「産学連携」をわかりやすく解説、バイ・ドール法と日本の政策

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2020年8月 最後の豊島園

2021(令和3)年現在、「産学連携」は一般的な言葉になりました。多くの大学で産学連携制度が整備されています。そもそも「産学連携」とは、どういう経緯で始められたものなのでしょうか?わかりやすいよう簡単に解説します。

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そもそも「産学連携」とは

「産学連携」は、文字どおり産業界と大学が連携して協力するものです。代表的な例は、大学の研究成果を特許権(知的財産権)とし、商品やサービスを開発することです。

 

大学の教授や研究者が実施している研究は、今までにない課題を解決することを目的としています。新しい何かを発見することが研究成果になります。世界で初めての解決策を見つけることなので、特許権と同じになることが多いのです。理工系分野などの多くの研究成果は、特許権を取得できる研究成果がほとんどです。

 

しかし国公立大学では営利事業は禁止されています。利益を追求した商売を行うことはできません。国民の税金を運営財源としているので、営利目的の事業は認められないわけです。また教育の中立性(政治的、宗教的)という意味でも、営利を追求することができないわけです。

 

国公立大学は商売ができません。特許権を基に商品やサービスを開発しても利益を得られないわけです。しかし民間企業は制限がありません。自由に商売が可能です。つまり民間企業と連携すれば利益を得ることが可能になります。特許権を使用する商品やサービスの開発は民間企業に任せるわけです。特許取得のための発明(研究開発)を大学が担い、民間企業の売上から一部をロイヤリティとして大学が受け取る仕組みです。大学としてもロイヤリティを得ることができ、民間企業も売上を伸ばすことができる、これが「産学連携」です。

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なぜ産学連携が始まったか

「産学連携」が日本の政策になったのは、アメリカを見習ったからです。アメリカでは長期の経済不況を打開するために、大学の研究成果を積極的に活用する政策が進められました。1980(昭和55)年にバイ・ドール法が制定され、アメリカ政府の研究費から生まれた特許権などを、大学や民間企業などが取得できるようになりました。それ以前はアメリカ政府帰属なため十分に活用されていませんでした。バイ・ドール法によって多数のベンチャー企業が生まれ、米国産業が競争力を取り戻す原動力になったのです。

 

日本では2002(平成14)年に「知的財産立国」実現に向け「知的財産戦略大綱」が策定されました。日本経済が停滞し厳しい状況であること、国際競争力を高め社会全体を活性化することが目的でした。産業活力再生特別措置法第30条(いわゆる日本版バイ・ドール制度)により、特許権等の帰属が大学等になったのです。(それ以前は国に帰属していました。大学では自由に特許権を使えませんでした。)

 

アメリカも日本も、長期の経済不況を打開するために、研究成果を特許として活用する政策が進められたのです。研究成果(特許)を活用するベンチャー企業を創出させ、経済を活性化させようとしたのです。実際に日本でも多数のベンチャー企業が生まれました。

 

文部科学省の政策として2003(平成15)年度から2007(平成19)年度までの5年間「大学知的財産本部整備事業」が実施されました。東京大学を始めとする国立大学や私立大学で「知的財産本部」を設置し産学連携が推進されたのです。

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産学連携のメリットとデメリット

産学連携のメリットは、研究成果から生まれた特許権を取得し、その商品やサービスが売れるようになれば莫大な利益を得られるところです。特許に守られて商品やサービスを独占して売ることができれば民間企業にとっても大きなメリットになります。大学側にとっても、民間企業の売上の一部からロイヤリティを受け取ることができれば、運営財源が潤います。商品やサービスが順調に売れれば、双方にとって大きなメリットがあるわけです。

 

一方デメリットはこの反対です。商品やサービスが予想どおりに売れないときです。民間企業が開発した商品やサービスが売れなければ収入になりません。大学もロイヤリティが受け取れないわけです。大学側、民間企業側双方にとってメリットがなくなってしまいます。

 

ここが産学連携のポイントになるわけです。需要のあるシーズ、実際に売れる商品を開発するための研究成果を見つけることが最重要になるわけです。いわゆる「目利き」です。

 

将来の需要予測の他にも、特許の場合には困難な問題があります。売れる商品やサービスが開発できるまでに長期間、多額の開発費用が必要になることです。新しい研究成果は、毎日生まれています。研究者の学会発表を見れば分かりますが、毎日多くの研究成果が発表されています。しかし良い研究成果と、それが実際に売れるか、ということは直結しません。良い研究成果が売れるとは限らないのです。ここが、なかなか難しい問題です。

 

また特許権を取得できたとしても、実際に販売開始できるまでに長い年月が必要です。その間に全く別の手法でライバル製品が完成してしまうこともあります。特許権を取得すれば法律で独占が守られるわけですが、違う手法で特許権を取られれば結果的に独占できなくなります。「未来永劫独占できる」保証はないわけです。ヘタをすれば特許を取得したとしても、すぐに効果が薄れてしまうことさえあります。

 

つまり産学連携のメリットは「売れれば莫大な収入になる」、しかし売れなければ「莫大な損失」になることです。

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