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職場で年休を申請する方法、手順を間違えると時季変更権が行使される

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年休を申請している その他
年休を申請している
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年次休暇は、働く人の権利です。自由に年休が取れるのが原則です。しかし申請手順を間違えると、時季変更権が行使され、休めないことがあります。特に海外旅行は早い時期に予約し、中止すればキャンセル料が発生します。年休の取得方法についての解説です。

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年次有給休暇とは

 

2022年現在、多くの職場で勤務時間管理などがシステム化されてきました。これは政府によるデジタル化の推進などが影響しています。

 

年次休暇(年休) の取得も、就労管理システムなどでWEB上から簡単に取得できるようになっています。昔のように紙の休暇簿を持ち歩いて、いちいち上司へ理由を説明しながら承認印をもらう必要もなくなりました。

 

嫌な上司から皮肉たっぷりに「これから忙しくなるんだけどね」などと言われずに済むわけです。独身時代に旅行で年休を取るときは、必ず、誰と宿泊するのかしつこく聞かれたものです。

 

年休は、休んでいる間も給与がもらえる有給休暇です。民間企業では、働く人の権利として労働基準法により年休が義務付けられています。

労働基準法(公務員は一部が適用除外です。)

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

⑤ 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 

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年休は自由に取得できるのか

 

最初に官公庁における年休の根拠法令を確認します。国の場合は勤務時間法、地方自治体はそれぞれの条例で定めています。

一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(勤務時間法)

第十六条 職員の休暇は、年次休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇及び介護時間とする。

第十七条 年次休暇は、一の年ごとにおける休暇とし、その日数は、一の年において、次の各号に掲げる職員の区分に応じて、当該各号に掲げる日数とする。
一 (略)職員 二十日(略)

3 年次休暇については、その時期につき、各省各庁の長の承認を受けなければならない。この場合において、各省各庁の長は、公務の運営に支障がある場合を除き、これを承認しなければならない。

 

都道府県や市町村などの地方自治体は、それぞれの条例で年休を定めています。

 

神奈川県 職員の勤務時間、休暇等に関する条例

第8条 休暇の種類は、次のとおりとする。
(1) 年次休暇

第9条 年次休暇は、1年につき20日とする。

5 年次休暇は、職員の届出に基づき与えるものとする。ただし、任命権者は、業務に支障があると認めるときは、他の時期に与えることができる。

 

年休は、上記のように法令で定められており、労働者の権利として取得できるわけです。自由に休めるというのが原則です。しかし組織で働く以上、業務に支障がある場合には別の日に年休を取得しなければなりません。

 

職場の業務が優先されることは、労働基準法、勤務時間法、各条例でも上記のように明確に定めています。つまり年休は、原則として自由に取得できますが、業務が忙しい時には休めないわけです。仕事の状況により年休を取得する日を変更することを時季変更権といいます。

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年休を認めない時季変更権の判断

 

年休を上司へ申請したのに、認められなかったとしたら、ものすごいショックです。上司に嫌われているのではないか、嫌がらせを受けているのではないか、とさえ思うでしょう。年休という権利を無視されたと感じてしまいます。

 

その日の年休を認めない時季変更権が行使できるのは、業務に重大な支障が生じる場合に限定されます。その年休を認めることで、重要な業務がストップし、大きなダメージが想定できる場合です。

 

例えば、時季変更権が行使できるのは次のようなケースです。

 

◯会計検査院や外部からの実地検査が行われる場合に、実務担当者として説明を行わなければならないとき

 

◯入学試験など全国的に実施される業務において、担当者全員へ待機命令が発せられる場合

 

◯組織として実施する大規模イベントで、事前に役割分担が明確になっている場合

 

それでも時季変更権を行使できるのは、年休を他の日へずらせる場合のみです。例えば親族にご不幸があった場合などは、年休をずらすことは不可能です。当然ながら年休が優先されます。

 

通常、会計検査院の実地検査や入学試験、大規模なイベントなどは、かなり前から実施日が通知されます。あらかじめ予定に入れてあるので、時季変更権を行使するような場面はほとんどありません。

 

少し話がそれますが、以前、職場の友人が年休を取得しようとして時季変更権を行使され、泣いていたことがあります。友人も私も、まだ20歳の新人の頃でした。友人は独身で狭いアパートに住んでいたため、天気が良く晴れた日に休んで布団を干そうとしたらしいのです。

 

(よし明日は快晴だから年休を取ろう)と思い休暇簿を提出したところ、先輩から「なぜ休むのか」と理由を聞かれたらしいのです。友人は「晴れそうなので休みたい」と説明したようです。ところが、その日は少し大きな会議が開催される日でした。まだ新人なので会議に出席するメンバーではありませんが、係の中で留守番をしなくてはいけなかったらしいのです。

 

天気の良い日に布団が干せると思っていた友人は、年休を却下され、かなりショックで落ち込んでいました。帰りに一緒に飲みに行ったときは、あまりに悔しくて涙を流していました。 この場合の時季変更権の行使は、どっちもどっちという感じです。事前に会議のことを話しておけば友人も年休を取ろうとは思わなかったでしょう。

 

話を戻します。プライベートな海外旅行などは、かなり前から予約するのが一般的です。予約時期が早ければ旅行代金もそのぶん安くなります。3ヶ月ぐらい前に海外旅行を予約することも珍しくありません。

 

しかし海外旅行へ行く時に、先輩や上司たちへ数日間の年休を取得したいと申し出るのは、かなり気が引けます。特に若いときほど、「仕事も覚えていないのに遊びに行くのか」と思われるのも嫌なものです。

 

そのため予約した段階では年休を申請していないことも多いです。そうなると旅行代金を払った後に年休を申請し、申請段階で時季変更権を行使されてしまう可能性があります。もし、休めなくなったらキャンセル料が発生してしまいます。キャンセル料などの損害が発生する場合にも、時季変更権を行使して良いものでしょうか?

 

もちろん、それぞれの職場の判断になりますが、時季変更権を行使することで損害が発生するような状況であれば、年休の方を優先すべきです。ただ事前に長期の休暇を取る予定であることを相談していなかった場合には、業務に支障が出ないよう本人へ段取りさせるべきです。休暇中でも常時電話連絡できる状態にするなど、業務に支障がないように段取りできるのであれば休暇を認めて差し支えありません。

 

しかし事前に重要な業務があることが判明しているのに、本人の不注意や自覚の無さから海外旅行を計画した場合には、キャンセル料を気にせず時季変更権を行使することになります。仕事に対する責任を感じてもらうためにも必要な愛のムチです。

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休暇を取得する手順と上司への依頼方法

 

日常の中では、あまり感じる場面は少ないのですが、役職が上がるにつれ持っている情報量が多くなります。偉い人ほど先々の情報を持っているのです。

 

そして上司は、今は関係なく、将来的に負担になることは話さないことの方が多いです。現在も忙しいのに、今後さらに忙しくなることを話してしまうと、モチベーションが下がってしまうからです。今の仕事を大事にするため、数ヶ月先の仕事は話さないことがあるのです。

 

つまり同僚や直属の上司が、特に何もないので年休をとっても問題ないと考えても、課長や部長などの上層部へ相談すると、重要なイベントにぶつかる可能性があるのです。そのため、年休を取るときは次の手順になります。

 

1.同僚や先輩など周りの人へ、年休が取れそうな日か口頭で確認する。

 

2.係長など直属の上司へ、年休が取れそうな日か口頭で確認する。

 

3.休暇が取れそうであれば、正式な休暇の申請を早くに行う。(上層部の判断を仰ぐ)

 

同僚や上司への口頭での確認は、次のように相談します。

 

「すみません、◯月◯日から◯月◯日までの5日間、年休を頂きたいのですが、問題ないでしょうか?何もなさそうな日を設定してみたのですが。」

 

特に海外旅行などを予約するときは、少なくとも上記の1.2.を事前に確認しておくことが重要です。そして可能な限り早く年休の承認を受けましょう。

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