過勤務手当を水増しするなど、あらゆる不正を誘発する温床になってしまうのです。公正さを重視する官公庁としては、真実の内容を受け止めた正しい事務処理が必要になるわけです。

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コーポレートカードのメリットを正しく知る

 

個人のクレジットカードを官公庁で使用するのは、上述したように公私混同のリスクが極めて高く、適正な取り扱いが困難な面もあります。

 

しかし最近では、法人カードあるいはコーポレートカードが普及してきました。民間企業では経費精算の負担を軽減するために、多くの企業でコーポレートカードを使い始めています。

 

さらにコーポレートカードは進化し続けており、使い勝手も毎年改善されています。使いやすいコーポレートカードであれば、官公庁にとっても事務負担を軽減できることは間違いありません。職員個人のクレジットカードを使う公私混同によるデメリットも防ぐことができます。

 

おそらくこれからはコーポレートカードの利用が官公庁でも増えていくはずです。

 

コーポレートカードを導入するときのポイントは次の点です。これは官公庁でのコーポレートカード利用を前提としたものです。

〇予算の管理が簡単にできること

〇予算の残額をリアルタイムに確認できること

〇すでに導入している会計システムと融合できること

 

個人のクレジットカード払いによる立替払はかなり面倒です。立替払を行う前に、支出伺を決裁しなければなりません。立替請求するときは、支払った時の状況の分かる領収書や関係書類を添え、なぜ立替払が必要であったのか、理由も細かく書かなければなりません。

 

また立替払の承認手続きが完了した後に、通常の支払い手続きが必要です。つまり個人のクレジットカード払いによる支払いは手続きは、通常の手続きの2倍になっているのです。もし使いやすいコーポレートカードを導入できれば、事務手続きを大幅に負担軽減できます。コーポレートカードの導入は、官公庁にとって検討すべき事項です。

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