災害対策や景気対策に有効な随意契約の解説です。日本経済は、長期間のデフレ不況と東日本大震災による未曾有の災害で、国民生活が疲弊していました。さらに2020年からは新型コロナウィルスの感染爆発で、大きな打撃を受けました。2023年になり、ようやく上向きの明るい兆しが見え始めています。
補正予算による景気対策
政府の役割のひとつに、補正予算による景気対策があります。一時的に国の事業を拡大し、公共工事や物品調達を増やし、お金を動かすことで景気を刺激するものです。
景気対策は、経済が停滞しているときに、国債を発行して大型の補正予算で事業を実施します。官公庁の発注を増やし、民間企業の売上げが増加すれば、お金が回り刺激になります。
市場経済は、感情の集まりです。人々の経済活動が積極的になれば、お金が回り経済が上向きになります。景気対策は、人々の気持ちを元気にすることで効果が表れます。
景気対策に有効な随意契約
臨時的な補正予算だからといって、全ての契約で随意契約できるわけではありません。官公庁が契約の相手を選ぶ契約方式は、一般競争入札が原則です。しかし純粋に景気対策のみを考えれば、一般競争入札と随意契約では、どちらが景気対策に有効か明白です。
随意契約は、すぐに契約の相手方を決めることができます。3社の見積書を比較するだけで契約できるのです。随意契約では、時間をかけた不特定多数による競争は行いません。随意契約の相手方であれば、無理な価格競争を防止することができます。原価を割るようなダンピングまがいの契約や、適正な利益を無視した赤字の契約を回避できるのです。
一般競争入札を実施した場合、契約を締結するまでに 2 ヶ月以上必要になります。ライバル会社が多ければ価格競争も激しく、会社の利益が小さくなります。極端な場合、赤字覚悟で入札し、契約実績の獲得のみを優先する営業戦略もあります。契約を受注する側としては、一般競争入札よりも随意契約の方が適正な利益を確保できます。また競争がなく受注が安定していれば、会社を持続的に発展させることも可能です。雇用も安定し、法人税が増え、税収にも寄与します。売上げが増加することで経済の発展につながります。
つまり経済対策のみを考えるなら、随意契約の方が有効です。
緊急事態に有効な随意契約
人の命や財産が危険にさらされるような非常時にこそ、補正予算を使った随意契約が可能になるようにした方が良いはずです。しかし財務省も日本政府も、このような考え方や視点を持っていません。
生活や経済を立て直す緊急の政策には、随意契約が有効な手段です。非常時は、公平性や公正性の視点ばかりを重視すべきではありません。契約を締結するまでに数ヶ月を必要とする一般競争入札では、すぐに契約することができないのです。
公平性や公正性を重視する考え方は、平常時には重要です。しかし緊急性が要求されるときは、公平性や公正性を重視すべきではありません。重視すべきは、国民の命と財産です。
常に他人との比較を好む日本人の国民性から仕方がないのかもしれません。特に官公庁が随意契約することにはアレルギーもあるのでしょう。緊急時に何を優先すべきか、世論が変わらないことも、少し残念な状況です。政府は、現場の手続きを理解し、大きな視野で国民の生活を第一に考えてもらいたいです。豊かな未来を見つめて欲しいものです。
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