「論文不正」が東大でも起こる原因、ほんとの競争が必要な理由

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2014年 奈良
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「論文不正」についての解説です。「論文不正」は、日本の科学研究を脅かす大問題です。マスコミでたびたび報道されています。「研究不正大国」、「研究捏造大国」とまで言われています。「論文不正」の原因などを、わかりやすく解説します。

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そもそも論文は、何の役に立つ?

本サイトは、官公庁の会計手続きの解説を目的としています。しかし近年(2013年)は、「競争的資金」と呼ばれる研究費の予算が急増し、「論文不正」の一因になっています。そこで、今回は「論文不正」について解説します。

 

研究データを捏造するなどの論文不正問題が、毎年のようにマスコミで報道されます。2012年には、研究室内で行なわれた論文不正の監督責任をとり、東京大学の教授が、自ら辞職しました。

 

最初に、そもそも「論文とは何か」簡単に解説します。

 

論文は、小説や漫画のような「面白さ」がありません。一般の多くの人は、興味がありません。一部の頭の良い人たちが、「難解な文章」を書いているくらいの理解です。論文が、実社会に必要なことを知っている人は稀です。

 

論文とは、知的な探求(真理の探究)の成果(経緯と結果)を、文字で表現したものです。知的な探求とは、何かを探すため(真理を発見するため、課題を解決するため)冒険に旅立つイメージです。普通の冒険は体力勝負ですが、知的な冒険は、世の中に蓄えられた知識(他の論文)を使います。

 

そして、文章表現は論理的でなければなりません。つまり、内容に矛盾がなく、誰もが納得する作法で書いてあることが必要です。何かの「新しい発見」について、論理的に文章としてまとめたものです。学術の研究成果なので、実際の生活や社会に直接役立つとは限らないものです。

 

論文が役立つ場面は、同じ研究者仲間たちの世界です。研究に必要な情報として役立ちます。典型的なのが学会です。同じ専門分野の研究者が集まり、お互いの研究成果を論文として発表します。同じ学会に所属する研究者は、同じような未解決の課題を抱えており、誰がその課題を最初に解決するか、注目しています。

 

多くの論文は、直接、社会に役立つものではありません。しかし、社会そのものを変えてしまうような論文(研究成果)もあります。例えば、社会に役立つ研究成果の例として、iPS細胞があります。京都大学の山中教授が、誰も思い付かない方法で、iPS細胞を発見しました。既にノーベル賞を受賞した世界一の研究です。

 

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研究者は、どのように評価される?

 

研究者は、研究成果をまとめた「論文」で評価されます。他の研究者が、自分の研究を進める上で使いたくなるような論文、被引用数(インパクトファクター)の多い論文ほど、研究成果として価値が高いのです。

 

研究者たちは、論文を書くことに力を注ぎます。被引用数の多い「質の高い論文」や、多数の論文を書くことに懸命になります。学会で論文を発表し、自分の論文が多くの研究者に認められれば、出世が早くなります。他の研究者に認められるという意味は、被引用回数が多いことです。

 

いろいろな研究者が利用する論文が執筆できれば、助教から講師、准教授、教授へと昇るスピードが早くなり、発言力も強くなります。人も金も自然に集まるようになります。もし世界一の業績として認められる「ノーベル賞」を受賞すれば、最新の研究設備が整った新しい研究棟までが建ちます。

 

研究者の世界は、論文がすべてです。言い方を換えれば、研究者は、学会で論文を発表し、同じ研究者たちに認めてもらわなければ生きていけないのです。特に、雇用期間の短い、任期付の研究者は、多数の質の高い論文が必要なのです。

 

民間会社の営業担当者であれば、努力した結果は、売上金額などの客観的な数字で確認することができます。しかし論文は、被引用数だけでなく、研究の内容も評価される必要があります。同じ分野の研究者の中でも、実績のある研究者や、発言力の強い研究者に認めてもらうことが重要です。

 

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「論文不正」は、何故なくならない?

 

理由は簡単です。

 

歪んだ競争意識」が原因です。

 

わかりやすいように、野球を例にしましょう。
バッターであれば、ホームランが多ければ評価されます。練習をたくさん行い、体力をつけ、技術力を磨いて、その結果としてホームランを打つのが正しい行動です。

 

誰にもわからないように、ボールが遠くへ飛ぶよう、バットの材質を変えたり、バットの中身を細工すれば、自分で努力せずホームランを増やすことができます。

 

しかし、これは野球のルールに違反し不正行為となります。スポーツマンシップを無視する卑怯な行為として、ペナルティーが課せられるでしょう。悪質であれば「永久追放」など、選手生命を絶たれる可能性さえあります。

 

研究者は論文で評価されます。「歪んだ競争意識」を持つ研究者は、より質の高い「論理的内容」とするために、都合の良いデータを勝手に作ってしまいます。事実を客観的に証明するはずの実験データなどを、自分が主張したい内容に沿うよう、修正してしまいます。自分の都合の良いようにデータを書き換えてしまうのです。早く論文を認めてもらいたい、安定した身分が欲しい、有名になりたい、などが動機です。実験データなどを捏造すれば、もはや真実は不明になってしまいます。科学が崩壊します。

 

2004(平成16)年、国家公務員の定員削減を目的として、国立大学が法人化されました。その結果、安定した研究を行うための予算(運営費交付金)が、毎年削減されることになりました。その代わりに、研究内容を評価して研究費を配分する「競争的資金」が急激に増加しました。

 

若手の研究者は、安定した身分を得るため、研究費を獲得するため、論文で競争しなければならない時代になっています。質の高い論文を、数多く書かなければ生活できないのです。特に、助教や講師などの若手研究者の多くは、雇用期間が3年から5年の不安定な身分です。雇用財源さえも、一時的な競争的資金のため、短期間で研究成果が求められるのです。早く論文で評価されないと、クビになってしまうのです。

 

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研究分野における「正しい競争」とは

 

「公正さ」が最重要であるはずの教育研究の現場へ、競争原理を導入したのが最大の敗因です。

 

本来、競争原理が社会に役立つのは、用途が単一のもの(商品やサービス)に対してのみです。簡単な例では、商品としてのパソコンです。CPUや部品の技術開発競争によって、高性能で低価格なパソコンが普及しました。世界中の人たちに役立っています。これは単一のものを製造する競争相手が多く、かつ、利用者という需要が、世界中に多数存在しているからです。多くの需要がある場面では、「競争」が正しく機能します。

 

開発競争に基づく結果(パソコン)の需要が、無限にあるからです。需要があり売上が伸びれば、開発予算や人件費も十分に確保できます。

 

ところが、研究分野に対して、(雇用されたい、研究費を獲得したいなどの)競争原理を取り入れてしまいました。

 

上記のパソコンを例にすれば、競争に基づく結果は「論文」です。そして需要は、「すぐに社会で役立つか?」ということです。つまり需要の不明な研究分野では、健全な競争にならないのです。

 

ノーベル賞は例外ですが、通常の研究成果には、需要はありません。また、不安定な身分と、少ない研究費という条件の中で、公平に競争を行なうこと自体に無理があります。将来が不安な身分の中で、研究費も少ない状況で、落ち着いて正確なデータを蓄積する研究など不可能です。のんびりしていたらクビになるのです。

 

では、これらの今までの歪んだ競争制度を改善する方法はあるのでしょうか。

 

現状の制度的な問題点はどこにあるのでしょうか。

 

研究現場へ「競争原理」を取り入れてしまっている、現在の科学技術政策を方向転換すべきです。研究者の身分と、研究費獲得を「競争状態にしている」ことが間違いです。

 

本当の「研究現場の競争」とは、身分や研究費を対象とすべきではありません。研究内容に「競争原理」を導入すべきです。研究内容で競争すべきなのに、その前段階である研究者の環境そのもの(身分・人件費、研究費)を不公平な状態のまま、競争させているのです。

 

将来に不安のない安定した財源で、期間の定めのない雇用を確保し、そして十分な研究費を自動的に保証する研究環境こそが、「研究成果の質を高め、真の競争が可能」になるのです。

 

くどいようですが、わかりやすく、たとえ話で説明します。

 

スピードスケート競技を実施するときに、スケート靴を持ってない裸足の人と、最先端のスピード靴を持っている人を、競争させているのが現在の研究環境です。競争を行う以前から不公平なのです。

 

解決策は、「競争的資金」という研究費を全て廃止し、安定した研究費へ振り替え、人件費と研究費を、継続的に確保できる研究環境へ改善することです。

 

選手全員へ、普通のスピード靴を公平に持たせ、真の競争環境を構築するのです。


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