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談合とカルテルの違いを徹底解説|定義・事例・法律上の扱いをわかりやすく整理

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法務省 赤れんが棟 その他
法務省 赤れんが棟
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ニュースやビジネスの現場でしばしば耳にする「談合」と「カルテル」という言葉。

 

どちらも複数の企業が協力して競争を制限する行為を指すため、同じような意味だと思われがちですが、実は対象となる場面や行為の仕組みに明確な違いがあります。

 

談合は主に公共工事や公共調達の入札で事前に落札者や価格を取り決める不正行為であり、税金の無駄遣いや公共の利益を損なう深刻な問題として扱われます。

 

一方、カルテルは市場全体を対象に、複数企業が価格や生産量、販売地域などを協定して競争を排除する行為です。

 

どちらも独占禁止法で「不当な取引制限」として禁止され、発覚すれば課徴金や刑事罰といった厳しい制裁が科されます。本記事では談合とカルテル 違いをわかりやすく整理し、法律上の位置づけや過去の事例、注意すべきリスクや対策まで詳しく解説していきます。

 

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談合とカルテルの違いを理解するための基本定義

 

カルテルの意味と特徴|市場全体に及ぶ競争制限

カルテルとは、複数の企業が本来なら自由競争で決められるべき「価格」「生産量」「販売地域」「取引条件」などを事前に話し合い、協定を結ぶことによって競争を制限する行為です。たとえば、ある製品の価格を業界全体で一定以上に設定する「価格カルテル」や、生産量を調整する「数量カルテル」、販売地域を区分して競合を避ける「地域カルテル」などがあります。カルテルは消費者の利益を損ない、市場原理を歪めるため、独占禁止法によって厳しく禁止されています。

 

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
(通称・・独占禁止法)

第二条 第六項

この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

 

第三条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

 

談合の意味と特徴|公共工事入札で行われる不正

談合とは、特に公共工事や公共調達における入札で、複数の企業が事前に「誰が落札するか」「落札価格はいくらにするか」を取り決める不正行為を指します。形式的には入札が行われているように見えますが、実態としてはあらかじめ受注者が決められているため、公正な競争が存在しません。談合は市場全体ではなく、特定の入札案件を対象とする点でカルテルとは異なります。

 

刑法

第九十六条の六 偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

2 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、談合した者も、前項と同様とする。

 

談合とカルテルが混同されやすい理由と共通点

カルテルも談合も「企業同士が協調して競争を制限する点」で共通しているため、一般的なニュースや会話の中では混同されがちです。しかし、対象となる場面や具体的な行為内容、法的処理の方法などに違いがあります。そのため両者を正しく区別することが重要です。

 

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談合とカルテルの違いを比較|対象・形態・法的リスク

 

談合とカルテルの違い①|対象となる場面の比較

カルテル:市場全体における商品やサービスの価格、数量、販売地域など。

談合:公共工事や政府調達など、入札の現場に限定される。

 

談合とカルテルの違い②|行為の性質と合意の形態

カルテル:秘密裏に行われることが多く、暗黙の了解だけでも成立する。

談合:関係者の間で明示的に打ち合わせが行われる場合も多く、より組織的で公然化している。

 

談合とカルテルの違い③|違反時に受ける法的リスク

どちらも独占禁止法違反として排除措置命令や課徴金納付命令の対象となる。

悪質な場合には刑事罰も科され、企業には高額な罰金、個人には懲役刑が下される可能性がある。

談合は「公共資金の不正利用」という側面から、社会的非難が特に強い。

 

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

第八十九条 次の各号のいずれかに該当するものは、五年以下の拘禁刑又は五百万円以下の罰金に処する。

一 (略)私的独占又は不当な取引制限をした者

二 (略)一定の取引分野における競争を実質的に制限したもの

② 前項の未遂罪は、罰する。

 

談合とカルテルの違い④|具体的な事例で比較

談合例:道路工事の入札に参加する建設会社が事前に落札予定者を決定。

カルテル例:国内の電力会社が電気料金の水準をそろえて値下げ競争を回避。

 

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独占禁止法での談合とカルテルの位置づけ

 

独占禁止法における談合とカルテルの違いと規制

独占禁止法第3条は、不当な取引制限を禁止しています。談合もカルテルも、この「不当な取引制限」に該当します。公正取引委員会は違反を発見した場合、排除措置命令を出し、違反行為を直ちにやめさせるとともに、市場を健全化させる措置を取ります。

 

談合とカルテルの違反に科される課徴金と罰則

違反行為が認定されると、企業は違反行為にかかわる売上額に基づいて算出された課徴金を納付する義務を負います。課徴金額は非常に高額になることが多く、数百億円規模に達するケースも珍しくありません。さらに悪質な場合、企業役員や従業員に刑事罰が科され、社会的信用の失墜は避けられません。

 

談合とカルテルの違い|官製談合罪との関係

談合の場合、行政機関の職員が関与した場合には「官製談合防止法」に基づき、公務員自身も処罰されます。カルテルにはこのような公務員関与の問題はありませんが、談合の場合は公共資金が絡むため、より重大な社会的問題となります。

 

入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律 (通称・・官製談合防止法)

第二条

5 この法律において「入札談合等関与行為」とは、国若しくは地方公共団体の職員又は特定法人の役員若しくは職員(略)が入札談合等に関与する行為であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

一 事業者又は事業者団体に入札談合等を行わせること。

二 契約の相手方となるべき者をあらかじめ指名することその他特定の者を契約の相手方となるべき者として希望する旨の意向をあらかじめ教示し、又は示唆すること。

 

第八条 職員が、その所属する国等が入札等により行う売買、貸借、請負その他の契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったときは、五年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金に処する。

 

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談合とカルテルの違いを示す実際の事例

 

談合の具体例|公共工事で起きた談合事件

過去には建設業界で大規模な談合事件が相次ぎました。道路や橋梁、上下水道といった公共工事の入札において、大手建設会社が事前に落札者を決め、入札価格を調整する事例が繰り返されています。こうした事件は「税金の無駄遣い」として国民の強い批判を浴びました。

 

カルテルの具体例|製品市場で発覚した事例

カルテルは特定業界での競争を歪めます。例えば、段ボールや自動車部品、半導体製品などの分野で、複数企業が価格を協定し、価格競争を抑え込むケースが発覚しています。結果的に消費者は高い価格を支払わされ、企業同士は安定した利益を得る一方で、市場の健全性が大きく損なわれました。

 

カルテルの国際事例|海外市場での違反と摘発

近年はグローバル規模でのカルテルも増えています。海外の複数企業が国際市場で価格協定を行うと、各国の競争当局が連携して摘発に動きます。自動車部品や電子機器に関する国際カルテルでは、日本企業も摘発対象となり、多額の罰金を科されることがありました。

 

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談合とカルテルの違いを踏まえたリスクと対策

 

談合やカルテルが企業に与えるリスクの違い

談合やカルテルが発覚すると、法的制裁だけでなく、取引先や株主からの信頼を一気に失います。上場企業の場合は株価が急落し、経営基盤そのものを揺るがすこともあります。また、損害賠償請求訴訟に発展することも多く、違反行為に参加した企業は多方面で甚大な損害を被ります。

 

談合・カルテルの違反防止に役立つリーニエンシー制度

日本では、違反行為を自主的に申告した企業に対して課徴金を減免する制度が導入されています。最初に申告した企業は課徴金が全額免除される可能性があり、2番目以降の企業でも減額が認められます。この制度によって、企業は内部告発や自主申告によるリスク回避を検討するようになっています。

 

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

第七条の四 公正取引委員会は、(略)課徴金を納付すべき事業者が次の各号のいずれにも該当する者であるときは、同項の規定にかかわらず、当該事業者に対し、課徴金の納付を命じないものとする。

一 公正取引委員会規則で定めるところにより、単独で、当該違反行為をした事業者のうち最初に公正取引委員会に当該違反行為に係る事実の報告及び資料の提出を行つた者(略)

 

カルテルや談合は、関係者の間で秘密裏に行われるため、外部からの発見が非常に困難です。自主的に違反を申告した企業に対して課徴金を減免する仕組みを導入することで、企業に「先に申告した方が有利になる」というインセンティブを与え、違反行為の内部告発を促進する狙いがあります。

 

談合とカルテルの違いを理解するための社内教育と統制

談合やカルテルを防ぐには、社内(職場内)でのコンプライアンス教育が欠かせません。経営陣から現場の社員まで、独占禁止法の基本を理解し、「他社と価格について話し合うことは違法」という意識を徹底する必要があります。また、取引先との情報交換のルールを明確に定め、従業員が違反行為に巻き込まれないようにすることが重要です。

 

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まとめ|談合とカルテルの違いを正しく理解しリスクを回避

 

最後に、談合とカルテルの違いを整理します。

 

項目 カルテル 談合
対象範囲 市場全体 公共工事など入札案件
合意形態 秘密裏・暗黙の了解も可 明示的な打ち合わせが多い
社会的影響 消費者価格の上昇、競争阻害 税金の無駄遣い、公共の利益を損なう
法的処分 課徴金、排除命令、刑事罰 同様に課徴金・刑事罰+官製談合罪の可能性
代表例 電力業界価格カルテル、自動車部品カルテル 建設業界公共工事談合

 

談合とカルテルはどちらも独占禁止法で禁止された不正行為ですが、その性質や影響範囲には明確な違いがあります。談合は入札という公共資金に関わる場面で起こるため、社会的非難が特に強いのが特徴です。一方、カルテルは市場全体に影響を与えるため、消費者にとって不利益が大きくなります。

 

いずれにしても、両者は企業にとって極めて大きなリスクを伴う行為です。企業が持続的に信頼を築くためには、徹底した法令遵守と内部統制が不可欠であり、担当者一人ひとりが「競争の公正さ」を守る意識を持つことが最も重要だといえるでしょう。

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