「職場で節分の豆まきをしたいけれど、費用は消耗品費で落とせるの?」「掃除やハラスメントが心配」……。2月が近づくと、若手職員や会計担当者の頭を悩ませるのが、職場での季節行事の扱いです。
かつては恒例行事として行われていた豆まきも、現在の官公庁や自治体では、コンプライアンスやアレルギー、そして会計ルールの観点から、そのあり方が大きく問われています。特に、豆やお面の購入費用を公費(税金)から支出することは、重大なルール違反につながりかねません。
この記事では、新人会計担当者が知っておくべき「公費と私費の境界線」を明確にしつつ、ハラスメントや業務の妨げにならない、現代の職場にふさわしい「スマートな節分」の形をご提案します。無理なく季節感を楽しみ、職場の空気を明るくするための正解を、一緒に確認していきましょう。
官公庁の職場と「節分」の現在地
かつては、昼休みや業務終了後に盛大に豆をまく光景も見られましたが、近年ではその様相が大きく変わってきています。
変化する職場のイベント事情
現在、多くの官公庁や民間企業では、職場での豆まきを控える、あるいは大幅に縮小する傾向にあります。その主な理由は以下の3点です。
- 衛生面と清掃の負担: 散らばった豆の片付けが大変であること。
- アレルギーへの配慮: 大豆アレルギーを持つ職員への健康被害のリスク管理。
- 業務の効率化: イベント準備や片付けに時間を割くことへの抵抗感。
特に、来客のある執務室や、機密書類・電子機器が多い課内での豆まきは、物理的なリスクも伴います。もし上司から「何かやろう」と言われた場合でも、昔ながらの「鬼役に向かって豆を投げつける」スタイルは避けたほうが無難です。
「セツハラ」にご注意を
近年、「節分ハラスメント(セツハラ)」という言葉も聞かれるようになりました。若手職員や特定の人に無理やり鬼の役を押し付けたり、本人が嫌がっているのにイベントへの参加を強制したりすることは、パワーハラスメントに該当する恐れがあります。
「昔はこれくらい許された」という感覚は、現在の職場環境では通用しません。あくまで「自由参加」とし、楽しみたい人だけでこぢんまりと行うのが、現代のスマートなマナーです。
絶対に間違えてはいけない「豆代」の会計処理
経理・会計担当者として最も注意すべきなのが、節分用品の購入費用です。ここを間違えると、外部から指摘されるだけでなく、不正支出として処分対象になる可能性もあります。
公費(消耗品費)での購入はNG
結論から言えば、節分の豆や鬼のお面を、役所の予算(公費)で購入することは原則として認められません。
「消耗品費」や「会議費」の項目で処理しようと考えるかもしれませんが、これらはあくまで業務の遂行に必要な物品を購入するための予算です。職員の慰安やレクリエーションを目的とした節分用品は、公務との直接的な関連性が認められないため、支出不適当と判断されます。(ただし、広報目的などで、予算上、豆まきが正式イベントとして認められていれば支出可能です。)
官公庁では予算の目的外使用は厳しく制限されています。「少額だからバレないだろう」という甘い考えは禁物です。
正解は「親睦会費」または「ポケットマネー」
では、費用はどう捻出すればよいのでしょうか。正解は以下の2つです。
- 親睦会費(互助会費)から支出する: 職員が毎月積み立てている私費(お茶代やコーヒー代などの親睦会費)から支出する場合、これは公金ではないため問題ありません。
- 有志による割り勘: 参加したい人だけでお金を出し合う、あるいは上司がポケットマネー(寸志)を出してくれるケースです。
会計担当者としては、公式行事でない場合、誰かが購入したレシートを持ってきても、「これは公費では落とせません」とはっきり伝える勇気を持つことが、自分と組織を守ることにつながります。
2026年版:職場にふさわしい「スマートな節分」
リスクを避けつつ、季節感を取り入れたい。そんな場合に推奨される、現代的な職場の節分スタイルを紹介します。
「個包装」が鉄則
豆をそのまま撒くと、掃除が大変なだけでなく、床に落ちたものを食べるのは衛生的ではありません。職場で行う場合は、小袋に入った個包装の豆を用意しましょう。
これなら、軽く投げても回収が簡単ですし、そのままデスクで配ることもできます。「福は内」と言いながら、個包装の豆を机の上に配って回るだけでも、十分に季節感は演出できます。
恵方巻は「持ち帰り」推奨
節分に合わせて恵方巻を食べる習慣も定着していますが、勤務時間中の昼休みに、職員全員が無言で特定の方角を向いて太巻きを食べている光景は、来庁者から見てあまり好ましいものではありません。はっきり言って、不気味な光景です。
もし恵方巻を取り入れるなら、ランチタイムに自席で静かに食べるか、あるいは「持ち帰り用」として手配するのがスマートです。
ちなみに、2026年の恵方は「南南東」です。
「エア豆まき」という選択肢
最近では、豆を投げずに「エア豆まき」を行う職場も増えています。鬼のイラストをプリントアウトして壁に貼り、それに向かって豆を投げるふりをする、あるいは掛け声だけかけるというものです。これなら掃除の手間もゼロで、業務への支障も最小限に抑えられます。
まとめ
官公庁の職場における節分は、かつてのような「行事」から、休憩時間のちょっとした「コミュニケーション」へと変化しています。
- 無理に行わない: やらなくても全く問題ありません。
- 公費は使わない: 必ず親睦会費か私費で対応する。
- 撒かない: 個包装を配る、あるいは持ち帰りにする。
会計担当者としては、特に「公費と私費の区分」という基本ルールを遵守することが最優先です。もし相談されたら、「公費では買えませんが、お昼休みに有志で配る分には問題ないと思いますよ」とアドバイスしてあげるとよいでしょう。
伝統行事は大切ですが、まずはコンプライアンスと職場の平穏を守ることが、現代の公務員としての「福」を呼び込む秘訣かもしれません。

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