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現場理解と内部監査で不正を防ぐ方法:具体的手法と改善策

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昔の監査班 その他
昔の監査班
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会計検査や外部監査、確定検査において、現場の実情を無視した指摘が行われることがしばしば見受けられます。

 

このような指摘は、現場の職員に過度な負担をかけ、不正行為を誘発するリスクがあります。実際、現場の業務状況や課題を理解しないままの指摘が、不正の温床となるケースが増えています。

 

現場を知ることの重要性と、内部監査の役割を見直すことで、組織全体の透明性と信頼性を高めることができます。本記事では、現場理解の具体的手法と内部監査の実践的な方法について解説し、組織全体で取り組むべき改善策を提言します。

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はじめに

 

現場を無視した検査の課題

 

会計検査や外部監査、補助金の確定検査などにおいて、現場の実情を無視した指摘が行われることがあります。例えば、会計検査院による「医療費に係る国の負担が不当と認められるもの」という指摘は、毎年のように繰り返されています。会計検査院のデータベースで検索すれば、山のように指摘事例があります。もう「恒例行事ではないか」と思えるほどです。

 

このような指摘は、現場での原因を分析し、改善しようとする姿勢が欠如しているために繰り返されます。指摘を受ける現場としては、そもそも制度が複雑すぎて正確な計算が不可能であるのに、現場の苦労も理解しないまま毎年指摘しているだけなので、そもそも指摘自体を軽んじているのです。会計検査院の指摘自体が効果がなく無駄になっているのです。

 

ある公共機関でのケースでは、「不適切な支払」と指摘されましたが、実際には現場の職員が過重な業務を抱えており、書類の確認に十分な時間を割けない状態でした。このような指摘は、現場の実情を理解していないために生じるものです。

 

指摘が不正を誘発するメカニズム

上記の例ではありませんが、現場を無視した指摘が不正を誘発するメカニズムは様々です。典型的には以下の通りです。

 

まず、過度に厳しい基準や現実的でない要求が現場に課せられると、職員はこれに対応するために無理をしなければなりません。その結果、書類の改ざんや虚偽報告といった不正行為が発生するリスクが高まります。

 

例えば、予算の使途について細かい指摘が入ると、職員はその指摘を避けるために不正確な(虚偽ではないが曖昧にごまかす)説明を行う可能性があります。

 

現場無視の会計検査が不正の原因となる理由

 

現場を無視した会計検査などが不正の原因になる理由は、調査官が現場の実情や業務の流れを十分に理解していないために、不合理な指摘や改善要求を行うことが挙げられます。具体的には、予算の不適切な使用や書類の不備といった指摘が、実際の業務状況にそぐわない形でなされると、職員はこれに対応するために書類を改ざんするなどの不正行為に手を染めることがあるのです。

 

さらに、会計検査院の調査官が明確な基準や根拠を示さずに指摘を行う場合、現場の職員は対応に苦慮し、不正行為を行わざるを得ない状況に追い込まれることがあります。例えば、ある公共機関では、調査官が具体的な法令の根拠を示さずに「不適切ではないか」としつこく指摘したため、職員はその対応に追われ、虚偽の書類を作成せざるを得ないなど、不正行為を行うリスクが高まったケースが報告されています。

 

このように、現場の実情を無視した会計検査などの指摘は、職員に過度な負担をかけ、不正行為を誘発する原因となります。不正防止のためには、現場の実情を理解し、実現可能な改善策を提案することが最も重要です。

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会計実務の現場理解の重要性

 

会計実務の具体例と重要性

 

会計実務の基本的な流れ

 

官公庁の会計実務は、予算の編成から始まり、契約手続き、支出の管理、最終的な決算までの一連のプロセスを含みます。予算の編成では、各部門からの予算要求を集約し、これを基に予算案を作成します。この予算案は、国会や議会の承認を経て確定されます。

 

承認された予算に基づいて各種の支出が行われます。物件費では契約手続きの後に代金を支払います。支出は、予算の範囲内で行われるべきですが、実際には予定外の支出が発生することもあります。これに対応するために、補正予算の編成や予備費の使用が行われます。国会や議会だけでなく、多くの官公庁では、自組織のために予備費を設けています。最後に、年度末には決算が行われ、実際の収支を確認し、次年度の予算編成に反映させます。

 

具体的な業務内容とその重要性

 

会計実務の具体的な業務内容には、以下のようなものがあります:

1. 予算編成:各部門からの予算要求を集約し、予算案を作成する。

2. 支出管理:契約手続きなどの支出伝票の処理や支払い手続きを行う。

3. 決算:年度末に収支を確認し、次年度の予算編成に反映させる。

これらの業務は、税金などの公的資金の適正な管理を確保するために非常に重要です。不適切な管理は、無駄遣いや不正行為の温床となる可能性があります。

 

効果的な現場意見の取り入れ方

 

効果的なヒアリングの手法

 

現場の意見を取り入れるためには、効果的なヒアリングが欠かせません。以下の手法が有効です:

 

1. ミスを探さない:現場の担当者から会計処理を聞くときは、ミスを探すのではなく、実体を知りたいという視線が重要です。アラ探ししている人へは、揚げ足を取られるだけなので真実は話しません。現場の苦労を知りたい、という姿勢で問題点や改善点を共有することが重要です。

 

2. アンケート調査:数年に一度、匿名のアンケートを実施し、現場の意見を収集するのも効果的です。

 

3. フィールドワーク:現場を実際に訪問し、実務を体験しながら意見を収集します。机の上で書類だけ見て指摘するのではなく、現場に出向いて、自分の目で見ることが重要です。

 

これらの方法を用いることで、現場の実情を正確に把握し、不正が起こりえない改善策を見出すことができます。

 

現場の声を活かすフィードバックループの構築

 

収集した現場の意見を効果的に活用するためには、フィードバックループの構築が重要です。フィードバックループを構築するためには、以下のステップが必要です:

 

1. 意見の集約と分析:収集した意見を集約し、共通の課題を分析します。

 

2. 改善策の策定と実施:分析結果に基づいて、具体的な改善策を策定し、実施します。

 

3. 効果の検証:改善策の実施後、その効果を検証し、必要に応じて再度改善策を見直します。何度も繰り返しミスが起きるなら、検査や監査の手法自体がおかしいということです。効果のないことは、やるだけ税金の無駄遣いです。

 

このプロセスを繰り返すことで、現場の実情に即した効果的な改善が可能となります。

 

現場の意見を取り入れることで、実務に即した適切な会計管理が行われ、不正行為の発生を防ぐことができます。

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内部監査の役割

 

内部監査の基礎知識

 

内部監査は、組織の業務が適切に行われているかを、現場を知る立場から評価し、改善点を提案するプロセスです。具体的には、財務報告の正確性、法令遵守の状況、業務効率の向上などを目的としています。内部監査は、組織の目標達成に直接影響する重要な活動であり、リスク管理や内部統制の強化にも貢献します。

 

内部監査と外部監査の相違点

 

内部監査と外部監査は、その目的と実施主体が異なります。内部監査は、組織内部の監査部門によって行われ、組織全体の改善を目指します。一方、外部監査は、独立した第三者機関(例えば有識者や監査法人など)によって実施され、主に財務報告の信頼性などを確認することを目的とします。

 

内部監査の利点は、組織内部の視点から詳細な評価ができる点です。内部監査員は、組織の業務プロセスや内部統制を深く理解しており、実務に即した改善提案を行うことができます。現場を理解している監査員なら、無理なこと、可能なこと、を判断しながら改善することが可能です。

 

外部監査は、組織から独立した人たちなので、組織の現場を知りません。そのため書類上だけのミスしか判断できません。ミスの起きる原因などは理解できないのが外部監査です。また外部監査という場合、財務諸表の監査だけを意味することもあります。財務諸表の監査は、数字が企業会計原則に基づいて計上されているかの判断だけです。不正やミスを改善するという目的とは異なります。

 

実践的な内部監査の手法

 

リスクアセスメントの実施

 

内部監査の重要な手法の一つがリスクアセスメントです。リスクアセスメントでは、組織が直面する様々なリスクを特定し、その影響度や発生可能性を評価します。このプロセスにより、リスクに対する優先順位を決定し、リスク管理策を策定します。

 

リスクアセスメントの手順は以下の通りです:

 

1. リスクの特定:組織の業務プロセスを分析し、潜在的なリスクを洗い出します。

 

2. リスクの評価:特定されたリスクの影響度と発生可能性を評価します。

 

3. リスクの優先順位付け:評価結果に基づき、リスクの重要度に応じて優先順位を決定します。

 

4. リスク管理策の策定:リスクを軽減または回避するための具体的な対策を策定します。

 

このプロセスを通じて、組織はリスクに対する備えを強化し、業務の安定性を確保することができます。

 

内部統制の評価と改善提案

 

内部統制は、組織の業務が効率的かつ効果的に行われるように設計された一連のプロセスや手続きを指します。内部監査では、この内部統制の評価を行い、必要に応じて改善提案を行います。

 

内部統制の評価手順は以下の通りです:

 

1. 現行の内部統制の把握:現行の業務プロセスや手続きを詳細に把握します。

 

2. 内部統制の評価:業務プロセスの効率性や法令遵守の状況を評価し、リスクが適切に管理されているかを確認します。

 

3. 改善提案の策定:評価結果に基づき、内部統制の改善点を提案します。

 

内部統制の評価と改善提案を通じて、組織の業務効率や信頼性が向上し、不正行為の発生リスクを低減することができます。

 

内部監査は、組織の透明性や信頼性を高めるための重要な役割を担っています。内部監査を効果的に実施することで、組織はリスクに対する備えを強化し、持続的な成長を実現することができます。

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現場を知ることによる不正防止

 

現場理解を深める具体的方法

 

定期的な現場訪問の重要性

現場の実情を理解するためには、定期的な現場訪問が欠かせません。現場訪問により、現場で働く職員の実際の業務内容や直面している課題を直接把握することができます。これにより、書類だけでは見えない問題点を発見し、具体的な改善策を講じることができます。また、現場での対話を通じて、職員の声を直接聞くことができるため、信頼関係の構築にも寄与します。

 

現場訪問の際には、以下の点に注意することが重要です:

 

1. 事前準備:訪問の目的を明確にし、訪問先の背景情報を事前に調査します。

 

2. 職員との対話:現場の職員と直接対話を行い、業務内容や課題について具体的に聞き取ります。困っていることや、大変な業務などを詳しく聞きます。

 

3. 観察と記録:現場の状況を観察し、重要なポイントを記録します。

 

職員との信頼関係の構築

職員との信頼関係を築くことは、不正防止において重要な要素です。信頼関係が築かれていると、職員は問題が発生した際に報告しやすくなり、不正行為を未然に防ぐことができます。本音で話せるようになります。信頼関係を構築するためには、以下のような方法が効果的です:

 

1. オープンなコミュニケーション:定期的にミーティングを開催し、職員との意見交換を行います。笑顔の中で実施するのが効果的です。厳しい表情で「アラ探し」するような行為はやめましょう。

 

2. サポート体制の整備:職員が安心して相談できるサポート体制を整備します。困っていることや、悩みを気軽に相談できるようにします。

 

3. フィードバックの提供:職員からの意見や報告に対して迅速かつ適切なフィードバックを提供します。困っていることを放置してしまうのが一番よくないです。

 

不正防止を実現する制度設計

 

透明性の確保

不正を防止するためには、業務の透明性を確保することが重要です。透明性のある業務プロセスは、不正行為の発見と防止に役立ちます。具体的な方法としては、以下のような取り組みが挙げられます:

 

1. 文書の適切な管理:全ての取引に関する文書を適切に管理し、必要に応じて迅速にアクセスできるようにします。決裁処理は、内部での透明性確保のためにも必須です。

 

2. 情報の公開:重要な業務プロセスや決定事項を適切に公開し、外部からの監視を受けやすくします。

 

3. 定期的な監査:内部監査を定期的に実施し、業務プロセスの透明性を確保します。

 

報告体制の強化と内部告発制度

 

不正行為を未然に防ぐためには、報告体制を強化し、内部告発制度を整備することが不可欠です。報告体制が整備されていると、職員は不正行為や疑わしい行動を迅速に報告することができます。以下のような具体的な制度が有効です:

 

1. 内部告発制度の導入:匿名での内部告発を受け付ける制度を導入し、職員が安心して不正行為を報告できる環境を整えます。通報者の匿名保護が前提です。

 

2. 報告の奨励:不正行為の報告を奨励し、報告者が不利益を被らないように保護します。不正行為が起きそうな状態についても積極的に報告してもらいます。ただハラスメント関係は、内部通報窓口とは分けて対応します。

 

3. 迅速な対応:報告された不正が疑われる行為に対して迅速かつ適切に対応し、再発防止策を講じます。

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組織全体で取り組むべき改善策

 

組織全体の意識改革の重要性

 

研修と教育プログラムの充実

 

組織全体で意識改革を進めるためには、まず職員の知識と意識を高めることが重要です。これには、定期的な研修と教育プログラムの充実が不可欠です。具体的には、次のような取り組みが効果的です:

 

1. 基礎研修:新入職員向けに会計実務の基礎を学ぶ研修を実施し、基本的な知識を習得させます。自分の組織に関する具体的な過去の事例を参考にすると効果が高いです。

 

2. 継続教育:全職員を対象に定期的な継続教育を行い、最新の会計法令や実務について学ぶ機会を提供します。

 

3. 専門研修:特定の業務に携わる職員向けに、専門的な知識やスキルを習得するための研修を実施します。

 

これらの研修プログラムを通じて、職員の知識と意識が向上し、組織全体で一貫した高いレベルの会計実務が実現されます。

 

組織文化の醸成

 

意識改革には、職員の行動や考え方を変えるだけでなく、組織全体の文化を変えることも重要です。組織文化の醸成には、以下のような取り組みが有効です:

 

1. リーダーシップの強化:上級管理職が率先して良い行動例を示し、職員に対して明確な期待と目標を示します。個々の部下の能力を伸ばすのが良いリーダーです。上層部のご機嫌どりはリーダーの役目ではありません。

 

2. コミュニケーションの促進:部門間の壁をなくし、オープンなコミュニケーションを促進することで、情報の共有と連携を強化します。笑顔で気軽に話せる職場環境が理想です。

 

組織文化の醸成により、職員全体が一体となって目標に向かって取り組む姿勢が生まれ、業務の効率化と不正防止に繋がります。

 

実効性のある改善策の実施

 

PDCAサイクルの導入

 

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)は、業務改善のための効果的な手法です。このサイクルを導入することで、持続的な改善活動を推進することができます。具体的なPDCAサイクルのステップは以下の通りです:

 

1. Plan(計画):改善のための目標を設定し、具体的な計画を立てます。

 

2. Do(実行):計画に基づいて具体的な改善策を実行します。

 

3. Check(評価):実行した結果を評価し、計画通りに進んでいるかを確認します。

 

4. Act(改善):評価結果に基づき、さらに改善が必要な点を見直し、新たな計画を立てます。

 

PDCAサイクルを繰り返すことで、継続的な業務改善が図れ、組織全体のパフォーマンスが向上します。何年も同じミスが繰り返されるような異常な状態は回避しなければなりません。

 

持続的な改善活動の推進

 

持続的な改善活動を推進するためには、組織全体で一貫した取り組みが必要です。これには、以下のような具体的な方法があります:

 

1. 改善提案制度の導入:職員からの改善提案を募集し、優れた提案を実行に移す制度を整備します。

 

2. 定期的なレビューとフィードバック:定期的に業務プロセスをレビューし、改善点をフィードバックします。

 

3. 改善活動の成果の共有:改善活動の成果を全職員に共有し、成功事例を参考にさらに改善を進めます。

 

持続的な改善活動を推進することで、組織全体の業務効率が向上し、不正防止にも繋がります。

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まとめ

 

現場理解と内部監査の相乗効果

 

現場理解と内部監査の相乗効果は、組織の不正防止と業務効率化に大きな影響を与えます。例えば、ある地方自治体では、現場訪問を通じて現場の業務プロセスを詳細に把握し、その情報を基に内部監査を行った結果、複数の業務改善点が見つかりました。これにより、無駄な手続きが削減され、業務の透明性が向上しました。

 

定期的な現場訪問と職員との対話を通じて、不正の温床となる可能性のある業務プロセスを特定し、内部監査でそのリスクを評価しました。その後、改善策を提案し、実行に移すことで、リスクを大幅に減少させることができました。このように、現場の実情を深く理解することで、内部監査の精度と効果が飛躍的に向上するのです。

 

今後の展望と提言

 

継続的な取り組みの重要性

 

不正防止や業務改善は、一度の取り組みで完了するものではありません。継続的な取り組みが重要です。定期的な現場訪問と内部監査を繰り返すことで、新たなリスクや問題点を早期に発見し、迅速に対応することができます。また、職員の意識を高めるためには、定期的な教育研修やワークショップを通じて、最新の知識やスキルを習得させることが必要です。

 

長期的な視点での不正防止策

 

長期的な視点での不正防止策としては、以下のような取り組みが考えられます:

 

1. 制度の見直し:不正の温床となる可能性のある制度や手続きを定期的に見直し、必要に応じて規則などを改正します。

 

2. 技術の活用:最新の技術を活用して、業務プロセスの監視や分析を行います。例えば、データ分析ツールを用いて異常な取引を検出するなどの方法があります。将来的にはAI(人工知能)を活用してミスなどを事前に防げるようになるでしょう。

 

3. 組織文化の醸成:全職員が不正防止の重要性を理解し、日常業務の中で実践できるような組織文化を醸成します。

 

現場理解と内部監査の相乗効果を最大限に活用することで、組織全体の業務効率化と不正防止を実現できます。継続的な取り組みと長期的な視点での対策を進めることで、組織の健全性と透明性を高めることができるでしょう。

 

このように、現場の実情を深く理解した内部監査を実施することで、効果的な不正防止策を実施し、持続的な業務改善を推進することが重要です。

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